中心性頸髄損傷のリハビリ
中心性頸髄損傷の特徴
上肢に優位の機能障害:下肢よりも上肢に重度の麻痺が現れることが特徴です。
非骨傷性損傷が多い:交通事故やスポーツ外傷などによる頸部の過伸展や過屈曲が原因で発生し、骨折や脱臼を伴わないことが多いです。
多彩な感覚障害:しびれや痛みなどの感覚障害が多様に現れ、特に上肢の深部腱反射が亢進することがあります。
中心性頸髄損傷は、頸部が急に後ろに反り返ることにより、頸髄の中心部が損傷を受けて、上肢や下肢に運動障害が発生したり、疼痛やぴりぴりするような痺れが発生したりする症状です。この症状は、主に交通外傷やスポーツ外傷により頸部に過剰な伸展がかかることで、頸髄が中心部に負荷がかかり損傷をきたす可能性があるためです。症状は下肢よりも上肢に優位で、主に上肢のしびれや麻痺などが強く出現します。
評価項目
身体機能評価:
関節可動域検査: 各関節の可動範囲や拘縮、痙性の有無を検査します。関節可動域制限は姿勢や動作能力の低下に直結する重要な因子です。
筋力検査: 筋力の評価は健常部と病的状態の程度を検査します。四肢全てにおいて評価が必要であり、手に関しては握力なども重要です。
感覚検査: 表在覚(触覚・痛覚・温度覚など)や深部覚(位置覚・関節覚・振動覚など)について検査します。感覚は特定の損傷高位を特定するのに役立ちます。
反射検査: 脊髄損傷に特有の反射検査を行い、肛門反射などを評価します。
ADL(日常生活動作)評価:
基本動作能力を時間や質・量的に評価します。実用的に可能か、装具や自助具があれば可能か、安全に行えるかなどを評価します。動作分析の視点が重要です。
脊髄損傷特有の評価項目:
ASIA重症度スケール: 残存筋力や感覚、完全損傷か不全損傷かの判定に用いられます。
これらの評価を通じて、適切なリハビリプランを立て、日常生活動作能力の向上または獲得を目指します。
これらの評価項目は、中心性頸髄損傷のリハビリテーションにおいて重要なポイントとなります
リハビリの流れ
早期発見と初動管理:
症状の程度や内容を確認し、意識の有無、瞳孔の対光反射、脊椎の痛み、運動機能、感覚の状態をチェックします。
首の痛みに注意し、慎重に対応します。
内科的・外科的治療:
内科的治療では血圧管理が重要です。外科的治療としては脊髄減圧術が選択肢となります。
リハビリテーション:
早期離床を目指し、関節可動域訓練、筋力増強訓練、基本動作訓練、上肢巧緻性訓練、バランス訓練、歩行訓練、日常生活動作訓練などを実施します。
早期介入の重要性
早期の起立・歩行訓練:
早期から起立・歩行訓練を行うことで、下肢の筋力増強や神経筋再教育が促進されます。
下肢の機能回復が顕著にみられるため、早期の訓練が歩行能力向上に寄与します。
下肢筋の廃用性筋萎縮予防:
下肢の筋力は重要であり、受傷後約3ヶ月まで下肢筋の機能回復がみられます。
早期から起立・歩行訓練を行うことで、下肢筋の廃用性筋萎縮を予防できます。
個別の筋力訓練:
下肢の関節可動域制限や歩容に関しては課題が残ることがあります。
可動域維持や歩容改善のため、大腿四頭筋や前脛骨筋に対して個別の筋力訓練を行うことも重要です。
総じて、早期から起立・歩行訓練を積極的に行うことで、下肢の回復や歩行能力向上が期待されます。