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試し切りと『八犬伝』の誕生。

念願だった源氏の宝刀を手に入れた徳川家康は、童子切安綱の価値を高める為にとんでも無い事を始めます。それが「人を何人斬れるか」数を競う試し切り。
戦国時代までの試し切りは藁や竹を使っていましたが、江戸時代初期に突然罪人の胴体を斬るようになりました。

童子切安綱は勿論「六つ胴」で日本刀の切れ味第一位に君臨。山田浅右衛門が代々試し切りの専門家となりました。ちなみに最終的には後年記録された七つ胴が最高でした。

家康は将軍代々に宝刀を伝えるように厳命した後、この世を去ります。
ところが、里見氏を潰して入手した家康の強引さに反発していた徳川秀忠は、宝刀を三代将軍家光ではなく、甥の松平忠直に渡したのでした。
「源氏の宝刀があるから諸大名達が徳川幕府に従う訳では無い」と言う、秀忠の反骨心が表れています。

その後紆余曲折を経て、童子切は太平洋戦争後に日本刀の国宝第一号として認定されました。

さて、この宝刀強奪事件は歴史の闇に埋もれて、里見氏の存在も忘れ去られていました。それを覆したのが、事件から2百年後に登場した曲亭馬琴。

彼は源為朝が琉球王朝で活躍する作品を連載するなど、読本作家として活躍していました。そんな彼が西日本を旅行した時に、倉吉の八賢士のお墓を偶然訪れて、里見氏の悲劇を知ります。

江戸に戻った馬琴は里見氏について徹底的に調べて、里見氏の改易は宝刀強奪の為だと突き止めました。

しかし、バカ正直に公表すれば、幕府の秘密を暴露したとして、一族みんな磔の刑になります。そこで馬琴はフィクション作品に宝刀強奪事件のヒントを散りばめる事を思い付きます。

こうして誕生したのが『南総里見八犬伝』であり、馬琴は後書きにこんな一文を載せました。
「この物語には作者の真意が隠されている。その解明は、百年後の叡智に期待する」

そして丁度2百年後に、僕が物語の謎を解いた訳です。それこそ時代劇小説にして、その小説を原作にNHK大河ドラマで壮大な物語を放送したら…….停滞続きの大河ドラマを救う、起死回生の作品として大きな注目を集めると思いますよ♪



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