「東大卒業後上場ベンチャーを経てニートライフに目覚め啓蒙活動を推進」後編 ニート研究家 今林淳さん
▶前編より続く
●ニートタイプ診断とニートセラピー、今後の活動について
三木:後半はニートとビジネスについて伺っていきたいと思いますが、最近今林さんはニート研究家として色々な新しい手法を開発されて、この間僕もニートタイプ診断っていう非常に面白い診断を受けさせてもらって、あれはどういう発想から出てきたものなんですか?
今林:単純にニートって面白いなと思って。
三木:どの辺が?
今林:僕ニートの友達100人以上いるんですけど、誰1人として同じニートがいないんですよね。
三木:この間の集まり(ビジネスパーソンのためのニート入門講座)に行ってもすごい仲間感が半端なかったよね。
今林:そうですよね。僕はそれを十ニート色(十人十色)って呼んでるんです。
宇都宮:間にニートを入れたわけね(笑)。
三木:(笑)。サラリーマンも何人か来ていて、そういう人がニートに興味を持ち始めてると思うんですが、これはどういう現象なんですか?
今林:ニートって「社会に媚びない人」なんですね。そこに憧れているんじゃないでしょうか。
宇都宮:ニートの語源っていうのは…
今林:Not in Education, Employment or Training(NEET)。教育されてない、雇用されてない、職業訓練を受けてない状態の人。この区切りで言うと業務委託もニートだし、経営者もニートだし、結構大半の人がニートですね。
宇都宮:そうですよね。アート系とかもそうだと思うし。
今林:そうですね。ただ僕の中で一貫してる思想としては「心がニートならそれはニート」ですね。
三木:いいね。僕らも完全にニートですね。playing(プレイング)してますね。
今林:いいですね。僕のミッションとしては、働くという概念をこの世界からなくしたいんですよね。社会に媚びて価値を出していって対価としてお金をもらってお金を使ってストレスを発散するのはもう古いと思って。やりたいことをやる時が一番人が輝くし価値も出るし生産性も高くなるし。
宇都宮:生産性(笑)。
今林:そうですよ。命の生産性ですね。
宇都宮:時間の概念が飛んじゃうぐらい夢中になってるっていうイメージですかね。
今林:そうですね。その時って人は働いてるっていう感覚じゃないんですよね。遊んでいるとか…
宇都宮:何かをさせられているじゃなくて。
今林:そう。媚びてないんですよ。
宇都宮:自発的というか内発的というか。
今林:そうそう。それがニートなんですよ。
宇都宮:結局内側を見つめる必要はあるんですか?そうなると。
今林:あるでしょうね。
宇都宮:でもできない人がいるじゃないですか。
今林:そうですね。だからそういう人にある種向き合ってもらうためのニートタイプ診断ですね。あと僕ニートセラピーもやってるので、それもすると大体過去のトラウマとかが成仏していくので、色んな方面からそういうことをやってますね。
三木:このコロナショックの前はすごい人気があって連日セラピーを受けたい人が多かったって聞いてますけど、大体1週間に何人ぐらい?
今林:週に2人とか3人くらいです。ご縁で巡り合って「じゃあやりましょう」という感じです。料金も決まってなくて、相手が財布からスッと出る金額を払ってもらうスタイルでやってました。
三木:それは一応働いてるっていうことになるのかな?
今林:いえ、お金を追い求めたのではなくお金が付いてきた感覚なので一応違います。
三木:お布施みたいな感じですか?
今林:そんな感じです。
三木:このニート診断とかニートセラピーをこのコロナ後にどういう風にしていきたいですか?
今林:ニート診断はオンラインで受けられるようにしました。ただ1対1しかできないので、複数人でやるところはグロースハックしたいです。
三木:複数人で深い対話をかませながらやるっていう感じ?Zoomとかじゃ厳しい感じですか?
