30代~40代独身はつまらない
世の中はいろいろな人がいるから私の考えは絶対ではない。どちらかというと私は自分自身を肯定して生きているので人生を楽しんでいるように思われているかもしれない。好きなアーティストのライブに行ったり、日本国内、海外にも一人旅を楽しんでいる。テニスもしているし、つきあっている人もいないので自由気ままに生きている。
だけどその裏を返せば私の30代~40代は何もなかった時代とも言えるかもしれない。20代はまだ私は世の中の大多数のうちの一人だった。仮に私が障害者で働かず、ひきこもっていたとしても。私は世の中の20代の大多数の一人だった。
ところが30代になると、周りは結婚し、子育てをする人も出てくる。そうなると独身の私は休日を持て余すようになる。友人が遊ぶ時間がなくなるのだ。私は金持ちではないので、働かなくてはならない。それが障害者であって安い賃金であってもだ。会社に所属してると面白いことが分かる。独身者は一人前に見られないという視点があった。独身者は責任がないから、簡単に会社を辞めるというのだ。それは事実の一つの考え方である。そして独身者は家族がいるからという理由で休日は取れない風潮があるように見える。
30代の私は出会いを求めて、テニススクールに通う。スポーツが趣味とは聞こえもいい。実際にテニスは楽しいし、一週間の一区切りとしてはいい選択をしたとも思う。実際にテニススクールに通うと同年代の仲間がいた。ここでも私はマイノリティであった。テニススクールにおいて障害者で非正規雇用の自分が参加しているのは珍しい。この環境で私はテニスをよくやり続けたと思う。テニススクールで出会う人に私は「お子さんは?奥様は?」とか当たり前に聞かれるのだ。テニススクールでは結婚して子供がいて、休日テニスを楽しむということが大多数だった。私は肩身が狭かった。
40代になると仕事も安定してくる。統合失調症のある私も仕事のある環境に慣れてくる。周囲も独身の私のことを理解してくれるようになる。そして40代になって独身でも珍しくない時代になってきた。しかし時代や世間が変わっても、私の環境が変わらなければ、何一つ変わらない。
友人は家族と過ごす時間が大事である。10代、20代の頃と違う。つきあっている人がいて、その人が魅力的だったら、独身でも人生は楽しいだろう。しかし特に何もない独身の私の過ごし方は、平日働き、休日好きなアーティストのライブを楽しんだり、自由気ままな旅をする。でもよく考えてみるとライブに参加するのは年、何回かだし、旅行は年に2回行ければいいほうだろう。好きなことはやっている。でも誰にも気晴らしはやっていると思う。この生活を20年くらい続ける。私にはこの20年間、何もないように感じる。
40代後半になると、子育てを終えた友人、仲間と休日を楽しむ回数が増えてきた。友人や仲間と付き合いが続けられていたのは私にとって幸運だった。でも思うのだ。私のこの20年間は何だったんだろう。働くことと、たまの気晴らし。それ以上のことは何もなかったように感じる。何かに打ち込んで独身で20年過ごした人なら、後悔はないかもしれない。だが私には打ち込めるものがなかった。多くの人にとって人生は日々の暮らしに追われ、私と同じように感じているかもしれない。私には推しのアーティストや対象が何人かいる。彼ら、彼女らに愛情を注ぐことで心が満たされるかもしれない。あるいは推しの影響で人生が彩られるかもしれない。でも本当は実人生で彩られるのが本当のことなのだとも考えている。だからあえて私はいうのだ。私の30代~40代はつまらなかった。