ストーリー・オブ・ファーストキス
「まだ着かないの?海」
こういう時は、大体言い出しっぺが一番最初にボヤき始めるものだ。
街灯が、僕ら4人の歩く影を地面に照らし出している。
「1時間かかるって言ったじゃん」
大学から歩いて1時間で海に行ける。
それを聞いて、最初に行きたいと騒ぎ始めたのは啓介だった。
にも関わらず、こいつは身勝手にも表情を曇らせる。
「財閥の息子だから歩くの苦手なんだよ。ヘリ呼んで、ヘリ」
「お前んち豆腐屋だろ」
悪態を突く啓介に、先頭を歩く潤一がツッこんだ。
こいつの会話における