私の文章を構成する作家さんたち
最近、文章を書きたい熱がまた上がってきた。
そこで、というわけでもないのだけど、唐突に私の文章のルーツをたどってみようと思う。
根底にあるもの:高校生までに出会った本たち
小学生の時から、活字の本は気が向いたら時々読むくらいだった。
むしろ漫画をよく読んでいたのだが、話せば長くなるのでまた別の機会に。
そんな私が、小学校6年生のとき、こんな小説を書けるようになりたいと最初に真似をしたのが
薫くみ子さんの「12歳シリーズ」。
同年代の女の子たちの心の機微が、そのまま自分の心のようだった。
中島潔さんの挿絵も美しかったなあ。
中学生になると、コバルト文庫にドはまり。
赤川次郎さんのサスペンスを読んで、サスペンス小説を書いたのが中2の頃。
友達に読んでもらって大絶賛だったが、トリックを考えるのがなかなか大変だったので、後にも先にもこれだけである。
いちばん好きだったのは、倉本由布さん。
「天使のカノン」シリーズまではほぼ読んでいた。
この方のおかげで恋愛小説的なものをぽつぽつと書いては、友達に見せるようになる。
それから、友人に借りた花井愛子さん。
友達に神戸あやかさん名義の本を借りたのがきっかけで、時々読むようになった。
句点を打つポイントが独特で、一文がとても短い。
「えっ、そこで切るんだ」
と思いつつ、くせになるのだ。
私の文章にも、今日まで見事に反映されている。
構成比40%:向田邦子さん
この方の文章には、本当に憧れた。
出会いは、確か中学の教科書。
そのときは「きれいな文だなあ」くらいに思っていたが、就職したての頃、ふと文庫本を手にとってみて、その美しい文章に一気にひきこまれていった。
飛行機事故で亡くなられ、新作が読めないのは本当に残念なことだ。
しかし、それまでにもたくさんの作品を生み出してくださっていてよかった、とも思う。
構成比20%:清水義範さん
短大生の頃、バイト先の先輩に教えてもらって読んでみたら、おもしろすぎて一気にハマった。
パスティーシュ(作風の模倣)小説を多く書いておられて、
「永遠のジャック&ベティ」
「国語入試必勝問題」
あたりは、何度も読みかえしてお腹を抱えて笑った。
かと思えば「学問のススメ」という浪人生が主人公の小説もすごくおもしろくて、 わりと冒頭のあたりで出てきた
というフレーズは今も気に入っている。 使い道はないけど。
構成比10%:椎名誠さん
椎名誠さんとの出会いは、高校の図書館
はじめて手にとった本は「フグと低気圧」。
飄々とした文章にひかれて、それから椎名さんのエッセイ本をいろいろ読むようになった。
いちばん好きなのは「全日本食えばわかる図鑑」。
中でも、椎名さんがおでん屋さんでカップルを観察していて生まれた「レベル均衡の法則」がじわじわくる。
美男の隣には当然美女が座っているのだが、そうでない人の隣にはそれなりのビジュアルの人が座っている、という話である。
というワードが出てきたときには、思いっきり吹き出してしまった。
真似しようと思ってできるものではないが、こういう言葉のセンスが大好きなのだ。
構成比10%:さくらももこさん
さくらももこさんの著書は「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「たいのおかしら」「そういうふうにできている」しか読んでいないが、それでも私に影響を与えるには十分だったように思う。
淡々とした文章なのに、時々ものすごくおもしろい言葉がはさまっている。
「もものかんづめ」だったか、おじいさまが亡くなられたときに戒名がついて、
というフレーズが印象的すぎて、今も頭に残っている。
そして、このセンスが爪の先程度でもあればなあ、と詮なきことを考えてしまうのだ。
まとめ
向田邦子さんのような王道の美しい文章も素敵だけれど、どうやら私は、清水義範さん、椎名誠さん、さくらももこさんのようなサラリと読める文章の中にセンスのいいフレーズや笑いを混ぜてくる作風に憧れるらしい。
どうがんばっても真似できない、でもこんな文章が書けるようになりたい、と思いながらここまできた気がする。
同じようにはできなくても、読む人の心をキュッとつかめる文章が書けるよう、日々精進あるのみだ。
最後に、私の文章を構成する方々に、感謝の気持ちをこめて。