社会人まであと数ヵ月、公の場に何着てく?

何を着ていこう。

ここのところ、ふと考え込んでしまう。

それは、わくわくしたものでは決してなくて、むしろ塞ぎ込みそうになるほど私にとっては深刻な問題だ。

   

大学生活の中で、親が選んだ親が着てほしい服じゃなくて、私が選んだ私が着たい服を少しずつ見つけられるようになったのに。

それにだってとても悩んだし今も悩んでるし未だに迷走している。

なのに、今度は社会が望む社会が許してくれそうな服を自分で選ばなきゃならない
おおげさかもしれないけど、私の中ではそれくらいの感覚だ。

   

そして社会が特に望む服は、大抵、私が拒絶する服だ。
スーツならスカート。パンプス。ストッキング。女性ならブラウスやカットソーをYシャツの代わりに着たりするらしい。

着たくない。

ましてオフィスカジュアルはもっと難しい。
スカートの他にワイドパンツみたいなもあるけど、大抵女性らしいシルエットを強調する着方や形が多くて困る。

着たくない。

  

たぶんきっと、普段の通勤ならパンツスーツにYシャツで男物の革靴も許されると思う(もっと許されるならネクタイもしたい)。
実際、就職先には「パンプスがどうしても苦手なので普段の仕事では男物の革靴を履くと思います」と伝えたが、「公の場、たとえば式典とかじゃなければ大丈夫だよ」と、特に問題なさそうな反応だった。

  

そう、問題なのは公の場の中でも特に「公の場」とされる場面。
式典、冠婚葬祭あたりだろう。

特に冠婚葬祭が厄介だ

式典ならきっと仕事上での参加が大半で、パンツスーツでも許されそうだが、冠婚葬祭となるとそうもいかない。

「パンツスーツは女性の正装ではないからスカートで」

中高時代は制服があったからまだ納得できた。
でも大学生になって、もしかしたらそこから解放されるかもと淡い期待を抱いたのに、それは無惨にも打ち砕かれた。

過去の冠婚葬祭で何度これを母や祖母に言われ、スカートを着せられたことか。

特に、父方の祖父の葬式の時のことは、はっきりと心に残っている。
私はいつものようにスカートを拒否した。嫌がった。
大学生になってすぐの淡い期待を抱いていた時期だったし、それ以上に祖父の前では今まで通りの私で、私らしい私でいたかったから、特に強めに抗った。

でも母もまたいつものように、いつもの言葉で私にスカートを履かせようとした。ついでにコンタクトもするよう言われた。

諦めの早い、聞き分けの良いはずの私にしてはかなり頑張った。

でも結局、私は抗い切れなかった。
スカートを履いてコンタクトをした。
弟も父も母方の祖父もメガネだった。

あとになって、なんでもっともっと強く抵抗して説得して、自分らしい姿でいようとしなかったんだろうと後悔した。
祖父に最後の別れを告げるときも自分らしくありたかった。

来年から、私はまた幾度となくこの後悔を味わいつづけるんだろうか。
抗っていけるんだろうか。
抗いたい。

私らしくいさせてほしい。

公の場で何を着て行こう?

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