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世界一癒される港町からほど近くのCafeオーナーシェフは、卓上調味料から22世紀の食文化を考える

こんにちは

ZEN BURG編集部のダルマこと安達麿(あだちまろ)です

さまざまな分野で活躍する「食」に携わる方々に「これからの食」について伺うシリーズ。今回は広島県の港町の近くでカフェを営む「Boneu」の鈴木大孝(スズキトモノリ)さんです

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埼玉県出身で高校卒業後は東京都内でホテルや居酒屋、定食屋、レストランなど様々な飲食店で10年ほど働く。
27歳の時に広島県福山市に移住。33歳で水呑CafeBoneuをオープンし
オーナーシェフとなる。
現在は食品開発のコンサルタントとしても活躍中

どうも、一筋縄ではない経歴の鈴木さん。しかし、聞けば「ただの根性なしです(笑)」とフランクなお人柄に一安心。そんな鈴木さんに聞く、「これからの食」についての哲学です。お楽しみください。

埼玉出身で東京で働いていたのになぜ広島で起業したの??

ダルマ:今日はよろしくお願いいたします。今回はインタビューの前にホームページを拝見させていただいたのですが、、、あんなに長いプロフィール見たのは初めてです(笑)

鈴木:(笑)そうですよね。よく言われます(笑)

ダルマ:なぜ、あのようなプロフィールのスタイルにしようと思ったのか?すみません。まず、そこから聞いてもいいでしょうか?

鈴木:はい。お店のホームページを作ったとき、プロフィールはどのくらいの内容がいいのかな?ってのがわからなくて、で、いろいろなオーナーシェフのお店のホームページを見ていた中で、昔お世話になった先輩のお店のを見たのです。そしたら、プロフィールがめちゃめちゃ長くてしっかりと想いや夢なんかも書いてあったのに感動して、で「あ~おれもプロフィールにしっかり想いや、やりたいこととか書こう!」って思ったのがきっかけです

ダルマ:ちなみにその先輩って?

鈴木:代々木の「レストランキノシタ」時代にお世話になった荻野さんです。池尻大橋の「レストランオギノ」の荻野さん

ダルマ:お~~~(あの荻野シェフだ!)

鈴木:キノシタでは2年ほどサービスで働いていたのですが、あっほんとはキッチンで働きたかったのですけどね(笑) その当時のスーシェフが荻野さんだったんです。お世話になったっていっても、もう雲の上の存在でしたけど(笑)当時から圧倒的でしたから。何もかも。

ダルマ:なるほど、でもさすがに鈴木さんのプロフィールのスタイルじゃないですよね?(笑)

鈴木:はい(笑)ですね。自分の想いをしっかり伝えようってプロフィール書いてたら、なぜここでお店をしたのか?とか、なぜこのスタイルになったのか?とかいろいと増えてきてしまって書ききれなくて、で思いついたのが「プロフィールおかわり」です

ダルマ:まるで自伝本のごとく小学生の頃からの出来事やその時の感情なんかも赤裸々に書いてあって、衝撃でした。

鈴木:「プロフィールおかわり」を書いてるうちに楽しくなってきちゃって、こりゃもう書けるだけ書いちゃえって好き放題やってたら全然終わらなくて(笑)。いまだに終わってない現在進行形のプロフィールです

ダルマ:で、すみません。あえて聞かせてください、なぜ埼玉県出身の鈴木さんが広島で起業したのですか?

鈴木:ですよね?一番聞かれる質問です(笑)東京で働いていた時に出逢った友人が広島でお店を開業したんです。「お店出したら手伝いに行くよ」なんて約束していたので、一週間ヘルプで来たのが広島に来たきっかけです。で今に至ります

ダルマ:いやいや、、、いやいや(笑)なんで一週間の予定から永住になったのか?も、もう少し聞きたいです

鈴木:ん~、、ちょうど仕事を辞めて、一人旅とかしてたタイミングでもあったので、「一週間くらいなら」とヘルプに来て働いてたんですけど、お店が結構忙しくて、「じゃあ一か月働こうかな?」ってなって、その時は、その友人の奥さんの実家に一週間だからって泊めていただいていたのですが、一か月はさすがに申し訳なくて…。でアパート借りたんです。そんなこんなで1ヶ月が1年と…で…(笑)今に至ります

ダルマ:・・・・わかりました、、、プロフィールに書いてますよってことですね(笑)

https://www.cafeboneu.com/about-1/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB/

鈴木:はい(笑)

店名に込められた想い。水呑ローカライゼーション

ダルマ:水呑CafeBoneuの店名の由来を教えてください

鈴木:水呑(みのみ)は町名です。このお店がある広島県福山市水吞町。自宅も、お店からすぐ近くで同じ町内に住んでます。お店の名前を決める際、この大好きな水呑って文字は絶対入れたいって思ってました。しかも店名の頭に。

ダルマ:それはなぜですか?

