持続化給付金と課税
(全裸不動産 全裸幡随院)
ここ最近、持続化給付金に絡む詐欺事件が次々に検挙されていますが、昨年にも一時期、詐欺容疑による逮捕事案が相次いだことが思い出されます。以前に経済産業省の若手官僚が逮捕される事件がありましたが、今度は、現役の国税局職員や元証券会社やコンサルタント会社の人間が立て続けに逮捕され、世間に衝撃が走っています(昨年も行政書士が逮捕される事件がありましたね)。特に、現役の東京国税局職員が関係する事件は大きく報道でも取り上げられているところです。
新型コロナウィルス感染症の関係で国などから支給される主な助成金や給付金が相当数あり、導入当初はその使い勝手が悪いために、使いやすいように制度を改めた結果、そこで生じた制度的欠陥を悪用して給付金を詐取する者が後を絶ちませんでした。特に、持続化給付金の個人事業主への給付の条件が当初より大幅に緩和されたために、こうした悪用事案が急増したのでしょう。
もちろん、当初は支給条件を満たせなかったフリーランスの講師業の人々が給付対象になったなど、条件緩和によって救済された人も多くいたので、一概に条件緩和自体を責めるわけにはいきません。とはいえ、あまりに「性善説」に立った制度的建付けだったとも言えます。その欠陥を、こうした書類作成に手慣れた者たちが悪用することは、予想されていた事態でした。
新型コロナウィルス感染症の関係で国などから支給された助成金や給付金は、思いつくだけでもかなりの数に上ります。例えば、新型コロナウィルス感染症対応休業給付金、雇用保険の失業等給付、特別定額給付金、子育て世帯への臨時特別給付金、学生支援緊急給付金、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金、持続化給付金、感染拡大防止協力金、中小法人・個人事業者のための一時支援金・月次支援金、雇用調整助成金、家賃支援給付金、小規模事業者持続化補助金、新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金、Go Toトラベル事業における給付金、Go Toイート事業における給付金、Go Toイベント事業における給付金、すまい給付金などなど。
こうした様々な助成金や給付金申請の事務手続は複雑ですから、それに不慣れな人たちを狙っていらぬ勧誘を仕掛ける者が出てきます。行政が複雑化・肥大化すると、その事務コストがかさむだけでなく、その複雑さを悪用する事案が生じやすい土壌が形成されます。実際、持続化給付金申請手続きを手伝うと称して多くの人から金を巻き上げていたいた人たちがウヨウヨわいて出てきたことを思い出しましょう。
それにしても、国税局職員による詐欺事案は衝撃でした。おそらく、国税局自身もショックを受けていることでしょう。もっとも、持続化給付金を所掌するのは国税局ではないので、国税局職員による職権を利用した犯罪というわけではないけれど、これから、昨年支給された持続化給付金を確定申告し忘れている人(忘れているというよりか、課税対象であることにすら気がついていない人が多いのでしょうが)に、税務署から連絡がくるかもしれず、その際、税務署としてはまったくあずかりしらぬことで納税者からやいのやいのと文句を言われて業務がやりづらくなることだって想像されますね。
ちなみに、持続化給付金は、雇用調整助成金や家賃支援給付金などと同じく課税対象になるわけですが、区分によって扱いが異なるので、ご注意をば!事業所得者向け持続化給付金については事業所得扱いに、給与所得者向け持続化給付金については一時所得扱いに、雑所得者向け持続化給付金については雑所得扱いになります。