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HSPさんの悩みは仏教で解決できる

「HSP Buddhism」 文/絵 LAIN.

HSPとは

Highly Sensitive Personという生まれつき繊細で傷つきやすい性質のことで、アメリカの臨床心理学者エレイン・アーロンさんによって提唱されました。5人に1人の割合で存在するとされていて、人といると不安や緊張を感じやすく、相手の細かい仕草や言葉使いが気になってしまいストレスを溜め込みやすい人のことを言います。

仏教とは

2500年前のインドの王子様、ゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)が悟りを得てたどり着いた、苦しみから離れ、幸せに生きる為の教えです。人生の苦しみを、一時の快楽で忘れるのではなく、その原因を突き止め、慈悲心と知恵を育てることで人間が生きる中で感じる全ての悩みを根本から見つめる教え、それが仏教です。

HSP+仏教の教え

人と関わると相手に気を使いすぎて疲れてしまう、周りの刺激を敏感に感じてしまうため心が休まらない。HSPさんが日常的に感じている苦しみは、見た目だけ見ても周りにはあまり伝わりません。しかし、それは当然です。
仏教では、苦しみは自分の中で生まれ、自分の中にのみ存在するものだと教えられています。問題は周りの環境ではなく、HSPさんの繊細な心が自ら作り出しているのです。そんなこと言われても、好きで繊細に生まれた訳じゃない!と思われるかもしれません。でも、大丈夫。お釈迦様の唱えた仏教の教えは、HSPさんが辛い時、前向きな心の持ち方を示してくれる暖かい灯火になります。この先、苦しみを感じる場面に遭遇したなら、こんな時はこう考えてみよう!と、仏教の教えを上手く使い、私は繊細だから...私は弱いから...と思う前に、どんな状況でも、厳しい現実から心を守れる人になってほしいのです。
HSPさんの支えになる仏教の教えをご紹介します!


人生は諸行無常


諸行無常とは


良いことも悪いことも、永遠には続かない。人、物、場所、役割、精神状態、どんなことも、常に変化している。そんな世の中で、失うことを嘆き悲しむ必要は無いという教えです。
私はこの数ヶ月で、引っ越しや転職、家族問題なと、様々な周りの変化に心をゆさぶられていましたが、苦しい時に真っ先に考えるようにしたのが「諸行無常」の教えです。毎日、一緒にいるのが当たり前だと思っていた人も、いつ心が離れ、話が出来なくなり、何かの事故にあったり、命を落としたりするか分かりません。HSPさんは急なトラブルに強い拒否反応を起こす性質を持っていますから、変化の連続である人生に振り回されないように、人生とは「諸行無常」であると受け入れ、何が起きてもその時その時で自分がどう対処するかを、もっと楽に判断出来るようになっていただきたいです。「雲水」という言葉があります。意味は、形を変えてゆっくりと流れていく雲や、どこに流れていっても穏やかに人を癒す水のように、臨機応変に対応できる生き方のこと。明日、仕事をクビになったら、落ち込むよりも「何が自分に向いているか」を考えて、即座に次の仕事を探す心と身の軽さがあれば、人生は本当に楽しいことばかりになるでしょう。
  

自灯明を持つ

自灯明とは


お釈迦様が自身が亡くなられる直前、お釈迦様亡き後、何を信じて生きれば良いのかと訴えたお弟子さんに、お釈迦様はこうお答えになりました。「自分自身を灯明としなさい。」今までお釈迦様に教わってきた事を思い出し、弟子たちが自らの知恵を信じて生きていけるように残したメッセージです。HSPさんは他人のネガティブな言葉や態度に影響されがちですが、仏教には
「他人のしたこと、しなかったことを見るな、自分のしたこと、しなかったことを見ろ」という一説があります。
人がどうこうより、自分がどうだったかが重要です。「寞妄想」という言葉があります。意味は「人は人、自分は自分」。何があっても自分のやるべきことだけに集中することが大切、人のことなんて考えるだけ無駄です。無理なく働き、しっかり休んで、自分を自分で守れるようになりましょう。それでも嫌いな人から言われたことや、されたことが忘れられないのなら、自分なりの考え方を持ちましょう。
例えば私は、自分を嫌な気持ちにさせる人はみんな不幸で可哀想な人だと考えるようにしています。これが私の自灯明です。

執着を捨てろ!