鈴木:ん~…。あの…よく、「地域に愛されるお店にしたい」ってフレーズを聞くんですけど、なんか自分には違和感があって、いや、「愛されるより愛したい」でしょう?って…恋愛もそうじゃないですか?(笑)。私はいわゆる”よそ者”だけど、この町が大好きで永住を決意してましたから、だから大好きなこの町をもっと知りたいって思ってましたし、もっと愛したいって思ってました。そんな思いを店名に込めたくて水呑を頭につけたのです。

ダルマ:なるほど

鈴木:Boneu(ボヌー)は造語なんです。お店を開業する3年くらい前にはBoneuって名前は決めていて。ロゴマークもゴム印にして作ってました(笑)。言葉に意味はないのですが ”ボヌー”って響きがなんかいいなって、そんな感じで決めてました。水呑とBoneuってだけだと、お客様にはよくわからないだろうからCafeってつけて「水呑CafeBoneu(ミノミカフェボヌー)」となりました。

ダルマ:メニューを見てもコンセプトというか地域への強い思いを感じますよね

鈴木:お店を開業して1年くらいしたときに地域の分断というか、、、文化の違いってすごいあるなって思ったのです。
この水呑は大きな川沿いに縦長に広がる町なのですが隣町でも、川を隔てての隣と、同じ川沿いの隣では隣人感…って言えばいいのかな?関係性が違うんです、、まあ極端に言うと仲間意識があるか、ないかっていえばいいのでしょうか、、、?

お店都合の視点でいうと水呑と同じ文化圏なら川沿いの隣町のお客様でも、応援してくれる感じがするというか、「がんばってね」って実際に言ってくれるんです。
「わが町のお店を応援しよう」みたいな。それをすごく感じた時に、改めて地域により深くつながったコンセプトにしようって、マインドにシフトしていきました。もちろん、来てくださるお客様、皆様に対して感謝してるのですよ、ほんとに。

それからは水呑町と田尻町、それに鞆の浦をとくに意識して行動するようになっていったんです。食材や人とのつながりイベントなど基本この福山の南部を中心に考えてます。

田尻町、鞆の浦は水呑CafeBoneuがある水呑町の隣町同士。沼隈半島という文化圏だ

さらにこれからは水呑については、さらに、めちゃくちゃこだわっていこうって思ってます。
水呑ローカライゼーションです🎵

ダルマ:距離ではなく川による意識・文化の分断ってのが面白いですね。でも、なんかわかる気がします。この町は好きだけどこの町は苦手みたいな(笑)子供の頃もあった気がします。

理想的な未来を妄想し、創造する

ここからは我々ZEN BURGの主題である「これからの食」についてのテーマ。Boneuで、販売されている「卓上調味料食卓アプリ」カフェのオーナーシェフが、なぜ、卓上調味料を作るに至ったのか。その思いを聞けたらと思います

鈴木:はい。ありがとうございます。長くなりそうですがよろしいですか?

ダルマ:はい(笑)こちらとしては長くなるほうが助かります(笑)

鈴木:ありがとうございます。

まず、飲食業界の現状と言いますか、課題と言いますか。問題をいっぱい抱えているなかで、その問題を私が意識したところから話させてください

ダルマ:(お~たしかに長くなりそう(笑))

鈴木:私が問題意識を最初に持ったのは、開業前に働いていた会社でアルバイト募集しても、なかなか採用どころか問い合わせ事体が少なくなっていることに気付いた時です。私が、若いころは飲食店のアルバイトは、とても手軽というか、働く側としても働き口がないって感覚は全くなかったですし、転職もストレスなくできた感じです。、、、おかげさまで職場を転々としていましたが、、、(笑)。

でも、もうそれは過去の話。

人気ないんです飲食業界。

飲食業界だけでなく、全体的に人手不足でしょうが、どうも問題はそれだけではなく、業界に人気がないってことに気付いて、、、

そのときショック受けてしまって、、、

漠然とこれはまずいぞ!って危機感を感じてました。でも何ができるのかがなかなかわからなくて。

色々考えて自分なりに出した答えが

「魅力的な人になろう!憧れられる料理人になろう!」って思ったんです。

自分にできることからしよう」って。

その後、いろいろなきっかけや、ご縁があって、Boneuを開業するときにお店のスタイルは「日曜日は休み、夜は営業しない」ってしたんです。

ダルマ:それはなぜですか?

