イースタリンの逆説
イースタリンの逆説とは?
貧しいときは収入が増えると幸福度が増すが,ある程度裕福になると収入が増えても幸福度が上がらない.
1974年に経済学者Easterlinは国の裕福さと幸福度に関係があるか調査しました[1].その結果,これらに相関がない(あっても弱い)ことがわかりました.
その理由としてEasterlinは「国が裕福になったら自分以外の人たちも裕福になってくる.そうすると自分の年収が上がっても周りと比較したときの金持ち度が変わらないからではないか」と述べています.
一方Kahnemanの研究では,年収が800万円を超えるとそれ以上幸せにならないという結果が出ています[2].つまり,Easterlinが言っていたように周りとの収入の比較ではなく,そもそもある程度の収入を超えたら幸福度が上がらなくなるということがわかりました.なぜ800万円なのかというと,Kahnemanは「年収800万円になると衣食住での不満がなくなってくるから」だと考察しています.
参考文献
[1] Richard A. Easterlin. 1973. "Does Money Buy Happiness?," Public Interest, No.30, pp.3-10.
[2] Daniel Kahneman, 村井章子(訳),.2012, "ファスト&スロー".早川
書房.
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