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映画感想『るろうに剣心 最終章 The Beginning』

◆あらすじ◆
動乱の幕末。若き緋村剣心は、長州藩のリーダー桂小五郎のもとで討幕派の暗殺者として多くの人間をその手にかけ、人斬り抜刀斎と恐れられていた。そんな中、人斬りの現場に偶然居合わせた若い女・雪代巴との出会いをきっかけに、剣心の心に人を斬ることへの迷いが生じていくのだったが…。


動乱の時代にあって凄く艶やかなストーリーだと思った。
この言葉が良いのか悪いのかワカラナイがとにかくそう感じた。

【覚悟と決意】の物語。

雪代巴の絶望と愛憐からなる二つの覚悟と剣心の血と傾慕により導かれる決意。
全ては等しく平和な世を信じて疑わない剣心の心の変化を巴と言う存在との関係性と共に丁寧に丁寧に描き切ってる。

時代を変える事の犠牲とエネルギーがスクリーン全体に漂う。

剣心が人を斬り続けるのはその先に在る平和な国を見つめているから。
しかし考え方の違いだけでその想いを抱くのは相手も同じ。

自分が手に掛け惨殺した若き武士の許嫁・雪代巴と出会う事で自分自身の嘗て行って来た"人斬り"と言う役目に疑問を持ち始める。

巴と過ごす時間の中で自分に付いて回る"血の雨"への嫌悪が次第に心を埋める。

大義とは?正義とは?命とは?・・・・

無心だった剣心に心が宿って行く過程がゆっくりだが確実性を帯びて「この時間があの剣心を作り出したんだな」と感慨深いものがあった。

行き掛り上、畑を耕し野菜を作る事になる剣心。
元々"一心"が持ち前の彼の事、野菜作りにも精を出し出来上がった作物を嬉しそうに手にする姿には巴ならずとも皆同じく温かい気持ちになったはず。
この作品のこういう心の変遷の描き方は実にイイ。


役者の仕草、目線、身体の線、動き・・・全てが実にしなやかで美しい。

がっ!!

そんな中で今作『The Beginning』のもう一つの中心である幕末の武士達はまるで正反対の様相だ。
特にシリーズ全体で活躍する齊藤一有する新選組の浪士達が"キレイ"じゃないのが個人的には大変好みだ。
彼等の体臭が匂ってきそうな映像感が堪らなくセクシーだった!!(変態かっ!ww)
いや、しなやかさと言う点では新選組の羽織の丈は相当洒落てる( ✧Д✧) キラーン
立ち廻りの時の揺れ方が見とれるくらいには見事に美しい。


特に沖田総司とのタイマンは見応え十二分にあった。 

虹郎頑張ってたなぁ・・・(意味の無い親心ww) 



そして剣心を討とうとするもう一つの影の軍団

【闇乃武】

彼等は粗野な無骨さが売りだから剣の技で勝負する新選組とは打って変わって、地形を活かした大掛かりなトラップや飛び道具などあらゆる手段で攻撃を仕掛ける。
そのド迫力なシーンにはかなり楽しませて貰った。
剣捌きだけじゃなくここでもトラップを掻い潜る剣心の俊敏さが活かされてたねぇ!!

北村一輝
一之瀬ワタル
奥野瑛太
成田瑛基
平埜生成


こんな面子・・・役だと顔見えないからね・・・でもアクションカッコ良かった。


桂小五郎と高杉晋作のバディ感がヴィジュアル的にもうちょっと欲しかったかな(欲張りちゃん)


この『るろうに剣心』の映画シリーズを初作から観て来た者にとってはラストにこの『The Biginning』を配置したと言う所に非常に意味が感じられて、ちょっとしたミステリー仕立ての様な・・・剣心の【殺さずの誓い】が何故己の中に契られたのか?その経緯や詳細が明らかになりそしてあの"新時代"へのシーンに繋がると言う・・・伏線回収が目いっぱい詰まってる。
だから凄く色んな意味で深くて一緒に剣心達と歩んで来た感出ちゃって堪んねぇよ。

なんか終わっちゃったんだなぁ・・・なんてちょっとおセンチになっちゃう。

確かに剣心が薫と出会った時点では(いや、今後この2人が発展するのは読めるんだけどね)剣心の中に女(巴以外の)が入り込む隙は皆無だったと感じてた。

その上、全編観終わってみれば剣心が薫を守り続けた意味も今まで以上に理解出来るしずっと独りでそれも要は鉄砲玉みたいな扱いで人を斬って来た剣心だからこそ平穏な世を成せるなら、共に信じ合える友や仲間を護る為なら無心になって戦う覚悟だったのが理解出来る。

この物語の後、左之助や薫、恵さんに出会えて良かったなと心から思っちゃったな。
左之助イイ奴だもんな・・・。 

だからさ、タイトルバックの使い方も最高って事。

あそこで出されたらループだよね。
また2012年版が観たくなる。
でもその後の剣心の生き様があるからこそ、この物語が最高の境地で観客を魅了するんだと思んだよね。

剣心の人としての心の成長譚でもあるこのシリーズ、完成は寂しいけど凄い大作だったなぁ・・・って日本映画史には残るよねって思う次第。


ありがとうございました。m(__)m



2021/06/10


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