一切経山と岳温泉(回想)
東北山巡り二日目の今日、沢を諦め安達太良山の駐車場を追われるように後にした。
<前回のnote>
急遽どこに行こうか思案した結果、一切経山(1948.8m)に決定。
地理不案内なため安達太良山から西福島まで大回りして、磐梯吾妻スカイラインに入った。
高湯料金所のはるか手前から渋滞が始まってしまい、浄土平Pまで2時間もかかってしまう。こんなに混むとはちょっと認識不足だった。
浄土平は1000台も車が停められるらしい。
広々とした駐車場からは、吾妻小富士に登っている人の列や
一切経山の中腹から噴出する火山ガスのゴーゴーというジェット機のような音が響きわたっている。
下界はいい天気なのに、ここは小雨模様で風も強く雨具を着ることにする。
一切経山は中腹から火山ガスが噴出するようになったため、
直登ルートは閉鎖され酸ヶ平湿原を回りこむルートのみとなっていた。
鎌沼への分岐を左に分け、沢沿いをゆるゆると登っていく。
蓬莱山を回りこむあたりでもう暑くなってしまって雨具の上着を脱いた。雨も上がったようだ。
所々朽ちかけた木道を小さな子供をつれた親子連れも多く歩いている。
やがて酸ヶ平湿原がぼんやりと見渡せるようになり、かわいい避難小屋が右手にぽつんと現れた。
避難小屋はトイレもあり、土間とその回りをぐるっと長椅子状になっていて混んでいた。ここで昼食。
ガスと相変わらず風が強く、ここから山頂までは忍耐の登りとなる。
山頂まではたおやかな石つぶての登山道なのに、ひとたびの天候の変化で荒々しい表情に打って変わる。
風に飛ばされそうになって、慌てて相方にストックを出してもらい耐風姿勢をとる。五色沼は100%見られないだろうけれど、山頂から沼の方を見下ろしてみた。
恨めしい気持ちだったが、ここで5分も持ちこたえることはできなかった。
遥か吾妻連峰や安達太良山、磐梯山などの福島の名峰を心の目に刻んで、また来た道を戻る。
酸ヶ平湿原に着く頃には、あたりが晴れやかになってきて今までの天候がうそのよう。もうちょっと山頂直下で粘っていたほうがよかったかなと複雑な気持ちになる。
それでも、先程登ってきた時とは打って変わって、真っ赤なウラシマツツジやクサモミジたちがにわかに活気を取り戻して、先程のどんより状態がうそのように生き生きと輝きだした。
鎌池に着いたらついに青空マックス状態で、鎌池に写りこんだ空の青が本当にきれいだ。
一切経山も鎌池の北にその姿を表した。
木道整備中の作業の人に語るでもなく「五色沼、いまなら見えるんでしょうね~」とつぶやくと、
「見えるなあ」とのんびりとしたやさしい抑揚で返してくれた。
なんだかそれでいいような気がした。今登っている人は見ることができるんだ。
こちらからの帰り道も吾妻小富士とその回りの紅葉が鮮やかに美しかった。
母親と娘さんの親子連れは、この風景を前に「お母さん、ほんとに来てよかったね」と感極まっていた。
短い時間の周回だったけれど、自然や散策する人々から紅葉のような温かさを頂いた。
錦織りなす鮮かな紅葉の安達太良山、やさしいクサモミジと池塘の一切経山界隈、始めは沢の代替えのような可哀想な扱いでいたけれど、とてもすばらしいお山だった。
下山後は予定の温泉の時間に間に合わず移動して岳温泉、岳の湯に入浴
岳温泉は350円とリーズナブルなこともあってとても混んでいた。
いい温泉なんだけど、明らかにお客様が多すぎて堪能することができなかった。白濁した源泉かけ流しです。
前日くろがね温泉に行ったので、くろがね温泉を源にするので本家よりは若干劣りを感じてしまいました。
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