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「瞑想の実践を深めながら認知神経科学の手法を用いて、瞑想のメカニズムの検証を進める」前編 京都大学オープンイノベーション機構 特定助教 藤野正寛さん

●ご挨拶と出演者紹介

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三木:マインドフルビジネスストーリー第193回、本日は京都大学の助教の藤野さんに来ていただいて、瞑想と脳の関係について色々と伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

藤野:よろしくお願いします。

●enmonoとの出会いとZen2.0について

三木:きっかけは最初Zen2.0の前にイギリスの動画の取材が藤野さんや僕に来て、それで僕がたまたま「こういう人を取材してるよ」っていうことで調べた時に(藤野さんが)いて、Zen2.0に来ていただいたんですよね。

藤野:そうですね。

三木:そこがきっかけでZen2.0に来ていただいて、初めてZen2.0に来た時どんな印象でしたか?

藤野:僕は第1回目も参加してるんですよね。

宇都宮:2017年?

藤野:2017年ですね。フロアからいっぱい質問してました。

三木:誰に?

藤野:ジェレミー・ハンターさんとか島田由香さんとかが発表しているのを聞きに行って色々と質問をさせてもらったりして。そこで色んな出会いがありましたね。今もあそこで出会った多くの人達とつながってます。

三木:(藤田)一照(いっしょう)さんとか?

藤野:一照さんは前から知り合いでしたけど、そこでは、どちらかと言うとビジネス寄りでマインドフルネスに興味を持ってる人達とのつながりがいっぱいできました。

三木:何か不思議なイベントでしたね。

藤野:そうですね。面白かったです。

宇都宮:他人事みたい。

三木:完璧に他人事なんですよ。僕はやってる感じがなくて、ロケーションがあってロケーションが変わると自分がそのストーリーの中の一部みたいな感じになって、自分はそこに主導権がないっていうか、その映画の中に登場人物的に登場するみたいな感覚だったんですよね。だから全く僕は無責任な感じで勝手に展開される物語があって楽しんでました。だからほとんどプレッシャーとかなかったし、それまで2年間準備してきたんですけど、ほとんど緊張することなく…

藤野:あれが全てボランティアの人達で成り立ってるっていうのはすごく興味深いことだなと思って見てます。

三木:そうですね。毎回色々皆さんにご苦労をおかけしてるんですけど。人を癒すためのイベントなんだけど、でも時々僕ら自身が癒しが必要になってしまうという状態もあって矛盾も抱えながら、でも今年4回目できればいいかなと思ってやっています。

●藤野さんの瞑想の脳研究について

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三木:藤野さんの今やってらっしゃることをちょっと簡単に紹介してください。
藤野:今やってることは瞑想の脳研究ですね。瞑想をしている人に大学に来てもらってMRIの中でいくつかのタイプの瞑想をしてもらって、その時の脳活動がどういう風になっているかっていうのを調べることをやったりしてます。

三木:その研究のアプローチの仕方をした時にそれまで瞑想というのがやや怪しげなものとして捉えられていて、それをちゃんとサイエンスとして日本で研究されてる。それまでたくさんの方もいらっしゃったと思うんですけど、若い年代の方でやってらっしゃる方が珍しかったのですごい興味を持って、色々とその後お話をさせていただいてるんですけど。最近瞑想と脳の研究者って若手も増えてきている感じなんですか?

藤野:徐々に増えてきている気がしますね。ただそれでも数えるほどだと思いますね。特に自分自身で瞑想しながら瞑想の脳研究をしているっていう人はほんの一握り…

三木:大体は自分は実践者じゃない方が多い感じ?

藤野:日本の場合はそもそも瞑想の脳研究をしている研究者がほとんどいないっていう状態で、その中でもさらに自分で瞑想を継続的にやってる人はほんの一握りという感じですね。特にMRIを使ってるっていう人になるともう本当に1人か2人という感じです。僕が2018年に出したScientific Reportsの論文では、瞑想の実践者を対象にしたMRI研究をしたんですけど、それが国内で瞑想の実践者を対象にした初めてのMRI研究だったという感じなので、まだまだこれからですね。

宇都宮:世界的にはあるんですか?

