見出し画像

「どろろ」セカンド・エディション発売!

今回は
「手塚治虫トレジャー・ボックス どろろ セカンド・エディション」のご紹介です。

本作は2012年に発売されたものですがあまりの人気のため完売。
その後は高値で取引されるなど入手困難な状況が続いており
ファンから再販の声が常に上がっていた人気商品であります。

それがこの度、2024年5月27日ついに再販決定の運びとなりました。

という訳で今回、発売記念といたしまして
商品レヴューしちゃいます。

まずは、この「手塚治虫トレジャー・ボックス」とは一体何なのか。
公式サイト上ではこうあります。

国書刊行会より

「単行本化の度に描きかえては切り貼り、編集し、時には結末まで変更される手塚漫画。常に進化を求めた巨匠の姿勢は、単なる読者サービスの域を超え、まさに“編集狂”と呼ぶにふさわしい大胆かつ鮮やかなものです。」

公式サイトより

はい、、その通りです。読者サービスの域を超えとあるように
本来なら読者のために編集するものなのですが、手塚先生はほとんど自己満のためにやっているところがあって、もはや何のための編集なのか意味不明なのものもあります(笑)
とにかくいじくり倒すのが大好きな作家。
それが手塚治虫であります。

「時代に応じた台詞の変更から、判型に合わせた描き足しや描き直し、
さらには絵柄の改変まで。改訂の理由は様々ですが、ファンなら一度はオリジナル版で読みたいところ。
何しろ後年の版では、原稿紛失によるトレスやエピソードごと丸々カットなんて荒技まで確認出来るのですから。」

公式サイトより

はいココです。
セリフの変更程度ならいざ知らず、エピソードを丸々カットまでやらかす手塚先生。カットどころかストーリー変えたり、エンディングを変えたりも平気でやり散らかします。なんでエンディング変えるん?(笑)
そんなマルチエンディングやストーリーに分岐作ったらファンは見たいに決まってます!
故にファンはオリジナル版を望んでしまうのであります。

「そんななか、本シリーズでは、オリジナル版未読のファンの期待に応えるべく、各作品を掲載誌からダイレクトにスキャン。最新のデジタル処理を施すことで、発表時のオリジナル版の風合いのまま単行本化を実現しました。
しかも、これまで単行本化の際に再現されなかった美麗なカラーページも忠実に復刻、さらにイラストや別冊付録まで網羅します。
手塚ファンはもちろんのこと、全ての漫画ファンに送る永久保存版。待望の復刻シリーズです。」

公式サイトより

というわけで如何に手塚治虫のオリジナル原稿がレアアイテムなのか、そしてこの「トレジャーボックス」とは発表当時のままの姿を拝める貴重なシリーズであることがわかって頂けたかと思います。

そしてこのトレジャーボックスシリーズには
「どろろ」だけでなく「バンパイヤ」「W3」と全3作品あります、
今回は全部ご紹介しますのでぜひ最後までお付き合いください。


まず「どろろ」から
注目は何と言っても幻の「冒険王」版の掲載です。
元々「週刊少年サンデー」に連載されていて一時中断しその後、「冒険王」にて連載再開しました。
その際に二人の生い立ちの物語が一部改編されているのですが、これが単行本版では丸々カットされ以降「伝説のエピソード」となっております。

その内容とは
百鬼丸の旅は失われた身体を48体の魔物を倒すことで取り返すというものですが、なんと「どろろ」を殺せばすべての身体を取り戻せるというとんでもないチート設定が追加されました。
さらには、「どろろ」が魔物に作られたという設定も追加されました。

これには百鬼丸も、
どろろを殺せないとして苦悩するシーンが描かれているんですが…
読者の反応もあまり良くなく
やはりといいますか完全お蔵入りとなりました。
そんな完全お蔵入りエピソード含む、単行本未収録の削除シーンに加えて見開き扉・カラー扉を完全復刻した決定版でございます。

ちなみに
このセカンドエディションは前回の「トレジャー・ボックス どろろ」と内容は同じになっております。
あくまでも再販ですのでご注意くださいませ。



さて続いて「バンパイヤ」いきましょう。
「バンパイヤ」と言えばこれまでの手塚オールドファンを蹴散らし新しい手塚治虫像を構築したピカレスクの傑作です。
ド悪党を描きたかった手塚先生のダークサイドが弾け飛んだ人気作として知られておりますが、実際のファンの反応は賛否両論となります。
この辺りのロックの悪人描写への批判など含め
パンパイヤをどう見るのかについては「チェイサー」というマンガの第4巻19話に掲載されているのでぜひ一度覗いてみてください。
当時の読者の反応がどういうものだったか手塚先生がどういう思いだったのかを知れる非常に面白いマンガですのでこれはオススメです。

チェイサー第4巻19話より


本作トレジャーボックスの見どころは
1968年10月より「バンパイヤ」第二部がスタートしたのち掲載雑誌「少年ブック」が休刊になったために未完となった第二部の掲載。
そして単行本未収録のシーンや「バンパイヤのひみつ」というカラー特集記事、そして見開き扉・カラー扉を完全収録
さらに本編以外にも別冊付録(二冊)を当時の形で復刻されております。

個人的にバンパイヤのこの時代の手塚先生の歪んだ精神性が垣間見えるタッチが好きです。
明らかに作風が変わったと感じさせる異質さが何とも魅力的で
デザインの観点から見てもカッコイイですよね。
自身で「脱手塚」を模索して生み出した画風。痺れます。



さぁ最後に「W3」見ていきましょう。

「W3」と言えば何と言っても天下の「W3事件」ですね。
「週刊少年マガジン」で連載されるも手塚先生がブチ切れて6回で中断、
さらにあろうことかその後「週刊少年サンデー」にて連載を再開させるという暴挙を披露した伝説の大事件であります。
しかもこれ「マガジン」に断りもなく単独で決めましたからね(笑)
まさに前代未聞
出版社をまたぐという禁断のタブーを犯した本作はこれにより「週刊少年マガジン」で連載されていた6話分は完全お蔵入りしました。

以後「幻の作品」としてファンの間で知られることになるのですが、このトレジャーボックスではその6話を含む全エピソード収録です。
そしてもちろんカラー扉も収録されて、さらには別巻オリジナル冊子として手塚先生自筆によるアニメ版の貴重な資料も掲載されております!
まさに完全無欠のオリジナル版と言えます。


以上、全3作品のトレジャーボックスみて参りましたが如何でしたでしょうか。
3作とも決してお安くはないのでおいそれとコンプリートという訳にはいきませんがご自身の思いれのある作品には永久保存版として
お手元に置いておくものよろしいかと思います。
ではでは。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集