障害者雇用の事務員としてその2

私のnoteの読者は障害者当事者かもしくは障害者雇用に関心がある人と前提に私は考えて記事を書いている。私は福祉施設から離れて、一般就労になり、何が良かったかを考えてみる。働く目的は金銭を得ることで、日々の生活の糧を得ることである。

18年以上働いていると、企業の考え方がわかってくる。私は日研トータルソーシング株式会社という派遣会社で働いているから、派遣業界のことが多少、知識がある。今では福祉や医療の分野のことの方がよくわからない。私の勤めている会社の現場では多くの従業員が働き、多くが辞めていった。いろいろな派遣社員がいるが理想は目的を持って、一定の期間働いて、お金を貯めて、次のステージに移っていく。これが理想である。中にはこれはという従業員は、派遣先で雇用される。あるいは派遣元で職員として採用される。そういう可能性もなくはない。

私は事務員なので従業員と直接関わりはない。勤怠入力や契約書の作成等をしているので、従業員の給与が大まかに把握できる。ちゃんと働いている人はそれなりに給与をもらっている。この場は私が障害を持っていて働いていることがメインなので派遣については深く掘り下げない。

私は精神疾患を持っているが、安定して継続して勤めている。それは何故だろうと考えていくと、働き出した初期の頃と働き続けている現在の違いはあまりないことが挙げられる。働き出して、何かスポーツがしたかったので、近所のテニススクールに休日通う。そして週末、家でゆっくりしながら競馬をする。これがベースで昔と今の生活はほとんど変わっていない。働いているんだから、もっと何かをしたらと考えるかもしれないが、同僚と接していると、多くは週末はゆっくりするという。同様に私の友人は一般の勤め人なので、たまに会うくらいで、同僚と同様に休日はゆっくりするという。となると私の生活も平日働いて、休日はゆっくりするのがベースになる。

社会生活を送っていると自由な時間だけがある療養生活と違い、あまり自由な時間を持てないし、精神障害を抱えているのでエネルギッシュな力は残っていない。社会生活を送っていると、同僚がいるので、その職場の金銭感覚が身に付くようになる。私はパートタイム労働者なので、正社員と比較すると総じて給与は低い。でも同僚は家族がいたり、似たような環境だったり、偉い人を除けば、多くは金銭をやりくりしながら生活をしている。たまに同僚と競馬を楽しんだり、市営の体育館で卓球を楽しんだりした。同僚と接していれば、自然と生活感覚が身に付く。

上記の生活を3年間くらい過ごせば、自然と社会生活の形ができる。たまに旅に出たり、何かを始めてみても、社会生活の形が一定していれば、そう簡単に崩れることはないように思える。30代~40代にもなれば20代の頃のようには体に無理はできない。自然と自分の体がどういう状態なのかを意識できるようになると考えられる。

私の社会生活も転機が何度かあった。一度はリーマンショックで退職を余儀なくされた。2度目は、特例子会社に勤めたが、3ヶ月で契約満了になった。3度目は、縁あって、また当社に再雇用になった。今まで転職の機会があったと思う。しかしその後、東日本大震災。コロナウィルス禍。と予測不可能な事態が何度か起こった。いいか悪いかわからないけれど、会社と一緒になんとかしのぎながら今に至る。気がつけば私は50歳でベテラン社員になっている。

同僚も同じく年齢を重ね、役職がついたりする。新しい同僚も入ったり、上司が入れ替わったりした。私が通院している病院の医者も何度か変わった。ケースワーカーも管理する立場に変わった。通所していた障害者職業センターのカウンセラーも何度か変わった。福祉施設の職員も何人かが退職をし、担当も変わった。周囲が変わったように私も何かしら変わったのかもしれない。

私が思うに、デイケアも福祉施設も職場もあまり変わらない。どこにも人間関係がある。どちらかというと私は職場の人間関係の方が楽だと考えている。仕事をちゃんとしてさえいればいいのである。また長年、同じ職場で働いているのだから、そうそう人間関係が悪いことはないように考えられる。人間関係が悪ければとっくに辞めているだろう。それは健常者、障害者関係ない。デイケア、福祉施設も同様だ。人間関係が悪ければ続かないだろう。

最後に私は今の職場に感謝している。もちろん不平不満はある。当社は一部上場企業の大手ではない。何かを製造しているメーカーではない。だけど当社には何かがある。優秀な人もいる。私にはどうして上手く組織を回しているのかが不思議でならない。当社は人材サービスの会社だけあって、人材を選ぶのに長けているとしかいいようがない。もちろん当社が合わなくて辞める人も多くいる。でも長い目で見れば時代に適応して成長している企業なのだ。数値では測れない力が当社にはあるように感じる。

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