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I’m no longer here がオスカーにノミネート〜主役のDaniel君を解説〜
7月にNetflixでリリースされた『I'm No Longer Here』(原題『Ya no estoy aquí』)が2021年のオスカーノミネートに候補作品として上がりました。
わたしは、ラテンアメリカのクンビア音楽にひかれ、それが理由の一つでメキシコに住みたい!と思い始めました。
つまりこの映画は最高に私を興奮させてくれました。
いい映画に出会った時って、自ずと口角上がっていますよね、終始そんな表情でした。
さて、この映画については以前にnoteでも書きました。好きすぎて。
さて、今回は主役をつとめたダニエル君について、Netflix LatinoamericaのYoutubeチャンネルにて本人のいいまとめ動画がUPされていたので、そのビデオの翻訳をこのnoteにまとめていきます。
また動画はアニメーションが随所に使用されていて、それが可愛いので、noteにも随所に差し込んでいます。
普通のはんだ付け職人だった
ダニエル君のプロフィールを簡潔にいうと「アーティスト」「はんだ付け職人」「俳優」。
もちろん、ダニエル君が俳優になったのはI’m no longer hereがあったからこそ。本業は「はんだ付け職人」という。
さて、ダニエル君はメキシコのモンテレイ出身。詳しくいうと、さらに北へ進んだエスコベドという街が彼の育った町。
幼少の頃のダニエル君の家庭は決して裕福ではなく、唯一の娯楽がテレビでした。
しかし、あるとき家族に悲劇が襲います。
ハリケーンが襲来し、ダニエル君と家族が住んでいた家が吹き飛ばされてしまいます。
唯一の娯楽テレビは助かったのか、ダニエル君と家族はテレビと一緒にトラックトレイラーの中で住むことになってしまいました。
次第に彼の町も、彼自身も成長していき、映画のモデルになったWASHALOKOSやTERKOSという若者グループがあり、よく町の中心で踊りを披露しており、当時のダニエル君を魅了しました。
そこで、「はんだ、やってみやん?」と声がかかり、はんだを学ぶことになりました。(意欲満々で職場に行き、見様見真似でやってみたところ、ゴーグルも何もしていなかったので、目に火花が飛び散ってしまって大変なことになったとか)
ダニエル君のはんだに対する熱中度から、いつしかはんだ職人として認定書までもらうまで。あまりにも夢中になってはんだをしているうちに、ダニエル君ははんだ職人としてのキャリアを進むことになります。
きっかけは家族で作ったバンド
しかし、ダニエル君の夢は、はんだ職人ではなく、「ミュージシャン」になること。
そこで家族でクンビアバンドを組むことになります。(左からいとこ、弟、母親、弟、ダニエル君、友だち)
ある日、Celso Piña(セルソ・ピーニャ)というクンビアやソニデロなど多種のジャンルを奏でるアーティストのライブにでないか、とオファーをもらいます。
Celso Piñaの楽曲はBABEL(バベル)でも提供されています。Cumbia Sobre El Rio は有名です。
ダニエル君たちのショーはかなり大きなもので、大成功。
ショーが終わった後、おしゃべりをしていたら、「君、映画に参加してみない?」と声がかかります。
「もちろん!」と意気揚々と会場にいくと、奇抜なファッションの「野郎」たちがいっぱいいてびっくりしたとインタビューでコメントしていました。さらにオーディションではダンスもしないといけなかったという。
入国拒否はあったものの、NYの街に魅了
晴れて映画のキャストに選ばれたダニエル君は早速映画の撮影がアメリカであるということで、アメリカ入国のビザを取得しなければなりませんでした。
(日本人からするとビザ取得って何かしらの慣習的なことなので、そんなに難しいとは考えていませんが)ダニエル君のビザ申請は何度も却下されます。
しかし、Netflixスポンサーの映画で、映画の主役なんだ!監督からもオファーレターもきているんだ、とあれこれやりとりし、やっとこさビザがおりました。
やっとNYに降り立ったダニエル君は、今まで見たことのない世界に、まるでこの映画の主人公ウリエルのようにNYの街に感動してしまいます。
しかし、NYは英語、英語なんて話せないと殻に籠もっていたダニエル君ですが、思い切って外に一人で出てみると、外にはメキシコ人がいっぱいいるではないか。
勝手を覚えたら簡単。ダニエル君は一人行動をするようになり、現地のラッパーとも知り合いになります。
さて、撮影も終わり、ダニエル君の町に戻って、上映会が行われました。町の広場に巨大スクリーンを設置して。
12月の上映だったので、外はかなり寒かったようで、人々は映画なんて観ずに毛布に包まっている人もいたとか。しかし、ダニエル君が舞台上に出てくると歓声の嵐。
モンテレイ中で映画の中で使われた曲が一気に聴こえるようになり、映画はその後Netflixで公開。メキシコを皮切りに、全世界で公開。
当時、インスタのフォロワー数が200人くらいだったのに対し、Netflixで公開が始まると、夜には2000人突破。
みるみるうちにフォロワー数が増え続け、朝起きるとたくさんのメッセージも。
そして2020年はメキシコ国内の賞も受賞し、ダニエル君の人生は180度変わってしまいました。
ここまででダニエル君のお話はおしまい。
Youtubeの動画はスペイン語ですが、話し方もかなりスラング混じっていて、スペイン語ネイティブじゃない私はかなり苦戦はしました。映画もスラングだらけなので、スペイン語オンリーで見るのはなかなかチャレンジングです。
しかし、そのスラング混じりがあってこその映画で、ダニエル君の純粋な魅力が湧き出てくるのかなと思います。
ということでNetflixにて、チェックしてみてください!
おしまい