「管理職は罰ゲーム」に屈しない中間管理職が乗り越えるためにやった7つのこと
※本タイトルは、2024年2月発刊の『罰ゲーム化する管理職』(著:小林祐児氏)を参考に着想を得ています。
私は、いわば中間管理職というものです。
この記事では、苦しかった(あらゆる経験をしました…)低空飛行のマネジメント期間を経て、組織で「成果」を上げたという過去の実体験をもとに、赤裸々に語ります。
※赤裸々と言いつつ、話せること話せないことあるため随所伏せます。
まずは、かんたんな自己紹介🙇
もっとも読んでいただきたいのは、同じ中間管理職のお立場の方です。
いろいろと経験してきたからこそ、そして今もなおずっと悩んでいるからこそ、同じような境遇の方のお気持ち十二分にわかります。。
職種柄、私自身オープンに話すのは抵抗ありますが、ほんの少しでもどなたかのお役に立てればと、と意を決して書きます。
想定している読者の方👀
☑️ 現在事業部長など同じ境遇にいる中間管理職の方
☑️ +チームマネジメント・チームビルディングに関心のあるビジネスパーソン
☑️ +はじめて管理職に就いたばかりのビジネスパーソン
そもそも「成果」とは
冒頭に「成果」としていますがここでは、事業本部の予算達成を指します。会社に属されている読者の方も、会社から期待されている予算・数字目標を何かしらお持ちだと思いますが、それです。
この記事では、ちょうど1年前である24年1月~24年3月の四半期で私たちチームがやってきたことを紹介します。
創業期以来過去最高の四半期業績を叩き出すことに成功したという生々しい体験を綴っていきます。
前提:私たちの組織
早速本題に入りたいところですが、「組織」と一口に言っても、業態(ビジネスモデル)・事業規模・事業フェーズなどによって、まったく異なる「顔」を持つので、より理解度上げていただくために、また前提を揃えるために、背景となる部分に少し触れておきます。
当時(組織ができてから1年6ヶ月後)での組織概要は以下です。
事業:コンテンツ・クリエイティブの受託制作業務(※一部コンサルティング業)
業績:※非公開※
メンバー構成:新卒/キャリア、20代(新卒入社1年目)~40代、とバックグラウンドや層は混在
組織構成:正社員・業務委託含めて総勢15名ほどで、正社員に限ると約10名
職種:制作メンバーと営業メンバーがそれぞれ混在している組織
出勤形態:基本リモートワーク(※週1回固定曜日出社必須)
ぶち当たった壁のひとつ
事業統括しはじめてからぶち当たってきた壁は、大なり小なり考えると、数を数える指が止まりません。
組織を牽引していた当時、事業への期待度は極めて高かったにもかかわらず、ほぼ業績を上げられていなかったのが事実です。私含めみんながみんな必死に稼働しているにもかかわらず、結果に結びつかないのです。表現変えると、空回り状態です。
こんなとき何が起こるかというと、「何をやってもだめだ…」「営業、新規案件頼むよ…」といったような、負の雰囲気、ぎくしゃくした雰囲気が漂い出します。つまり、"組織効力感"がなくなっていました。
(こういった事態に陥る前からずっと手を打ち続けないといけないという学びはまた別にあります)
組織は当然、大なり小なり、または緊急性高い/低い課題を抱えており、私の役割はその課題(ボトルネック)の解消です。課題を、"組織効力感の再醸成"とみなしたうえで、やるべきことをいくつか同時並行に進めていくことにしました。
と、"組織効力感の再醸成"というフレーズ使いましたが、当時はそんなもの考えておらず、「まずは雰囲気から立て直して、何とか達成させよう。とりあえず雰囲気から、とりあえず雰囲気。。ただどうするか。。」ぐらいにしか考えられませんでした。
苦難を乗り越えるためにやったこと
言葉や文字にしてみると、できて当たり前と感じるものばかりです。読む方によっては、「そんなところで躓いてるのか・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
1. 共通目標を1つ作った
前述のとおり、私の組織では営業と制作という性質の異なる職種が混在しています。彼ら彼女らメンバーからすると、追い求める数字が異なっていたのが実態でした。従前からその状態でも右肩上がりに成長できていた背景もあったのですが、このタイミングでひずみが出たのだと今では振り返ります。
そこで、組織全員に認識させる目標を1つに絞り込みました。組織としては持っていた数字目標ではありましたが、高らかに「これを目標とする。これ以外のものは今は見ない。」と宣言しました。
2. 数字にゲーム性を持たせた
前述のように目標を掲げたのみでは達成に至るまでに、組織は機能しません。
目標達成のためにそれまでの逆算をしたうえで日々数字を追いかけていくことは当然ですが、それ以上に、「目標達成できるのだ」というメンバー全員に思い込ませる仕掛けにこだわりました。
そこで、目標達成までのカウントダウン表を作成しました。「〇〇と△△と■■をすれば、目標達成できる」という一目瞭然の状態にと可視化し、誰がいつのタイミング見てもわかるように管理表を改善しました。
この効果は、やることが明確になることと同時に、完了するごとに「〇〇」や「△△」はどんどんと消えていくので快感を得やすかったとメンバーも振り返っています。
