イシューから始めるUXリサーチ
今回のお話
社内でよく調査してみてとか競合についてや世の中で流行っているサービスについて調べてみてといわれることはありませんか?
その調査のどの程度が検討の役に立ったのでしょうか。
すでに存在するサービスの成長を考える時に定量・定性のアプローチがあります。どちらも同じ目的を持っていながら別々のアプローチとなり、どちらにも一長一短あります。
今回はこの記事をみながら定性側であるUXリサーチについて考えていきましょう。
イシューは何なのか
イシューと聞いてパッとこういうものだと定義できる人はどの程度いるだろうか。
自分自身も何度もこの本を読んで振り返りながらイシューについて考えています。
この本曰く、イシューというのは、以下の要素を満たすものと言われています。
①二つ以上の集団の間で決着のついていない問題
②根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
未解決かつ本質的な問題ということになります。
よく仮説を持って考えようといいますが、どういった仮説立てをしていけばよいのでしょうか。
「〇〇はどうなっているのか?」という仮説は方向性も何もないためあたりのつかない問題になっていてそこから導き出される答えの質は低いものになるでしょう。
UXという点においても「定期的に購入してくれるユーザーはどの程度購入してくれているのだろうか?」など考えても全く意味のない話かもしれませんよね。
おそらく答えは5,000円でしたなどにっちもさっちも行かないものになるでしょう。
ではどういう仮説が「良い」イシューであるかというと。「〇〇は▲▲ではないか?」というものです。一定のスタンスと仮の答えを持っておくということが「良い」イシューの第一要件のように感じます。
先ほどの例で考えてみても「定期的に購入してくれるユーザーは購入のたびに購入単価が上がっているのではないか?」という仮説をもてば定量的にも定性的にもアプローチがしやすくなります。
少なくとも調査の方向性は定まった状態からスタートすることが可能です。
このように何らかのイシューを持った状態で始めないとせっかくのUXリサーチや調査も結局やって損するだけになるのかもしれません。
そもそも何でUXリサーチをする必要があるのか
イシューを設定して答えを出すべき問いは設定したが、何でUXリサーチなのだろうかと思う方もいるかもしれません。
その一つの答えは、ユーザーの「不・負」を見つけるためだと考えています。
既存サービス・プロダクトの改善においても新規サービスの検討においても課題が見つからないことが大半だと思います。
なぜなら当事者であるもののサービス・プロダクトに見慣れてしまっていたり、世の中で不満に感じることがパッと出てこなかったりするからです。
そのため自分たちとは感度もアンテナも異なる人たちに「聞いて」いくことが大切になるからです。
ふと誰かが知っているサービスやプロダクトに触れていることを見かけたりしますが、思いも寄らない使い方をしているケースは少なくありません。
そうした時に初めて、導線設計がユーザーに寄り添っていなかったり、サービスが解決しようとしている課題とユーザーが持つそれとの差分などを知ることができるのです。
頭の中にないものをニュースを読むことやサービスに触れることで見つかるのであれば誰も苦労はしません。
一重にユーザーの声に耳を傾けていくことが重要だと感じます。
何に怒りを感じ、何に喜び、何に悲しむのか。感情の変動を意図的に取りに行く所作こそがUXリサーチだと思っています。
最後に
新規事業の立ち上げや既存サービス・プロダクトの改善などできることはたくさんありますが、定性的な調査というのはなかなか蔑ろにされるケースが多いのではないでしょうか。
どうしても定量的な分析などが一見すると正しそうです。
もちろん定量的な分析も重要で大切ですが、定量的な分析は何が起きたかは教えてくれるもののなぜそれが起きたのかはわからないことが多いです。
そのためハイブリッド的にユーザーがなぜそうしたかというのを追いかけてみることは重要な気がしています。
定量的なものよりも難易度が高くどれがサービス改善につながるユーザーなのかなど留意すべきポイントはたくさんありますが、イシューを持って日々ユーザーに向き合っていくことの重要性が高まってきていますね。
それでは、また。