執着とは


仏教では「しゅうじゃく」と読みます。
一つの事に囚われて、それにこだわって他の意見を受け入れられないこと。

「放下著」という禅語があります。
自分が執着している考えを捨てること。どんな辛い思いをしたとしても、それは既に過去の出来事。大切なのは過去でも未来でもなく現在。後悔に引っ張られず、不安に囚われないようにするには、今の自分の成長を邪魔する余計な執着を捨てること。
それは、HSPという気質にも言えます。
繊細で疲れやすい、しかし「私はHSPだから幸せになれない」と、そんな風に自分で自分を卑下してしまっては勿体ない。
もちろん、HSPは切り離したくても切り離せないものですが、これを「呪い」とするか、5人に1人の「才能」とするかで変わってきます。お釈迦様は「知恵」「慈悲心」「仏性」を育てることが幸せになる秘訣だと説かれました。「仏性」とは、あなたの生まれ持った個性です。HSPは人の気持ちに寄り添うことができる素敵な才能です。
自分の好きなことを伸ばし、誰かの役に立てる人になれば、そんなあなたの「仏性」に惹かれ、良い人に巡り会えるかもしれません。自分にはあれが無いこれも無いというマイナス意識を捨て去り、ありのままの自分を受け入れること。2500年も昔に、執着を手放した者から幸せになれるという心理を発見されたのがお釈迦様です。

貪瞋痴を見極めろ!

貪瞋痴とは


人には、3つの毒があるとお釈迦様は教えられています。
「貪」は、欲望を満たそうと理性を押さえられないこと
「瞋」は、嫌いな人や物に対しての怒りや憎しみのこと
「痴」は、自分や相手について理解が足りない為に悩み苦しむこと

人生の中で、人間はこの「三毒」に常に犯されています。ダイエット中なのについ食べてしまう。友達と会えば嫌いな上司の悪口を垂れ流す、炎上した有名人をよく知りもせずにバカにする。
HSPさんは、周りにアンテナを張りすぎてしまう為に苦手な人や場所が多くあると思います。例えば、デリカシーの無い人にあれこれ見た目について言われたら、「言い返したいけど向こうに悪気があるわけでは無さそうだから言い返せない」と、心にモヤモヤが溜まってしまいます。この場合、自分の今の感情が何なのかと考えると、「瞋」だと分かります。
では、どうして「瞋」の心が生まれるのか、それは「痴」が足りていない為です。
相手のことをよく知らず、デリカシーの無い言動だけでその人を判断しているから、怒りや憎しみだけになってしまうのです。
その人をよく観察し、なぜデリカシーが無いのかを考える。人に嫌な思いをさせる人は周りから嫌われます。その人にはうわべだけのお付き合いはあっても、真の意味での友人は1人もいないのでしょう。
まさに「可哀想な人」なんです。
HSPさんには、モヤモヤした時こそ「貪瞋痴」を思い出して、モヤモヤの正体を突き止めてほしいです。

人生は一切皆苦

一切皆苦とは


少し、キツイことを言いますが、人生は苦しみがデフォルトです。この記事をお読みになっているのなら、HSPの悩みに日々、苦しめられているのだと思います。
仏教に「四苦八苦」という言葉があります。

・生きる苦しみ
・老いる苦しみ
・病気になる苦しみ
・死ぬ苦しみ

上の四つに更に、四つの苦しみ

愛別離苦(あいべつりく):愛する者といずれ別れる苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく):嫌いな者と関わらなければならない苦しみ
求不得苦(くふとっく):求めているものが手に入らない苦しみ
五陰盛苦(ごおんじょうく):自分の煩悩をコントロールできない苦しみ
 
人間関係、お金の悩み。人は誰でも自分にしか分からない悩みを抱え、それを理解してもらえない孤独を抱いています。HSPはまだまだ新しい言葉で、無理解な人にとっては「甘え」や「怠け」だと言われることもあります。HSPさんは、電車に乗る、レジで買い物する、コーヒーを飲む、喫煙所の側を通るというような、非HSPさんには何でも無いことに対して強いストレスを感じてしまいます。そんな自分を理解してくれる人がいない、自分は孤独だと感じているとしたなら、「サイの角のようにただ1人歩め」という教えが必要なタイミングなのです。孤独は自分自身と向き合い、今後の人生をより良くする為に必要なものです。
苦しみの原因のほとんどは、自分の心の中で起きているものです。人生は「諸行無常」だと受け入れ、HSPさんが振り回される人間関係も、「貪瞋痴」を思い出し、周りから飛び込んでくる光や音、臭いも自分なりの対処法「自灯明」を確立して、自信を持って生きてください。
「天上天下唯我独尊」、ただ生きているだけで、あなたには価値があります。HSPは生まれ持った性質、でも、それは紛れもない「強み」「個性」「才能」です。

まとめ

繊細、刺激に弱い、孤独で苦しくて辛い、もう死んでしまいたい。そんな思いを抱えてしまっているHSPさんも沢山いることだと思います。私もそうでした。占い、スピリチュアル、マインドフルネス等に頼って幸せになる方法を模索しましたが、どれもその場限りの励ましにしかならず、根本的に苦しみを手放すことは出来ませんでした。しかし、仏教の教えは、この世の仕組みと人間の心理に基づいた教えです。甘い言葉で心を癒すことも良いことですが、苦しみを正面から見つめて、その原因がどこにあるのかをよく確かめることが、HSPさんの心を少しずつ強くしてくれると考え、HSP+仏教をテーマに今回の記事を書くに至りました
どんなに辛いときも、仏教の教えを思い出して、HSPさんが強く賢く生きていけることを願っています。ありがとうございました。LAIN.

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