【手紙は憶えている】感想文
めっちゃ面白かった。クリストファー・プラマーが、名演も名演。
90歳のゼウは、前日の記憶もままならない重度の認知症。そんな彼が、ただ一つ忘れられないのはナチへの怒り。
同じくアウシュビッツの生存者である友人の助けを借りて、復讐の旅に出る。
ゼウが礼拝室でピアノを演奏するシーンが印象的だった。
おぼつかない足取りで歩き、前日の記憶もままならない老人が、確かに奏でる美しい調べ。
90歳のおじいちゃんが弾いているとは思えない旋律(何と実際にクリストファー・プラマー自身が演奏している!)に聞き惚れた。
記憶の無い老人が復讐に向かうという『メメント』を彷彿とさせる設定。
何度も登場するアウシュビッツを象徴するモチーフや不穏な音楽に、漠然とした胸騒ぎが止まらない。
手紙は憶えている。
70年前に彼が与えられた苦しみを、奪われた怒りを、彼らは絶対に忘れない。
忘れることなど許さない。
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