藤野:世界的には結構ありますね。もう2004年を皮切りに…

宇都宮:もうそんなぐらいから?

藤野:はい。かなり多くの研究が積み重ねられています。でも遡っていくと世界で初めてちゃんと瞑想の熟練者を対象にした脳研究をやってたのは日本なんですね。1950年代ぐらいの話で、インドは瞑想の熟練者とかいっぱいいたんですけど、脳研究者がそんなにいない。アメリカは当時は脳波とかを扱った研究者はいるけれども、実践者がそんなにいない。でも日本っていうのは禅のお坊さんっていう熟練者がいて、しかも東京大学とか駒澤大学とかで脳波の研究をしている研究者がいたんです。それで両者が重なる形で早い段階から瞑想の脳研究を進めて、論文を出していたのは日本なんですよね。それから、50年代、60年代にかけてアメリカに瞑想の熟練者が増えてきて、そういう人達を対象にした脳研究が始まってくるフェーズがあって。

三木:アメリカはかなり研究の歴史が長いですよね?30年近く蓄積が…

藤野:積み重ねてきていますね。

三木:日本で瞑想と脳の研究はそんなに進んでなかったっていうのは25年前のあの事件(地下鉄サリン事件)が大きいんですかね?

藤野:あれはすごく大きな事件だったとは思います。あれによって研究が遅れたっていうのは間違いないと思うんです。瞑想はそれまでも色々と注目を集めてた分野ではあるんですけど、あそこでいろんな研究が停滞したということを聞いています。ただ、よく「日本人が瞑想と聞いて何かうさんくさいものを感じるとか距離を置くっていうのはあれが原因だった」って言われたりしてますけど、じゃああれがなかったら今の日本人が瞑想を受け入れていたかっていうと、僕はそうでもないんじゃないのかなって思ってるんです。その前からもう瞑想とかそういうものに抵抗を感じてる人が多かったので、あれだけが原因だったわけではないと思いますね。ただ、あれがなければ、瞑想に対する違和感がもうちょっと早い段階で少なくなってたんじゃないのかなって思いますけどね。

●藤野さんが瞑想に興味を持ったきっかけ

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宇都宮:藤野さんがそういうことを研究しようと思ったのは何かあるんですか?子供の頃からそういうことに興味があって今に至る感じなんですか?

藤野:高校生ぐらいからずっと違和感を感じていて。

宇都宮:違和感ってどういう?

藤野:何なんでしょうね。ずっと、周りから服を着せられてるような状態ですね。「これを着なさい」「あれを着なさい」ってどんどん価値観みたいなものとかを着せ続けられてる気がして、何とか脱ぎたいんだけど脱ぎ方が分からないし、どんどん重ね着をしていくからどこまでが自分か分かんない状態になってきていて、でもその着続けてる感じにすごい違和感があって、何とかして脱ぎたいなっていうのがあったんです。それで色々と旅をしながら何か脱ぐ方法はないのかなって探してる時にインドでヨガに出会ったりとか…

宇都宮:高校の頃?

藤野:いや、旅を始めたのは大学入ってからですね。高校から違和感を感じて、大学ぐらいからそういうのを模索し始めました。インドでヨガに出会う前に、大学時代のモラトリアム期間も一旦タイムリミットが来て企業に就職するっていうのが先にあったんです。元々大学では会計を専攻してて、それから医療系の会社に入って。

宇都宮:会計を学んでたんですか?

藤野:そうですね。専攻は会計で、会社に入っても1年間の営業研修した後は本社で経営企画管理の仕事とかしてました。その後、上海で3年間駐在員をしました。上海に中国五社を統括しているCEOがいて、その下に営業系と経営企画管理系の管理者がいたんですが、経営企画管理系の管理者が僕だったんですね。中国五社の経営企画管理系の仕事は全部関わってるという感じでした。

宇都宮:ガチガチの会社員ですね。

三木:上海時代はどうだったんですか?どういう生活を?

