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2本の焼き芋がここにあるじゃろう?
友人とドライブに出かけた際、車内でなぜか焼き芋の話になった。
そのとき私が真っ先に思い浮かんだのは、電子レンジでチンしたさつまいもを半分に割り、歪な断面に冷蔵庫から出したばかりのバターを塗って食べる、という光景。
これは小学校に上がっていたかどうかあたりの時期、父方の祖母に教えてもらった方法である。私の焼き芋の原体験と言っても過言ではない。
しかし友人は「えっ、焼き芋にバター?」と驚いている。いやいや、じゃがバターみたいなものではないか。それにスイートポテトの簡易版と言えなくもない。ああ、でも彼は甘いの食べないからこの反論はあまり意味がないか。
熱々のさつまいもに冷え冷えのバター(マーガリンではないという豪華さ)は後引く美味しさだった。一瞬で溶けて黄金色に輝くのもまた美しいではないか。
しかし、木とガラスでできたバター容器を思い出したところで、あれ? と気がつく。最初に出てきた記憶の割に、祖父母の家以外でこの食べかたをしてこなかったかもしれない。
家を出てからは冷蔵庫にバターがなかったという事情はあるものの、マーガリンで代用しようと思ったこともなかった。バター仕立てタイプを使っていた時期もあったし、本当は厚めに塗りたいくらいには好き好んでいるのにもかかわらず、だ。
記憶をていねいに掘り起こしていくうちに、スーパーの焼き芋と祖母が作ってくれた焼き芋には大きな違いがあることに気づいた。
前者は、安納芋などのねっとり系でない品種であってもどこかしっとりしていて、それ単体でも十分甘い。対して後者は”ほくほく”に全振りしていて、そのままだと喉につまりそうになるくらいの塩梅だった。そして甘みも比較すれば控えめだったのかもしれない。
それに色味も祖母版のほうが明るめというか、絵の具だったら”黄色”じゃなくて”レモン色”みたいな感じじゃなかったかしら……。昔の記憶すぎて脳内画像の色素が薄くなっていなければの話だけど。
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これら2本が置かれていたとして、私はどちらを選ぶだろう。
ほくほく芋は思い出が乗っかっているという強さがある。さらにバター使い放題という特典付きだったら鬼に金棒だ。しかし、単純な好みだけで考えるとしたら……申し訳ないけど(?)しっとり芋かもしれない。
ただ安納芋ほどのスイート感でなくていい。1/2本食べてちょうど良いくらいの甘さ加減が理想である(なぜなら1本まるまるは多いから)。ちなみに頭に思い描いているのは、スーパーの機械で焼いている「紅はるか」だか「紅あずま」。語感も字面も似ているあまり毎年区別するのに失敗しているのだが、さて、今年は如何に。
……そんなとりとめもない話をしている今現在、実は春巻きが食べたくなっています(!?)。考えすぎてしょっぱいものが欲しくなったのかしらん。
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