今林:どうでしょうか。近々試したいなと思ってます。
三木:VRの可能性もあるかなっていう。
今林:何か食い込んできたぞ(笑)。
三木:焚火の部屋とかあるんですよ。焚火を囲みながら対話みたいのは結構いいので、ちょっと今コーチングにも採用しようと思ってて。
今林:なるほど。いいですね。
●新型コロナの流行で社会はどう変わっていくか
三木:ニート的な観点から見て今回の非常事態宣言的なあるいは今回のコロナの流れでこんな感じに世の中が変わっていくみたいな直感的な部分があったらその会話をしたいんですけど。
今林:必要なことが起きたっていうことですね。全部必要なことだから起こってるんだろうなっていう、必要なことが何かは分からないですけど。
三木:起こるべくして起きたことみたいな感じですかね。
今林:そうだと思います。今は分かんなくても、後で振り返った時に「あ~あそこが転換点だったんだな」って、東日本大震災でもそうだったし、そう思える日が来るんじゃないでしょうか。
三木:確かにね。「何で一生懸命あんな会社通ってたんだろうな」、「オンラインで全部できちゃったよね」みたいな。そこがすごい意識が変容していくのかなって。あとはこの経済システムのあり方っていうのも結構変わっていくのかなって。
今林:そうですね。そこは本当どうなるか分からないですけど、資本主義というシステムがぶっ壊れるかもしれないですね。
三木:一気に変わるというか溶け始めるみたいな感じなんですかね。
今林:結構ハンマーで叩いてるような形じゃないですか。
三木:サプライチェーンはぶっ壊れ、ローカリズムっていうか例えばどこか遠くで生産した野菜とかじゃなくて、自分の近場とか家庭菜園で物々交換したり…
今林:つながりなんですよね。
三木:つながりの価値が大きくなるっていう感じかな。
今林:そうですね。「決済」という言葉があるように、お金ってつながりを切る性質がありますよね。そのお金の意味が今後なくなっちゃうかもしれなくて、実際お金があってもスーパーも運営できませんとかなっちゃったらお金という幻想(バブル)が弾けるわけですよね。そうなった時にはもう本当に人と人とのつながりと助け合いで生きていくっていう人間本来の形に戻らざるを得ないんじゃないかな。別にお金なんかなくても生きてる人達とか部族はいるわけだし、お金に頼り過ぎてるからお金が無くなった時に自殺者が出てしまうとか、そういうことが起きるのは本当に痛ましいなと思っています。
宇都宮:お金の恐怖ってよく言うじゃないですか。今林さんはそういうのを克服されて?
今林:めっちゃありましたよ。ニート期間をかけて1年半かけてそれと向き合い続けました。
三木:そこはどういう風に解消していったんですか?
今林:徹底的に人を頼る。つながりは現代ニートの特徴ですね。
宇都宮:でも僕ら50代ぐらいになると頼れない人って結構多いじゃないですか。
今林:それは思い込みですね。
三木:今頼り方もオンラインで頼るっていうのもあるしね。「ウィッシュリストに入れときました。よろしく」みたいな。
今林:僕の誕生日の時のパターンですね(笑)。いろんな人から送ってもらいました。僕は東大卒ということもあり、ニートになっても「自分は一流の男だ」という意識が抜けなくて鼻っ柱が天狗鼻だったんですよね。そういう状態だと人に「助けてください」「プレゼントください」なんて言えないわけです。ニートになって人にお金を借りる時の僕の心のざわつきようはものすごかったですね。でも、弱さを認めて「助けてください」って言わないとつながれないっていうことに気づいてしまったので。
三木:お互いに素直になっていく社会がいいですよね。
今林:そうですね。
三木:虚勢を張って鎧で覆い尽くす時代はもうこのコロナを契機になくなっていくっていうのが何となく…
今林:そうかもしれません。僕の場合は人から10回ほどお金を借りた時にようやく精神がブレなくなりました(笑)。
宇都宮:返すっていう感覚はどこかに行っちゃう感じなんですか?借りたものは返すみたいな教えがあったじゃないですか。
今林:もちろん借りたものは返します。これからの自分がやることですよね。
宇都宮:投資ですね。そうすると。
三木:今を生きるっていう感じ?
今林:そうです。そうです。
宇都宮:それがニートですかね?
今林:どうですかね。今を生きるのがニートって言うとニートの敷居がめっちゃ高くなるから何とも言えないかな(笑)。
宇都宮:究極のニートですから。
今林:ニート道ですね。
三木:これから今林さんの目指す道はニート道を極めていくっていう感じですか?
今林:そうですね。見栄とかプライドとか虚勢って一度払っても埃のようにすぐ付いちゃうんですよね。塩沼亮潤さんの本で『人生生涯小僧のこころ』っていう本がありますけど、そういうのを脱ぎ捨て続ける、小僧であり続ける、ニートであり続ける、つまり”人生生涯ニートのこころ”っていうことだと僕は思っています。
三木:偉い禅僧が全てを捨てて橋の下で生きていくっていう感じの人も中世には多くいたらしくて、朝廷がどうしても僧を呼び戻せみたいな感じで橋の下に迎えに行く、でも心は仙人のように澄んでいる。
今林:そうですね。手放し続けるっていうことかもしれないですね。
●ニート職と非ニート職
三木:でも一瞬ニートを辞めたみたいな宣言がありましたよね?
今林:そうですね。ありました。
三木:あれはどうなったんですか?
今林:アイデンティティーを手放すという意味でのニートだったのですが、気付いたらニートがアイデンティティーになっていたので、それも手放そうと・・・。僕は仕事にはニート職と非ニート職があると思っているんですけど。
三木:ニート職はどういう仕事なんですか?
今林:好きなように生きてたらその生き方でお金が入ってくるのがニート職ですかね。僕がやりたいことをやりたいようにやってお金が入ってきたら、それはニート職と言えると思います。
三木:それがニート職ね。そうじゃない仕事は自分がやりたくないことをやって稼ぐみたいな感じなんですか?
