「鎌倉の一角で、イノベーションの種をまく」:2033年からの回顧
**鎌倉の一角で、イノベーションの種をまく:三木康司の回想録**
2033年の春、鎌倉の和風建築で坐禅を組む私は、深く息を吸い、これまでの人生を振り返った。
2009年、リーマンショックの波紋が私の人生に大きな変化をもたらした。あの日、突然のリストラ通知を受け取り、深い絶望に沈んでしまった。しかし、この絶望が私をzenschoolという新たな道へと導くきっかけとなるとは、当時の私には思いもよらなかった。
鬱状態となり、自分自身を取り戻すための手段として、鎌倉の自宅で坐禅を始めた。すると、心の奥深くから沸き起こるようなビジネスのアイディアが次々と湧き上がってきた。それは、心の「ワクワク」と技術・経営資源を組み合わせることで、新しいイノベーションを生むこと。2011年、このアイディアを元に「zenschool」を立ち上げた。
当初は中小製造業のオーナーを対象とした自社製品開発講座としてスタートしたが、成果は期待以下だった。しかし、禅の体験を通じたイノベーション教育のアプローチを取り入れたところ、大きな変化が訪れた。卒業生たちは、147億円を調達した「空とぶ車」や、月面探査ロボット、Googleやマッキンゼーに採用された、世界的なマインドフルネスワークショップなど、数々の画期的なプロジェクトを生み出し始めた。
しかし、全てが順風満帆だったわけではない。2018年に出版した「True Innovation」は業界内で注目されなかった。そして、2020年のパンデミックは新たな課題を私たちに突きつけた。
しかし、この困難な時期を乗り越えるために、メタバース内での授業を開始。そして、対話型の生成AIを導入することで、ボトルネックを解消し、多言語でのzenschool体験を提供することに成功した。
2025年以降、海外のメディアが注目し、国内外からの受講生が急増。zenschoolは、イノベーション教育の新たなスタンダードとして認知されるようになった。
現在のzenschoolは、世界中から集まる卒業生や社員とともに、鎌倉の静かな住宅街でイノベーションを生み出し続けている。私が坐禅を組むこの場所から、世界に新しい風を送り続ける。そう、鎌倉から。
この本社は、北鎌倉の穏やかな自然に囲まれた地で、その静謐な雰囲気が、私たちの「ワクワク」を引き出してくれる。近くの禅寺でのワークショップは、古都の歴史と文化を体感しながら、新しいアイディアやビジネスモデルを考える場として、多くの参加者から絶大な支持を受けている。
2033年、zenschoolが始まってから22年が経過した。当初は数名の受講生から始まったzenschoolも、現在では10万人以上の卒業生を持つ巨大なコミュニティへと成長した。その中から、多くのイノベーションを生み出すユニコーン・ベンチャーが多数誕生しており、それぞれがさまざまな分野で世界を変える力を持っている。
特に、zenschoolとベンチャーキャピタルとの連携は、卒業生が新しい事業を生み出すための大きな後押しとなっている。起業家精神を持つ卒業生たちが、資金やノウハウを得ることで、より大きな夢を追い続けることができる。
そんな中、私は特に鎌倉の本社での日々を大切にしている。世界中からやって来る卒業生や社員たちと、和風の建物での交流や、坐禅堂での瞑想は、私にとっての原点となっている。
最後に、zenschoolを通じて得たもの、それは「ワクワクすることの大切さ」と「自分自身を信じる力」だと思う。私自身がうつの淵から立ち上がった経験を通じて、心の健康とその中に秘められた無限の可能性の大切さを知った。そして、それを世界中の人々と共有することが、私の使命となっている。
私たちの旅はまだまだ終わらない。次世代へと続くzenschoolの物語は、これからも鎌倉から、そして世界中から、新しいイノベーションを生み出し続けることだろう。