5歳児の回想②〜言葉の力
言葉の力。ぼくは、その大切さを知っている。
"書"においても、人々の思考や感情、行動に影響を与える強力な道具だと伝えられている。
だから、ぼくは苦手なタマネギを見つけたら、ママに言うのだ。
「これ、美味しそうだから分けてあげるね」
すると、自然とタマネギが無くなっていくのだ。
なんと、素晴らしき事か!
思わず、口角が上がってしまいそうだ。
しかし、言葉には注意すべきこともある。
それは、言葉は喜びの他に悲しみや怒りといった感情を表現することができるのだ。
例えば、ママやパパの指摘や注意に対して怒りの言葉を投げかけると、双方からの波状攻撃を受ける事がある。
その時、さらに悪意のある言葉を使ってしまうと最悪だ。
ママもパパも少しの間、僕の要望を聞き入れてくれなくなり、結果として悪影響を及ぼす。
だから、ぼくはすかさず甘えてみせるのだ。
「ママー抱っこしてーー」と。
当然、最初は受け入れてくれない。
しかし、泣きながら懇願の気持ちを全面に出し、繰り返す伝えると、仲直りができる。
なんと、簡単なことか!
思わず、口角が上がってしまいそうだ。
さらに、"書"によれば言葉は人々の行動や意思決定にも強い影響を与えるらしい。
歴史を振り返ると、偉大な指導者や思想家たちが、ーー。
ん?
不穏な気配を感じるが……。
気のせいか?
最後に、言葉の力は自己のアイデンティティ形成にも影響を与える。と"書"は述べている。
そして、"書"の著者は言葉を通じて自分自身を表現する。と締めくくっている。
斜め上を見上げ、両の手を広げた姿を挿絵と共に。
ん?
物音が聞こえる……。
きっ気のせいか?
さておき、今日は"書"から色々と学んだ。
言葉の力。言葉を発する重要さについてだ。
ん?
声が聞こえる。
きっきっ気のせいか?
「言葉の選択。それを正しく行えば、自己の強化や他者との関係を深められるのです」
見ると、ぼくの正面に挿絵の人物が立っている。
ぼくは、目を凝らした。そして、目を疑った。
ぱっパパだ……。パパは、昨日ニンニクをたくさん食べてーー。
「では、今からいっきまーーす!」
パパは、そう言ってぼくに微笑みかけた。
その顔は、口角が上がり、目が見開き、首を右に曲げている。
ぼくは、必死で逃げる構えをとった。
背後からは、パパがぼくに向かってダイブしている気配がする。
早すぎる!早すぎるぞー!!
言葉は私たちの人生に深く関わり、多くの場面で力を発揮する。
「パパ、やーめーて!!」
その後のぼくが、どうなったかは想像にお任せしよう。
このように、言葉の力を適切に使うと、個人の成長や社会の調和に寄与するケースもあるらしい。