藤野:めちゃめちゃ働きましたね。本社の経理部にいた時もめちゃめちゃ働いてたんですよね。当時2005年ぐらいだったんですけど、残業は100時間以上とかしてたと思います。特に決算期とかになると毎日夜中まで働いて土日どっちか出勤してという感じで。ちゃんと残業代も出てたんですけど、身体と心にはめちゃめちゃストレスがかかってたと思います。でも上海に行ったらそれ以上働いてた気がしますね。

三木:上海っていう町も都会だからリラックスできるとかなかなかない感じですか?

藤野:そうですね。特に僕が行ったのは2008年、09年、10年っていう中国が一番元気だった時で。2008年が北京オリンピックで、09年が建国60周年で、2010年が上海万博っていう世界から一番注目されてた3年間で。おかげで反日デモみたいなのもなくて、生活はしやすかったんですけど。なんとなく僕も含めてみんな浮かれてました。何か新しいビジネスをしたいとかって。ビジネスマンとしてはすごく良い経験だったんですけど、やっぱり働き過ぎで自分の中に色んなストレスが溜まっていくのは感じていました。

宇都宮:体調が芳しくないとか?

藤野:劇的におかしくなるっていうわけではなくて、何となく慢性的に疲れてるっていう状態で。元々世の中の人々の健康に何か貢献したいっていう想いは強くあって、それで医療系の会社に入ったんですが、世の中の人々の健康の前に自分の健康がどうにもならなくなってくるっていう。これはちょっとまずいんじゃないのかなって。「まずは自分自身が健康になって、健康ってこんなに素晴らしいんだったら世の中の人も健康になってもらいたいっていう風に動き出せれば、すごく矛盾のない活動ができるのにな」と思いながら、そもそも自分の健康をどう回復していったら分からないっていう状態でした。その頃に、インドでヨガに出会って、その流れで「ヴィパッサナー瞑想というのがあるよ」っていうのを聞いて、「受けてみたい!」と思って、2010年の10月に京都の10日間コースに参加したんです。

●ヴィパッサナー瞑想と会社を退社した経緯

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藤野:ヴィパッサナー瞑想はすごい面白くて。10日間一切しゃべっちゃダメなんですね。インターネットとか携帯も読み書きもダメで、朝の4時半から夜の21時までの間に1時間~2時間の瞑想を8回ぐらいするっていうのを10日間ずっとやる感じですね。最初の3日間は鼻の入り口あたりで生じている呼吸にただただ注意を向けるっていうのをやります。呼吸に注意を向けても、数秒後には注意が逸れていったりしますが、それに気づいたらまた呼吸に戻ってくる。もうこれを延々と繰り返す。やればやるほど呼吸に注意をとどめやすくなるし、何かに逸れても早くにそのことに気づけるようになるし、逸れてる時に、例えば鬱々とした感情だったりとかあるいは旅行の計画を立てている時っていうのは気づいてもなかなか戻ってこれないんですけど、それも早く戻ってこれるようになってくるんです。

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瞑想が鬱に効果があることの理由の1つは、鬱々とした感情にとらわれてもちゃんと呼吸に戻りやすくなるっていうのがあると思うんですよ。最初の3日間で、ある程度そういうことができるようになってくるんですね。それから、後の7日間で自分の身体の感覚を順番に観察していくっていうのをやるんですね。
三木:その時に「切り替えていいよ」って言った時に何か衝撃が来ませんでした?僕は自分の体が3Dのワイヤーフレームみたいになって、そのワイヤーフレームの内側から自分を見てる不思議な感覚がありました。