今林:そうですね。もうちょっと長期の計画に基づいてとか、今この瞬間に全てを燃やすことだけでなく、未来も見ながら生きていくのは非ニート職だと思います。ニートって明日のこととかそんなに考えてないと思うので。
宇都宮:今日良い天気だからお散歩に行こうとか、今日ぽかぽかしてきたからちょっと庭でお茶しようとかそんな感じだよね。
今林:そんな感じですね。
三木:なるほどね。僕らはどうなんだろうな。ニート職と非ニートの間ぐらいかな。
今林:最高ですね。統合してますね。
三木:一応当社の社訓は“ワクワクしないことは仕事にしちゃいけない”っていう社訓なので。
今林:素晴らしい。
宇都宮:仕方ないんですよ。ワクワクしないことが来たら断わらざるを得ない。これは僕達の本意ではなくて…(笑)。
今林:よっ、ナイスニート!
三木:何回も断ってるんですけど、「理由は?」って聞かれて「いや、ワクワクしないので」って(笑)。
今林:いいな、それ。僕も使おう。
三木:基本的にワクワクしない仕事は全部断わり、ワクワクしない人とは付き合わず、ワクワクしないことはやらないっていう3原則。会社の社是なので、僕のせいじゃないので。
今林:ずるい。
宇都宮:「会社の理念がそうなってるので申し訳ありません」って。でも理念ってたぶん縛るものなんですよ。そういう言葉で。だから「ニート研究家である以上そぐわないものはお受けできません」っていうようなある意味縛ってるんですよ。
今林:そうですね。「僕のニート度が下がるので遠慮させていただきます」みたいな。
宇都宮:あしからず(笑)。だから影響を受けちゃうんですね。迂闊に受けちゃうと。そうするとそれを洗い流すのがまた面倒くさいので。
今林:分かります。
宇都宮:だから鎌倉からも出て行かない。(鎌倉に)来てくださいモードなんですよ。
三木:基本そう。「ここに来てくれたら話してもよろしくてよ」っていうツンデレ系でやらせていただいてますので。
宇都宮:三木さんの家がもうスタジオ化してるので。和解庵(わかいあん)っていう。
今林:最高ですよね、三木さんの家。2回ほどお邪魔しましたけど。
宇都宮:お庭で食べ物も作り始めてるそうで。
三木:家庭菜園を始めることにしました。もう自給自足でいきます。
今林:うちも始まってますよ。家庭菜園が。
宇都宮:そこに行き着きますよね。身近なところで手が届く範囲で。
三木:鎌倉の中だけで最初は物々交換をやろうと思ってて、そういうプラットフォームを作って自分の家庭菜園のものをオンライン上で取引するみたいなことをzenschoolの卒業生で事業にしたいという方がいるので。
今林:めっちゃいい。キングコングの西野さんのオンラインサロンに4万人ぐらいいるんですが、コロナで飲食系の会員の人達がピンチだから、4万人が会員の店でテイクアウトやデリバリーをする為のサイトができたらしくて。
三木:いいですね、それ。
宇都宮:何かそういう機運はありますよ。
三木:鎌倉の中でも鎌倉の店の物をデリバリーできる別のサイトを作って、その中でみんなで買っていきましょうみたいな。
今林:めっちゃいいと思いますね。
宇都宮:つい先日zenschool卒業生で餃子屋さんがいらっしゃるので、冷凍餃子を通販で購入しました。府中で有名な餃子屋さんです。
今林:そうなんだ。うちにも送ってください。
宇都宮:リンク送っておきます。
今林:リンクじゃなくて餃子を送ってください(笑)。
三木:(Amazon)ウィッシュリストに入れて。
今林:リンク送ってくれたら僕のウィッシュリストに入れて送り返します。
宇都宮:そうじゃないって(笑)。
●今林さんの考える「日本(世界)の○○の未来」に対する想いについて
三木:最後に皆さんにしている質問があって、今林さんの考える「日本の○○の未来」みたいな。未来は考えちゃいけないですね、ニートは(笑)。
今林:そうですね。
三木:「特にありません」みたいな感じですか?
今林:「いつやるか?今でしょ。今林でしょ」。おあとがよろしいようで。
enmono:(笑)
宇都宮:それはパクリじゃないの?
今林:えっ?
宇都宮:パクってない?それ。
今林:ちょっと電波が悪くて聞こえません。
宇都宮:はい、すいません(笑)。
三木:ということで、今日はニート研究家の今林さんにご登場いただきました。本日はどうもありがとうございました。
今林:ありがとうございました!
▶対談動画
▶今林淳さんFACEBOOK
■「enmono CHANNEL」チャンネル登録ねがいます。
■MC三木の「レジェンド三木」チャンネルもよろしく
■対談動画アーカイブページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?