九月の短歌他選&自選


先月を振り返ってみました。
スキを頂いたものの多かった順に並べたかったのですが、流れを考えて少し入れ替えました。
今回は自選も他選に含まれているので十首、
+暑さを思い出す二首を最後に置きました。
(つい最近まで、こんな事ありましたよね…)


あれほど暑かった夏ですが、確かに季節の色が変わり出しているのを感じます。



水彩の
夏薄れゆく水色に
溶けることなく咲く百日紅さるすべり



風に揺れ
群れるすすきの黄金色
雲は秋へと流されながら



寄り添えば
鈴の響きに満たされて
秋の豊かさ食のみならず



ふたりなら   
拾えぬ音が近付いて  
独りで過ごす豊潤の時



堕とされる
ほどの甘いはいらなくて
青き蜜柑に爪入れる時



ためらいを
愛した人が消してゆく
ブルーグレイとモーヴの夕暮れ



我慢して
黙っていたけど赤ワイン
飲み過ぎたから話せた言葉




酔い冷めて       
ゼンマイ切れたオルゴール
一人の部屋でただ箱になる



デジタルの
気温の数字が日にちより
低い時計の今朝の逆転



縛られて
いた熱気からほどかれて
秋の大気を吸い込んでいる



先読みで   
滑りこんだか閉じこもる
蚊の一匹がずっと気になる



隙あらば       
羽音近付き払えども
取り逃にがしてはかゆみが増える


10/1(火)

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