藤野:切り替えのタイミングは本当にヤバいと思います。

三木:ヤバいよね。人によってたぶん違うと思う。

藤野:人によってだいぶ違うと思うんですけども。3日間徹底的に一点に注意を集中するっていうのはある意味で顕微鏡の被写界深度を深めていく作業をやってるんだと思うんです。一点に注意をとどめる訓練をすることで、注意を向けた身体の部位でどれくらいの深さの感覚を観察できるかが決まってくるのだと感じています。後の7日間の瞑想でどれくらいの深さの身体感覚を観察できるかを決めるのは、最初の3日間だと思います。その3日間で被写界深度を深めた上で、後の7日間の最初に、2時間くらいかけて、その深さで何が起こっているかっていうことを丁寧に観察していくっていうのをやるんですよね。そうすると、僕の場合、ものすごく強い身体反応がでてきたりします。

三木:すごい方法論として完成度が高いですよね。

藤野:完成度は高いと思いますね。ただ個人でやるとリスクがあるので、それをちゃんと分かっている人と一緒にやるっていうのがすごく大事なんだと思います。そうやって7日間、身体の感覚を観察し続けて最終日に少しだけ慈悲の瞑想をやって、それでコースが終了します。僕はそれを10日間やって、ストレスがものすごくなくなっていったのを感じました。それと、ずっと感じてた、何か価値観みたいなのを着せられて脱ぎようが分かんないと思っていたものをどうやって脱いだらいいかが分かったっていうのがあったんです。

宇都宮:高校の頃から感じてたものが?

藤野:そうですね。自分に皮膚化してしまってたものも、ちゃんと観察していけば、それも変化するもので、自分と同一化したものではないんだっていうのが分かってきて。それが分かると後は取っていくことができるっていうことも何か感覚的に理解することができて。これはすごい面白いなと思って。それで10日間が終わって、次の日にはもう上海に飛んで、すぐに仕事を始めたんですけど。そうすると「あいつは何をやってたんだ」っていうことになるわけですよね。友達とか会社の人とか。

宇都宮:「10日間何してたの?」みたいな。

藤野:「何してたの?」ってまさに聞いてくれたりするんですけども、「誰ともしゃべらずに最初の3日間は呼吸に集中してました」「あ、そうなんだ。それで?」「後の7日間は身体の感覚を観察してました」「へー、そうなんだ。で、どうなったの?」「いや、何か出てきてからほんのり幸せなんですよね」っとか言ったら、みんな「ふ、ふーん、、、」ってちょっと引いたりするんです。うちのおかんも電話でしゃべってて「壺とか買ってないわよね?」とか(笑)。

三木:宗教じゃないから。もう完全に瞑想のプラクティスの場所。でも最初はちょっと警戒するよね。うちの奥さんも2回10日間コースに行ってるんですけど、僕も勧められて10日間行って、そこから自分の瞑想のやり方が色々バリエーションが増えたというか見え方が変わりましたね。あと夜のお話会が楽しみで。

藤野:面白いですよね。

三木:仏陀のお話がテープで流れるんです。

藤野:10日間コースはそうですね。夜の講話は好きな人は本当に好きですね。苦手な人もいるんですけどね。ずっと座って、1時間とか2時間聞くのは大変ですから。英語版はもっと面白いんですよね。

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三木:そうなんですか?

藤野:ゴエンカさんが実際にしゃべってて面白いところがいっぱいあるんですけど、それを日本語で丁寧に翻訳して音声で説明しちゃうと、間が悪くなってしまうので。英語版を聞いている人のところでは毎回ドカンドカン笑いが起きてます。ただ、僕は10日間コースに15回ぐらい行って、日本語や英語の講和を聞いてるんですけど、どちらにしても毎回新しい気づきがあって面白いです。

三木:そんなに行ってるんだ。その後20日間コースも行かれて?

藤野:はい。2010年に初めて10日間コースに参加してから、大体年に2回ぐらいは参加してて、一昨年に初めて20日間コースに行きました。

三木:20日間コースはどうでした?

