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誰もかれも「あの時」のままではいられない
この世は諸行無常であり、モノも人も変わっていく。
私が某コンビニの某どらやきに前ほど喜べなくなったのも、そのせいに違いない。
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某冷蔵どらやき。もっちりしつつ餅すぎない唯一無二の生地が最大ポイントだが、餡とホイップの欲張りセットかつ銘々が実力をいかんなく発揮できているのも好きである理由だった。
しかし数ヶ月、いやもしかしたら十数か月ぶりに食べてみたところ、これまで毎回抱いていた感情の高ぶりがなかったのである。
もちもち生地は「これだよこれ」と一口ごとに頷いていたが、問題は中身。餡もクリームもどこかどっちつかずな印象で、特に前者に関してはほのかに鉄分の雰囲気を感じた。
自覚症状なしの貧血気味だったという説もゼロとは言えないが、私が咀嚼しながら考えていたのは次の2つ。
最もあり得るのは、「リニューアルの方向性が私の嗜好と合わなかった」。そして自惚れ承知で言うならば、「専門店の味に舌が慣れてきてしまった」である。
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定番商品も不変ではなく、定期的にマイナーチェンジを行なっていくもの。この商品も例外ではなく、去年も今年もリニューアルされていたらしい。
好きな割に去年食べていたかも怪しいため、もしかすると前々回のバージョンで私の記憶は止まっている可能性がある。2度も姿を変えていれば雰囲気が違っていても不思議ではない。
ちょうど昨日Twitterで「しばらく会っていない人に『会いたい』と思う感情は、"当時"の自分による"当時"の相手に対する思いかもしれない」的な話を見た。会わない間にお互い何らかの変化があり、その状態で再会しても以前と同じ関係にはならない(かも)、ということだろう。
このどらやきと私の関係も、それだったのかもしれない。
そう考えると、後者の説「舌が肥えた」もあながち間違いではないような気がしてくる。
事実、現在個人的和菓子ブームが到来しており、専門店の餡をここ数ヶ月で過去数年分は摂取している勢い。最中の美味しさを知ったのも、スーパーではなく和菓子屋さんの商品だった。
和菓子に注力できる専門店の味を何度も染み込ませてきた舌と、少なくとも2回は変貌を遂げたどらやき。
これらが対面したとき、あのときと同じような関係性でいられないのは必然だったのかもしれない。
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今回は悲しい結果になったものの、専門店以外のリーズナブル和菓子は今後も食べていきたい。というか、より興味が湧いてきたまである。
初めて食べるならまっさらな気持ちで向き合うことができ、記憶との答え合わせは発生しない。私たち、いつからすれ違いが起きてたんだろうね……なんていう切なさも抱かないはずだ。
まずは、ここらへんで最安値だったトップバリュどらやきを買ってくることにしよう。
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