一月の短歌自選
寒い日々が続いていますが、少しずつ、春の兆しを感じるような景色を目にするようになってきました。
“あけましておめでとう”から、もう二月も終わりを迎えようとしています。
一日を精一杯過ごしたつもりでも、過ぎたカレンダーにまとまった時間の速さを思う時、自分はこれだけの時間とちゃんと並走出来たのだろうか、やっぱり取り残されているのではないか… ふと感じてしまう事もあります。
そんな時、時間が許せば空を見上げます。
天気の良い日の雲の流れる様子を見ていると、心の時計はこちらでいい、そう思えます。
内なる時間、自分の心の声に耳を傾けて、果実が内側からゆっくり大きくなってゆくように、慌てる事なく自分の心の果実をじっくり育てていたい、そう思います。
近くの檸檬の木にたくさん実っている黄色の色が気持ちを明るくしてくれます。
この寒さを堪えるからこそ、春の訪れを全身で迎え、喜びたいです。
2/26(水)
公園に
冬の休みの子供らの
声咲き初めて春待つこころ
柚子香る
白き湯気立つお雑煮を
家族で頂くこの日のしあわせ
二歳児が
あらたなことばに触れるとき
この子のこころは果てなきみずいろ
アラームを
セットしなくていい夜に
付き合うための寄り道をする
受け取った
言葉で未知の深さ知る
わたしのなかの形なき海
聞きながら
交わす言葉で探ってる
わたしの層の切り出す層を
万華鏡
変わらぬものを前にして
変化するのはわたしの気持ち
あの波の
次に控える波を見て
乗り越えているそんな生き方
苦味だけ
残ってしまった今日だから
砂糖少しのカフェオレを飲む
ブラックを
日に何回も飲んでいる
塗り潰しても消えない陰影