藤野:20日間コースも面白かったですよ。ただきちんと段階を踏んでいかないと、20日間コースは参加できないようになっています。それは、さっきの顕微鏡で言うところの被写界深度がかなり深まるので、つまり身体や内臓のかなり深いところの感覚に気づけるようになるので。

三木:微細なところを感じ取るっていう。

藤野:そうですね。ゴエンカ式だと10日間、20日間、30日間、45日間、60日間コースがあって、『ホモサピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリさんとかは60日間コースまで参加してるんですよ。

三木:すごい。アシスタント・ティーチャーをやってますよね。

藤野:そうですね。どのコースでも1:2の割合で最初の集中瞑想(アーナパーナ瞑想)と、後の洞察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)をやるんですね。10日間の場合は、最初の3日間が集中瞑想で後の7日間が洞察瞑想という感じです。20日間コースの場合は、最初の7日間で集中瞑想をやって、後の13日間で洞察瞑想をやります。60日間コースの場合は、20日間もの間集中瞑想をやるんです。身体と心を、玉ねぎのようなレイヤーがあるとイメージすると、集中瞑想をすればするほど被写界深度がかなり深くなっていくという感じです。10日間コースの場合、最初の3日間でずっと注意を向けることで、ある程度自分の身体の表面に起きてることが分かるようになってくるんですね。これはそんな特殊なことじゃなくて、例えば手のひらに注意を向けるとそこに感覚が生じてくるのが大体の人は分かると思うんですよ。この感覚ってさっきまでなかったかって言うと、実はさっきまでもあって、ただ注意を向けてないから気づいてなかっただけなんですね。これをさらに3日間ずっと集中してから、同じ手の平に注意を向けるとより繊細な感覚があることが分かったりするんです。後の7日間では、そういったことを、つまり全身で何が起こってるかなっていうのを観察するんですけど、その中には身体感覚に連動するような形の何かトラウマティックな記憶であるとか、そういうものがあるんじゃないのかって考えられていて…

三木:そこが自分の研究にもつながってるんですね。

藤野:そうですね。それを観察した時に振り回されるんじゃなくてありのままに見守ることができればそれが少しずつ取れていくような感じがあるんですね。いきなり20日間コースとか30日間コースとかで7日間とか10日間ずっと呼吸に注意を向けると、その後に切り替えの時にえらいことが起こるっていう話が…

三木:えらいことがね(笑)。

藤野:そのえらいことがさらに深いレベルで起こってしまって、普通の人じゃなかなか耐えられなかったり、向き合えないものが出てきたら困るので、ある程度ステップバイステップで10日間コースを何回かやって、大丈夫だなってなると20日間コースにも参加できるみたいな流れになっています。

2010年にこの10日間コースに参加して、自分自身では、「瞑想によってすごく健康になれるし、これを使えば今までの自分が感じてた何か条件づけみたいなものが取れそうだし、何よりも自分でストレスを取り除いたりすることができるな」って思ったんです。ただ、2010年頃は、まだマインドフルネスっていう言葉も流行っていなくて、瞑想がうさんくさいって感じている人達が結構多くて、「もったいないなー」って思いました。「全ての人が瞑想をやるべきだ」とは思っていないんですが、「瞑想によってそういった効果を得られる人はいっぱいいるだろーな」と思いました。ただその人達も、何かうさんくささとか偏見とかがあって、瞑想にアクセスできない状態になってるのはもったいないから、そこの胡散臭さとか偏見を取っ払うようなことをしたいと思って、それで「これは働いてる場合じゃない」って…

宇都宮:この企業で(笑)。

藤野:良い企業だったんです。僕はすごい好きな会社で、今も年に1回ぐらいはそこの会社にマインドフルネスの話をしに行ったりしてるんですけど、ただ、「より自分のやりたいこと、自分自身が健康になって、しかもそれをみんなに伝えることで、周りの人達も健康になれるような仕事ができるんじゃないのかな」と思って、2010年10月に10日間コースを受けた後に、12月には辞表を出して。

宇都宮:早いですね。

藤野:はい。それで海外だったので引き継ぎも色々あって、その後、2011年の5月に京都に引っ越して、それから大学受験をし直して。

三木:それから(笑)。すごい。

藤野:はい。「受かってから」とか言ってたら、いつまでも受かんないなと思って、それで5月に引っ越して、その年の8月の編入試験を受けて運よく受かったので、2012年から大学3年生になりました。

▶後編に続く

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