当社がなぜ「ファミリー」に注目しているか①パブリックと持続的共同体
ジルコヴァパートナーズ、代表の谷口です。
当社はいわゆるアトツギ支援、事業承継、ファミリービジネス支援などを事業の柱として取り組んでおりますが、この記事では、当社がなぜ根本の理念として「ファミリー」なるものに注目しているかについて述べたいと思います。
当社は、そもそもの成り立ちとして、代表である谷口を中心としながら、パートナーである鎌田とのディスカッションや試行錯誤を通して設立された会社です。
わたし谷口は、大阪で行政のイノベーション政策やベンチャー創出に携わり、さらに個人的に茶の湯文化や哲学思想に触れてきました。
また一方で鎌田は、福岡でファミリービジネスの二代目として、自分自身が事業承継の当事者として、承継「する側」も「される側」も経験してきました。
そんな現場もキャリアも別々の私たちですが、それぞれの視点から「家族」に注目してきていて、しかもかなり似通ったことを考えてきていました。
それは、家族に注目しながらも、いわゆる「家族を大事にしましょう」というようなよくある価値観ではなく、家族という「優れた共同体(になりえるもの)」に注目していたというであるように思われます。
※予め念のため明記しておきますと、当社ジルコヴァパートナーズは、いかなる政治団体や宗教団体とも関わりを持っておらず、特定の政治的立場・宗教的立場を支持することはありません。
先ず鎌田の考えとしては、経営者として諸先輩に薫陶を受ける中で、海外で活躍される学者の方から「日本の良くないところは、パブリックの概念がないところ」と言われたことが非常に印象に残っており、それがこの取り組みの発露になっています。
「最も保守的な組織のファミリーのサブシステムとしてパブリックを作る」「ファミリービジネスのためのファミリーガバナンスを、封建主義的におこなうのではなく、パブリックの考え方でおこなう」といったことを考えており、このあたりの考えについてはまた今後も話題にしたいと思っています。
一方のわたし谷口は、ベンチャーエコシステムのような生き馬の目を抜くビジネスの世界と、一方で茶の湯文化や、哲学思想といったアカデミアの世界に触れる中で、個人(主義)や国家だけでは経済や文化を持続・繁栄させていくことが非常に難しいと実感してきたことから、いつしか共同体理論に関心を持ってきました。
そういった関心を持つ中で最も響いたのは、ゲンロン創業者であり作家の東浩紀が『観光客の哲学』『訂正可能性の哲学』などの著作で展開していた「共同体としての家族」についてでした。
この一連の著作の中では、家族という共同体が「参加者が常にルールを書き換える可能性を持っている共同体」として取り上げられています。(厳密には、東浩紀はいわゆる端的な「家族」というよりも「"家族的"な論理による共同体」の話をしていると思われますが、そのあたりはまた今後話題にできればと思っています。)
実感しやすい話で説明すると、おそらくもう会社に一生を捧げる時代ではとうになく(既に社会の公器としての会社には限界があり)、地域共同体なるものももはや崩壊していると考えた方がよく、しかし国家に注目するのも無理がある。
では昨今流行りのオンラインコミュニティやオンラインサークルのようなモデルはどうかというと、様々な理由から持続性に難がある。
その中で、持続可能な共同体として、家族に注目するのはそこまで不自然なことではないと考えています。
「共同体としての家族」については論点が非常に多くありますが、基本的には、ファミリーという共同体を機能させ、活性化させることで、より自分の人生を生きられる人が増えるのではないか、と私は考えています。
今後我々が生きる世界ではパブリックな共同体や基盤としてファミリーが非常に重要な役割を担っていくのではないか、社会・国家レベルの問題や地球規模の課題への解決の一助となる基盤になりえるのではないか、そのためのモデルや考え方、方法、実例などを当社の営みを通して増やしていきたいと考えています。
以上、当社の根本理念、根本的な世界観の話でした。
このテーマは多岐にわたりますし、なかなかに語りきれないテーマですので、今後もシリーズ的に話題にしていきたいと思います。
※ジルコヴァパートナーズ合同会社は、Amazonのアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。