鈴木:無理した感じにしたくなかったんです。休みたい時に休むし、夜は働かない、みたいな(笑)。実際この業界でずっと働いてきましたから、朝は早いし夜は終電に駆け込むみたいな働き方が当たり前で。でもこの働き方は自分でお店するんだからもうやだなって。

正直、起業してもうじき10年になりますけど、経営面では、ずっとギリギリですよ(笑)ギリギリどころか8年目ぐらいまではずっと赤字で借金増やしてました(笑)。でも、それでも絶対このスタイルは変えたくなかったんです。

自分が考える「魅力的なスタイル」を示したかったから。「お金に負けてたまるか~!!」って(笑)。今は少し笑って話せます。

あっ!

ダルマ:?どうしたんですか?

鈴木:すみません、、、話それてました(笑)

ダルマ:いやいや!いいんです、こういう話聞きたいですよ!時間は十分とってありますから(笑)

鈴木:すみません、、、話してるうちにすぐ、こうなる癖が、、、

ダルマ:8年間のモチベーション維持に想いの強さを感じます。(いやほんとに)

鈴木:本題に戻さないと(笑)。

外食産業の魅力を自分なりに取り戻さないとって、やる中で、今度はまた違った視点で見えてきたんです。

AIのこととか人口減少とか、いろいろ、これからの未来を想像したとき、「料理人って仕事ってめちゃくちゃ魅力的な仕事として、しばらくは残るな」って。

人気がないんじゃなくて、これから業界が洗練されていくフェーズに入ってるのだなって、そう考えた時、外食産業のこれからの「在り方」を妄想し始めたんです

ダルマ:モウソウ?

鈴木:そう!妄想です(笑)

もう、未来なんてわからいないから、理想的な未来を妄想して、自分で創造していこうって考えたんですよ!

まあ、ホンネは、時代の流れの受け身になるのは怖いな。いや、怖いというか、面白くないなって。だから、こうなふうになったら面白いなって飲食業界を妄想するようになったんです。

外食産業の未来を考えた時、家庭料理をアップデートさせることの必要性に行きついた

鈴木:私は18でこの業界に飛び込んでこの業界しか知りませんし、この業界が大好きですから「外食産業」は、これから、どうなっていくのが自分にとって楽しいかなって考えて、それで外食産業、中食産業、家庭料理の3つに分けて「これからの食」を妄想していきました。

ダルマ:レストランやラーメン屋さんなどといった外食に、お弁当、お惣菜などの中食に加えて、いわゆる内食・家庭料理ですね?

鈴木:はい。そうです。

そう分類して考えて、まず「食」のエンターテイメントとしての価値が外食産業にあるのかなって思ったんです。それは例えば技術的なものかもし得ないし、ロケーションやサービスなどお店の特色や強みは違うと思いますが、お客様にとって「非日常」を味わえる時空間であり、そこに「食」が重なり価値が高まると思います。少なくとも小さな個人店こそ、その価値を作らなければならないと思います。テクノロジーによって五感を刺激するいろいろなサービスが、これから出てくると思うんです。そんな中で味覚にアプローチ出来る飲食業界は、今後「そこにいく価値」がある業界だと思うので、外食産業はさらにブラッシュアップされ楽しくなると思ってます。

お弁当やお惣菜、オードブルなどの中食産業はこれからさらにクオリティは上がりますし、美味しさはさらにレベルアップし、便利などの付加価値がさらに幅広くサービスされると思うので、これから先いちばんエキサイティングな産業になると思います。

ダルマ:なるほど。確かに共働きやライフワークなど、多様化する中、食のニーズに合わせ、中食産業の発展がいままでも大きく寄り添って来ましたよね。さらにテクノロジーによって、新たなサービスは確かにスタートしてますし。

鈴木:そして、内食。つまり家庭料理についてなのですが。

ダルマ:はい。

鈴木:私は家で料理すごくするんです。昔から。で、家庭料理って、すごく大変なんですよ。限られた時間で、簡易的なシステムで、結構高度な技術を必要とする。フルタイムで働いていて、朝ご飯に、お弁当に、晩御飯ってホントに大変。そんな大変な思いして、スキル上げても、外食はもちろん、お弁当やお惣菜が手軽に低価格で手に入る現代。家庭料理を作るモチベーション保つのなんて無理ですよ。一生懸命作って、「おいしくない」とか「買って来たヤツのほうが好き」なんて、とんでもない言葉平気で言いますからね、子供や昭和タイプの男性は(笑)。めちゃくちゃ傷つくし、きっと、やってらんないですよ、ほんと。

ダルマ:(・・・結婚したら、気を付けよう、、、💦)

鈴木:それでも、中食商品が、便利さや、安さだけなら、まだ家庭料理を作るモチベーションは保てたと思うんです。健康面とか好みとか、、、でも、それも、もう昔の話です。冷凍食品の安全性やこだわりのある無添加食品、スーパーに並ぶ総菜にしたってすごいレベルですよ!いま、大手総菜メーカーの商品開発に携わっているのですが、すごいですよ、おいしいし、当然安全性や健康に対しての配慮もスゴイ。中食産業はこれからすごい発展します。

ダルマ:すごい!コンサルタント業もされていたのですね?

