【私の中のあなた】感想文
良い話でした。
この映画は、白血病の姉を救うために両親に作られた子供である妹が、自らの人生のために、姉への臓器提供を拒否する所から始まる。
とてもヘビーな内容に思えるけど、この映画のテーマは、姉妹愛の歪みでもなければ、自己存在への疑問でもなければ、両親の愛情の偏りでもない。
これは臓器移植の根深い問題というよりは多分、本人と家族にとっての尊厳死に関わる話。
死を前にした少女にとって、「どう死ぬか」は「どう生きるか」と同義だったし、母親にとっては生きている子供だけが全てだった。
「私の中のあなた」ってどういう意味なのかな。母の中の娘、妹の中の姉、姉の中の妹、もしくは家族。自分を投影したり、何かを託したり、いつかの道標にしたり。
姉が死ぬその間際まで、「あなた」は「私」を、照らし、救い続けてくれた。