3. 全員が数字に毎日目につく状態を作った
1と2があるものの、ここで大きな障壁になります。組織メンバー全員に"自分ごと化"させる必要性があります。ここでの"自分ごと化"は、目の前の課題を正確に認識し、積極的に関与しようとする思わせる心理的プロセス、という意味合いですが、なかなかに難しいことだと思います。
基本的に目標なんてものは忘れるもの。自身で掲げる目標でも忘れることが公私問わずあるにもかかわらず、まして他人の私が発信している内容は忘れる、という前提に立っています。
そこで、必ず目につくように、毎日毎日slackに手動で送り続けました。
(リモートワーク環境下ゆえslack送信していましたが、ほぼ毎日オフィス出社であれば紙での掲出にしています。)
毎日送ると、いわゆる「オオカミ少年化」するだろうという懸念はありますが、とにかく毎日60営業日続けました。
4. 捨てるものを決め徹底的に捨て続けた
事業の全責任を背負っているため「すべてやらないといけない」という思い込みはしがちです。
ここでは社内事情も含むため具体は控えますが、そこで、私自身の中で捨てるものを明確にし、業績へのインパクトが小さいものは捨てると判断し、ほぼ蓋をする状態にとしました。
5. チームテーマを設定した
サイバーエージェント社(人事部長 曽山 氏)は、強いチームには3つの共通項がある、と仰ってます。それは「共通目標、共通言語、共通感情」です。
出典:【上司必見】チーム作りで悩んでる人にぜひ見て欲しい。すごいチーム3つの共通項
そこで、24年1月の一番の年始に、1の共通目標も掲げながらも、それらを参考にしつつ注力していく組織としての定性的なテーマ(=共通言語)を作りました。①ポジティブ、②言語化、③振り返りと学習、の3つでした。
ただ実は、①だけ声を大にしてメンバーに伝えたかったのです。②③は何でも良かった。①を伝えたかったので、②③は重要で当然であることと、覚えづらいもの(普段使いしづらいもの)を付け加えただけでした。
6. 「部分的No.2」を作った
ここまでで、やったことを列挙してきました。実はこれら、たった一人でやったのではありませんでした。
管理職の役割の1つに、"次期リーダー育成"もあるかと思います。つまり、自身の右腕となる「No.2」の育成です。教科書的にいうと、当然それは役割であり、責務です。
ただ実際のところはどうでしょうか。プレイングはしないといけない、メンバー教育もしないといけない、メンバーの業務巻き取りやトラブル対応もしないといけない、会社の管理職研修は受けないといけない、などなど対応範囲が非常に広く、私自身もご多分に漏れずです。権限移譲(権限委譲)も、段階的にやっていく必要があります。
そこで、素直で明るく組織内で目立ちやすく、何よりチームテーマで掲げた「ポジティブ」を体現しているような当時1年目のメンバー1人(Aさん)を巻き込みました。もちろん数字管理や事業全体すべてを託すことはできないので、前述の2と3を任せました。
(5の「ポジティブ」も何度も口にするように意図的に仕向けたかったのですが、何も伝えずともそのAさんは自発的に発信してくれていました。)
7. 常に元気よく機嫌よく振る舞った
最後に、これまで列挙したものと性質が大きく異なりますが、この破壊力は圧倒的だったように思います。
危機的状況と対峙することで、どこか暗い雰囲気を出していたと思います。いえ、出してました。組織のトップである私がそれでは当然組織に反映されている、と猛省しました。結局自分自身が変わらないことには、他を変えることはできません。
そこで、どれほど苦しい状況であろうが、"常に元気に振る舞う"と決めました。それ以降、「組織は自分自身の写し鏡である」という前提をずっと胸に刻んでいます。
(当時は人が変わったようになったので違和感でしかなかったと思います。)
締め:再現性を生み出すキーファクターとは
ここまで読んでくださった方はありがとうございます。
記事の最後に、1つお伝えして締めくくりにいたします。
この記事で7つのやってきたことを書いてきましたが、その再現性の鍵はこれらの施策内容ではありません。施策を走らせると同時に、それらの施策が機能する、施策のパフォーマンスが最大化する鍵を身をもって体験しました。
それは「No.3」の誕生です。3ヶ月の間で明らかにブレイクスルーする瞬間でした。数字を"自分ごと化"する、自発的に「俺たち私たちならできる」と口にする、自発的にチームテーマを発信する、といったメンバーが明確に1人現れたあとの組織全体への伝播は早く、威力が凄まじかったです。
組織文化・カルチャーを醸成させたい局面に出会った際には、巻き込んだ人材に続く次のN人目をどれだけ意図的に生み出せるかが、私にとっての次の宿題です。
いろいろ辛酸をなめてきたものの今となっては、仕事が楽しくて仕方がない、という感想です。
当然苦しいことは多いです。ただ、仲間と一緒にゴールに向き合っていくそのプロセス、仲間がどんどんと成長していくさまを見ていると、面白い。対外発信しているからではなく、心の底から感じられるようになりました。
何よりも、ここまで一緒に苦楽をともにしているメンバーに感謝です。
※内容をさらに深ぼって述べたいパートはいくつかありますが、文章構成上、部分的に割愛しています。ご了承ください。