鈴木:はい。今させていただいてる仕事は、ほんとにご縁でつながったのですが、やってみて、ほんとに目から鱗で、、、スーパーマーケットに並ぶ総菜すごいですよ。なので、Boneuとしては、当然お弁当やオードブルといった中食はやりつつも、しっかりと価値を打ち出せるように常に意識しています。

と、こんな中食が発展を続けるなかで、家庭料理はどのようになるのが、面白いか?となるわけですが。

ダルマ:そうですよね、いよいよ本題の「卓上調味料食卓アプリ」について、ですね。

調理法はよりナチュラルでシンプルへ、素材へのこだわりや、シチュエーションを楽しむ

鈴木:ほんとに簡単に言ってしまえば、家庭料理はアウトドアでいいかなって。

ダルマ:えっ?いきなりアウトドアへ?

鈴木:(笑)はい。そもそも、主婦(男女問わず)が、プロがやるような料理を短時間でやっていく時代はもう、合わないでしょう?ライフスタイルがこんなに変化したのに、まだお母さんは手作りで子供や旦那さんにお料理をつくるのなんて、もう無理でしょう?

いや、もちろん、好きな人は、やれば良いいとおもうんです。私みたいに得意な人とか好きな人は、そんなに苦じゃないですから。

でも、もういいでしょう?手作りが正義みたいな風潮はもういいでしょう?(笑)料理なんて相当マニアックですから(笑)

もちろん「食」を軽んじている意味ではないんです。私としては食べること以上に大切なことはないと思ってますから。

ダルマ:はい。私共もそう考えています。

鈴木:ですから、一つの提案としてBoneuが考える未来の「家庭料理の姿」は、調理はシンプルでナチュラルなスタイルで、素材は鮮度やクオリティーを追求していく感じです。

例えばですが、庭で今朝とれたレタスやトマトに塩とオリーブオイルでサラダ食べる。とか、新鮮な鶏肉を庭で炭火で焼くとか(笑)。バーベキューですよ、つまり。新鮮な食材を焼く・蒸す・茹でるなどといった単純な調理法で、シンプルに塩でいただく。素材のポテンシャルありきで、あとは、家族や仲間で食べる喜びで十分じゃないですか。もちろん一人でもいいですけど。外食ではプロフェッショナルの仕事やエンターテイメントを求め、中食には便利さやコストパフォーマンスやいままで家庭料理がになっていた日常を求め、そして家庭料理には、もぎたての鮮度や体験の喜びなどといったところから「素材」に対して原点回帰していくような、そんなものが求められる気がしてます。いや、そうなったら面白いなって思うんです。

ダルマ:なるほど。

鈴木:でも、私たちの味覚って結構わがままに育ってしまったから、しばらくはリハビリというか、それぞれの好みに合わせて素材のシンプルさから少し寄せる必要があると思って、で、考えたのが「卓上調味料食卓アプリ」なんです。

素材がよければ少量の塩だけで十分おいしい。けれど、私たちは塩分のきいたパンチのあるものや、辛さや香りの強いインパクトのある料理に慣れ親しんできたので、素材のナチュラルな美味しさになかなか慣れるまでは時間かかるかなって?時間というか認識というか。なので、いろいろな味覚に合わせて、個人が卓上で「味」をカスタマイズできる卓上調味料がいるのかなって。それが、Boneuが考えるこれからの食のイメージなんです。

ダルマ:なるほど~!スゴイ!面白いですね!

外食・中食・内食がそれぞれの役割というか楽しさがあって、それでいてそれぞれに愛を感じます。

鈴木シェフの「これからの食」に対するビジョン。とても面白かったですし、興味深いです。今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。すごく楽しかったです。

鈴木:こちらこそありがとうございました。

未来の業界を心配するところから、自らのすべきことを見つけ、起業。そして未来を自らの楽しいほうへ妄想し、動いている。今回のインタビューで鈴木シェフから、私が感じたのは、ユーモアとパワーに包まれながらも、芯にある「食」に対する情熱と、「飲食業界」に対する「愛」でした。未来の答えを求めるのではなく、創造していく姿はZEN BURGが求める「これからの食」の大きな気付きとなりました。

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