「勝ち組」の価値観に疲れた時に読んで欲しい記事【スッタニパータ:蛇の章】
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「現在・過去・未来との接し方で幸せが決まる。重要なのは…【禅語:莫妄想】」からの続き
こんにちは、タカミチです。
昨日、妄想との付き合い方について書かせていただきました。
悪い妄想に囚われないように気をつけて、過去は教訓に、未来は想定として、今を生きるために活用すると言う内容でした。
今朝、ふと伊勢白山道様の著書『柔訳 釈尊の教え 第一巻』を開くと、ちょうど妄想との付き合い方の項目でした。
これは、ブッダ(釈尊)の教えを弟子たちが体系化した原始仏典『スッタニパータ』の、第一章(蛇の章)第一節(蛇) の7、8番ですが
今日は昨日の続きとして、さらに踏み込んだ「自我との付き合い方」について書いてみたいと思います。
ブッダは「自我を抑えて、心を中道に保つ事が大切」だと教えている
まずは、『スッタニパータ』の、第一章(蛇の章)第一節(蛇)の7、8番の原文からご紹介します。
「この世とかの世とをともに捨て去る。」
というのは、言い換えると
「輪廻転生を終わらせる(解脱をする)」
という事ですが、ブッダの教えは
「現世でのあらゆる欲への執着を捨て、真の心の自由を実現する」
「これを達成すれば、苦しい輪廻転生を終わらせて、天国で安住できる」
このことに集約していると言えます。
私たちが抱えているすべての悩みは、その対象に執着しているが故に起こります。
「あの車が欲しい。でもお金がない」
「あの人と結婚したい。でも自分はモテない」
「自堕落に過ごしたい。でも仕事をしないと生きていけない」
「大金が欲しい。でも出世する能力がない」
「美しくなりたい。でも生まれつき容姿が悪い」
などなど、執着を起こす欲を挙げれば、枚挙に暇がありません。
そして、この執着を起こす犯人が自我と言うわけですね。
自我は、妄想を含めて、四六時中あらゆる事を頭の中で考えさせています。
このあらゆる事の中に、様々な対象に執着を抱かせる種がたくさん潜んでいるわけです。
つまり、自我を野放しにさせず、悩みを生み出さない状態として最も理想的なのは
「常に心を中道(ちゅうどう)に置いておくこと」
だと、ブッダはこの項目で教えているわけです。
“心を中道に置く”とは、どんな環境に身を置いていても、心がブレることなく安定しており
冷静で本質的なものの考え方が出来る状態を指します。中庸(ちゅうよう)でも良いです。
では、人を中道から遠ざける要因となる欲求とは、いけないものなのでしょうか?
次の項では、欲求と悩みの本質について考えてみましょう。
“欲求”は大切にしながらも、“執着”してはいけないもの
私たちの欲求は、これまで家庭や社会で生きてきた中で、あらゆるものを見て、あらゆる事を学び
多くの人と接し、評価・影響し合う中で生まれます。
欲求そのものは、生きるための原動力であり、とても重要なものです。
心理学者のフロイトも、性欲が心のエネルギーの源泉だという理論を提唱していますが
最もコントロールが難しく、時に厄介な性欲でさえ、種の繁栄のための起爆剤であり
性欲があるからこそ、動物はそれを原動力として生きる事が出来るわけで
そのおかげで文明が発達してきた事実がありますので、失ってはならないものです。
そして、これらの欲求の種類や強弱は、人それぞれ生きてきた環境によって違いますが
こうした欲求が複雑に絡み合い、他人との比較により生じる劣等感や
理想と現実のギャップによる不足感などから、悩みが生じます。
この悩みを解消するために、私たちは努力を重ねて欲求を実現したり
あるいは、実現は無理だと悟って、我慢をして忍耐力を身に着けるなど
人生を発展・好転させるための糧とすることが出来ます。
一方で、欲求を実現することに渇望するあまり、他のことが手につかなくなったり
人との関係に軋轢を生むなど、よくない執着をしてしまう事もあるものです。
明らかに現実的・建設的ではない、と分かり切っているのに
欲求が手に入らない現実を直視したくない気持ちから、思考を停止させて
「なぜ自分だけこんな目に遭うのか」と被害妄想に浸ったり
「自分が欲求を実現できないのは〇〇のせいだ!」と他人や環境のせいにします。
はたまた、自信の喪失から「欲求を実現できない自分は出来損ないだ」と卑下したり
さらに妄想が進むと「生きていてもしょうがない」と自殺願望を抱くようになります。
これは、心が中道を保てていない状態であり、自我が暴走して、妄想に憑りつかれている状態だと言えます。
自我が考えるままにして放置した結果、妄想の深刻度が深まっていき、人生をがんじがらめに縛ってしまうのです。
だからこそ、ブッダは「自我を野放しにさせず、心を中道に保つ事の大切さ」を説いているわけですね。
次の項目では、自我をコントロールすることについて考えてみましょう。
欲求は尽きない。なら自我とどう付き合う?
