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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【10月23日㈬~10月29日㈫】

気がつけば、フランス三都出張から帰国して早一週間。一晩に何度も目が覚めてしまい、トータルで4、5時間しか眠れない強烈な時差ボケの日々も、ようやく収束の兆しで、昨夜は未だ細切れ睡眠ながらも、全部足せば7時間は眠れたのではないか、というところまで回復しました。が、眠りが浅いのは相変わらずで、意味不明な夢を見まくり。昨夜のは“紅白歌合戦に初出場が決まったものの(私が、です)、照れくさくて社内の皆になかなか言い出せない“という夢でした。まったくワケが分かりません。

そうこうしているうちに、28日から第37回東京国際映画祭がスタートしています。今年も有難いことにプレス、バイヤー向けのP&I上映が組まれていて、29日から11月5日まで、連日銀座地区の劇場、ホールで映画祭出品作の試写が行われています。私も早速29日、30日の朝イチの上映に参加。今週末からの三連休中もP&I上映は行われているので、休日返上で頑張って観れるだけ観ようと思っています。

さて。今さらながらですが、先週の出張の後半の記録。先週号にも書いたTGVの乗車トラブルを経て、10月20日の日曜午後カンヌに到着、翌21日から2日半、コンテンツ見本市MIPCOMに参加してきました。1985 年に始まった見本市で(姉妹マーケット、4月開催のMIPTVは1963年にスタートし、今年で終了しています)、テレビ・配信向けコンテンツであるドラマ、スポーツプログラムやドキュメンタリー、アニメの取引が主なので、基本テレビ局や出版社などの出展が主なのですが、映画コンテンツ、ライブラリーを保有する世界各国の会社も多くブースを出します。なので、かつて90年代から2000年代にかけてのレンタルビデオ隆盛期には、劇場未公開、ビデオストレートの商材を求めて、日本人バイヤーも数多く参加していました。

MIPCOM のメイン会場は映画祭と同じく パレ・ド・フェスティヴァル

が、現在は日本から参加する映画バイヤーは両手で数えられる程度で、顔なじみは数人。ゆえにカンヌでの3日半は、日中はミーティングに集中、昼ご飯はホテルに戻ってカップ麺で済ませ、夜は外で独り飯、という、週末のパリと打って変わった地味な日々を過ごしておりました。仕事のほうは、来年以降企画しているレトロスペクティヴの中の1本の買い付け交渉をしたり、長年探していた旧作の権利元が偶然見つかったり、とおかげさまで「来た甲斐があった!」という感じなのですが、例によって仕事の具体的内容はここでは詳しく書けないので、何を食べたのかを詳しく…(笑)。

極私的“カンヌ 独りでも入り易くて美味しい店”の筆頭は、こちらのイタリアン。30年以上前、初めて単身MIPCOMに参加した際、会食の予定もなく、「でも独りでご飯食べてるところ、知ってる人に見られたらヤダな」とカンヌの裏通りを隈なく歩いて見つけたお店です。“独りでも入り易くて美味しい店“、これは国内でも海外でも変わりはないと思いますが、ほどよく先客がいて(混んでると入りにくいし、空いてると「美味しくないんじゃ?」と思ってしまいます。4、5割の席が埋まっているのがベスト)、独り客も何人かいるのが理想です。

外から店内がちゃんと見えるのも、入り易い店のポイントです。

ここはまさにそんな感じ。しかし当時はまだレストランの体は成していなくて、イタリア食材店の一角に2人がけテーブルが3つあるだけ。そこで片手間のようにスパゲティ数種類だけをサーブしているお店でした。が、しかし、何の期待もせずに食べたスパゲティボロネーゼがめちゃくちゃ美味くて感動!以来コンスタントに通っていたのですが、美味しいと評判になったのでしょうか?毎回行く度にテーブルが増えて行き、いつの間にか完全にイタリアン・レストランになっていたのでした。当時初老だったご主人と奥さんは、コロナ前からもう姿を現していませんが、今回店員の方に、Google翻訳を利用して、「先代のご主人は元気ですか?」と訊いてみました。フランス語翻訳で訊いたので、当然答えもフランス語でしたが、笑顔で答えてくれてたので、店には立たなくなったけどまだ生きているのだな、と推測されました。

“カンヌ 独りでも入り易くて美味しい店”の2店目、またイタリア系ですが、こちらはピザがメイン。海外ではピザは“一人一枚“オーダーが基本なので、食べきれる自信がないのであまり行かないのですが、ここのピザはペロッと一枚食べられてしまいます。ネットで調べたらオープンは50年前だそう。お爺さん店主が黙々と窯で焼いている姿を見ていると、最近「早く引退したい」が口癖の私も、もう少し頑張らなくちゃな…という気持ちになってきます。次回カンヌを訪れるのは、来年5月の映画祭か、10月のMIPCOMか分かりませんが、51年目も元気にやっていて欲しいものです。

画像右下の窓から、ピザを窯に仕込んでいる店主の姿も確認できます。

他にもレパートリーは、ヴェトナム料理屋インド料理屋などを取り揃えているのですが(カンヌには美味い中華料理屋がない!断言!)、肝心のフレンチは、高級店でも、カフェでもない、ちょうどいい塩梅の独りでも入り易いビストロがなかなか見つかりません。シンプルなステーキとフレンチフライの付け合わせ、みたいのが食べたいのだけど、まだ「ここだッ!」という店に出会ったことが無いので、私と同じようにカンヌでも独り飯の機会の多い同業者の方からの情報をお待ちしております。

…と、誰にも求められていな店情報を長々と書いてしましたが、お伝えしなければならない情報が目白押しです!

先ずは明日11月1日㈮からヒューマントラストシネマ有楽町ヒューマントラストシネマ渋谷シネ・リーブル池袋シネマート新宿他、全国10劇場(札幌シアターキノは2日㈯より)で、パブリシティを担当した映画『ノーヴィス』の上映が始まります。ボート競技版『セッション』×『ブラック・スワン』と言われる異色の青春映画です。要チェック!

続いて、11月4日㈪には、黒澤明賞の授賞式に出席するため来日する『本日公休』のフー・ティエンユー監督の舞台挨拶付きプレ上映が、アップリンク吉祥寺で行われます(通常の上映自体は11月8日㈮からのスタートです)。お近くの方はぜひ監督に会いに来てください!こちら、席が埋まり始めていますので、お席の確保はお早めに!

そして、池袋 新文芸坐では11月4日、11日、12日の3日間限定で、『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』が、前後編続けて上映されます。見逃していた方、絶好の機会ですので、ぜひご覧ください!

そして、そして!11月8日㈮からは、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下“Adieu(さらば) アラン・ドロン”と題した、アラン・ドロンの追悼上映がスタート。弊社からの『冒険者たち』、『若者のすべて 4Kレストア完全版』に、『太陽がいっぱい 4Kレストア版』を加えた代表作3本を上映します。スクリーンでドロンに会えるチャンスです。こちらもどうぞ劇場に足をお運び下さい!

texte de daisuke SHIMURA




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