Histoire De Zazie Films 連載⑰ アジアン・ビート、あるいは、特定の会社との特定の付き合い(笑)。
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前回の記事はこちら☞ 連載⑯イタリアは呼んでいる
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今週末、関東地方は、11日のルシネマ、13日の岩波ホールの再開をもって、ほとんどの封切り館が営業を再開することになります。長かった!
弊社も来る6月27日㈯から、シアター・イメージフォーラムにおいて、ツァイ・ミンリャン監督作『あなたの顔』が公開初日を迎えます。ツァイ・ミンリャン監督の映画を配給するのは初めてですが、長編デビュー作『青春神話』から心酔してきた監督なので自社で配給できることが出来て、とても嬉しく思っています。声をかけて下さった共同配給のトランスフォーマーさんに、この場を借りて御礼申し上げます!
前回イタリア映画とのご縁について書きましたが、会社の設立当初から、実はアジア映画のライセンシングの仕事もコンスタントにやってきました。かつては『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』や『少林寺』のテレビ放送権を扱っていたことも。90年代、香港出張の際に劇場で観たツイ・ハーク監督、レスリー・チャン主演の『金玉満堂 / 決戦!炎の料理人』(‘95) を、帰国後入れ違いに社員旅行に出かけるというメーカーさんに声をかけ、社員旅行中に観てもらって気に入ってもらい、買付け交渉に突入した、ということもありました。
2000年代に入ってからは、連載に何度か出てきた中国映画『わが家の犬は世界一』(‘02)が興行的に厳しい結果に終わって以降は、アジア圏の映画とは縁遠くなっていたのですが、2009年とある会社の買付担当の方から、「劇場にかけたい台湾映画があるのだけど、劇場の配給を手伝ってもらえないか?」という相談を頂きました。その映画が『海角七号 君想う、国境の南』(‘08)ウェイ・ダーシェン監督の台湾大ヒット作。映画は、正直ベタベタではあるけど、娯楽映画として心根の正しい、“正統派プログラム・ピクチャー”という感じで、すっかり気に入りました。
その会社こそ、アジアのドラマや良質なドキュメンタリーのパッケージを中心に手掛けているマクザムさん。初のコラボとなった『海角七号~』はスマッシュヒット。初日、2日目連続の舞台挨拶で来日した監督、キャストも大勢のお客様を前にご機嫌。打ち上げで行ったカラオケで、主演俳優のファン・イーチェンの生主題歌を聴かせてもらって、私はお返しに台湾で人気を誇ったのりピー(事件直後)の「碧いうさぎ」を熱唱したりしました(笑)。いい想い出です。
その次にマクザムさんとコラボしたのが2013年、やはり台湾映画の『あの頃、君を追いかけた』(’11)。劇場の方から聞いたのですが、今でもアジアの青春映画を他の会社さんが公開する際は、「『あの頃、君を追いかけた』みたいな感じで…」と、宣伝の際に成功例としての『あの頃~』を意識してくださることがあるようです。嬉しい限り。
次のコラボ。台湾映画『共犯』(’14)は“引き分け”という感じで、4度目に組んだのが、高校生たちのカンニングをスリリングに描いた『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(‘17)。初のタイ映画でした。
2018年9月に公開、これが関係者一同驚く、サプライズ大ヒット。日本ではトニー・ジャー主演のアクション映画がヒットした実績があるぐらいで、「タイ映画、特にドラマは難しい」と思われていましたが、『バッド~』は作品の面白さ一点突破で、その難しさをあっさりと越えてしまいました。ザジで全国120スクリーン以上で公開した映画は、今のところこれ1本です。『あの頃、君を追いかけた』は昨年日本でリメイクされ公開されましたが、『バッド~』もリメイクの噂を耳にしました。実現する日が来るのでしょうか…。楽しみなような、怖いような…。
2020年後半、マクザムさんとは2作品のコラボが控えています。1本目はコラボとしては初の韓国映画『ブリング・ミー・ホーム(英原題)』。「宮廷女官チャングムの誓い」、『親切なクムジャさん』の国民的女優イ・ヨンエが14年ぶりにスクリーンに復帰した作品で。9月公開を予定しています。昨日からプレス試写が始まり、評判も上々です。そしてもう1本、隠し玉があります!うぅ~、言いたい!発表出来るのは夏頃でしょうか?
マクザムさんとのコラボは、今のところ“3勝1引き分け”。5勝にすべく頑張らねば!
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