人の頭の中では毎日絶え間なく、仕事、学校、家事、育児、炊事、勉強、遊び、恋愛などに基づいた
思考や雑念、悩み、妄想などが、開けっ放しの蛇口の水のように流れ続けています。
心理学的には、こうした雑念はメンタルノイズと呼びますが
これは、“自我をコントロールする”という観念が無いために、このようなメンタルノイズが流れ続けている状態を許しているのです。
日常のストレスや疲労により、無意識下にあるコンプレックスが呼び覚まされる事でも、メンタルノイズは発生します。
そして、前述のように、このメンタルノイズの中に悪い妄想の種が潜んでいるため
不必要に自分を否定してみたり、他人や社会を攻撃したりしています。
そこには、本質的であるかどうかや、正当性は関係ありません。
整理整頓されていないあらゆる雑多な知識や価値観に基づいて
自分が納得できる、都合の良い答えを導きだしています。
欲求を実現する努力は大切ですが、欲求に飲まれて自我のコントロールを失い
妄想を深めていくために悩みが尽きないのです。
そのため、悩みを上手く処理して安心して生きていくためには
日ごろから「自我をコントロールする」という意識が大切になります。
悩みが噴出する理由は、自我がネガティブな内容を考えてしまう為ですが
このネガティブな内容とは、自信の無さや、自己肯定感の低さに起因します。
つまり、自我のコントロールに必要不可欠なのは
「自信の無さや、自己肯定感の低さと上手く付き合う」という事が大切なのだと分かります。
自己肯定感は必ずしも高めなくても良い?
一般的な印象としては、自分に自信を持つためには「自己肯定感を上げる必要がある」と考えます。
これは、もちろん正解なのですが、一方で「必ずしも自己肯定感を上げる必要は無い」という事も
人生を安心して豊かに生きていくためには必要だという事を、ご紹介しておきたいと思います。
例えば、あなたは以下の2つの人生ならどちらが良いですか?
A「事業で成功して一生困らないお金を手に入れた。しかし、その代わり家族や友人を蔑ろにしてきた為孤独になった」
B「ワーキングプアで生活ギリギリのお金しか無い。しかし、最愛の家族や大切な友人に囲まれて幸せだ」
これは、AとBどちらかが正解というわけではありません。
一般的にはBの方が心が豊かで幸せだと感じると思いますが、対人関係が苦手な人や、現状がすでに孤独な人はAを選ぶかも知れません。
極端な例ですが、Aの人は社会では成功者とみなされるため、能力についてはある程度の自己肯定感を持っているでしょう。
一方で、Bの人は社会で上手く生きていく能力が水準よりも低いため、自己肯定感は低いかも知れません。
もちろん、能力以外の性格面などでは逆転する事もあると思います。
お金、美貌、社会的ステータス、美形のパートナー、派手な交友関係があるかどうか
こうした「勝ち組の価値観」が暗に浸透しきっている現代においては、この例えは伝わりやすいのではないでしょうか。
いくらお金を手に入れて贅沢が出来ても、人との繋がりが無くまったくの孤独であれば
まともな道徳観を持つ人なら「あぁ~幸せだわぁ^^」とは決してなれません。
その一方で、お金は最低限しか無く贅沢が出来ないとしても、人との繋がりが豊かな人は
上記の心境に簡単になれるのです。
であれば、「勝ち組」を目指すような自己肯定感の鍛え方は、まったく必要が無いという事になります。
むしろ、早々に「勝ち組」的な価値観に見切りをつけてしまった方が
簡単に本当の幸せを得られる心の状態に向かう事になります。
そして、ブッダが原始仏典で教えている幸せへの道も、まさに“あらゆる欲に前向きに見切りをつける”という所にあります。
これはあくまで、「勝ち組」を目指す事にとてもハードルの高さや、ストレスを感じている大多数の人に向けての考え方で
「勝ち組」的な欲求を実現できる自信があるのなら、努力によりそれを“倫理的な範囲において”叶えることは素晴らしい事です。
そうした成功できる人たちの活躍により社会が大きく躍動し
大きな成功は出来ないけど、エッセンシャルワーカーとして縁の下から支える人たちのお蔭で社会が回る
こうした仕組みを、健全かつ公平な目で捉える事が出来るようになった時に
今よりも、少しは生きやすくなっていくと感じています。
これを、能力や社会的ステータスに左右されずに、自己納得感を高めていき
「社会に翻弄されずに、安心した自己を保つ考え方」として、少しでも、ご参考になれば嬉しいです。
みなさんの心に、常に太陽が在ることを祈りつつ。。
お読みいただき、ありがとうございます。
その他にも人生のためになる記事を「たまむすび」でたくさん書いています!