十月の短歌他選&自選
今年はいつまで暑いのかと思っていましたが、急に朝晩肌寒く感じるようになってきました。
それでも十年?二十年?前の季節感からすれば、まだ温かいような気もします。
数日前に郵便局に行き、年賀状が販売されていて、自分の体感が暦の季節からずれている事に気付きました。
“年賀状じまい”などという言葉を見る時代が来るとは思いもよらなかったですが、
これも自然な流れとなってゆくのでしょうか。
せめて、目の前にある小さな季節の変化を逃すことなく大切に過ごしていたいものです。
11/11(月)
着るつもり
の楽しみまでが引き出しに
ひっそり眠っていた夏だった
まだあるを
確認されるためだけに
何年いるの服の孤島に
合唱を
離れて一人試すよう
昨夜と同じ場にいる松虫
姿さえ
見つけられない声の主
それでも明日も逢いたい生命
かざされた
20時27分発
ここであなたと分かれてしまう
さっきまで
隣でお茶漬け食べていた
あなたは手の中スマホの中に
何回も
配達状況見てしまう
喜ぶ顔はもう届いてる
注文の
品の届くの待つよりも
子への荷物の配達完了
月のない
夜は私に侵入し
域を広げて暗度深める
雨音は
リタルダンドで密やかな
夜の悪戯に手を貸している