思い出の生キャラメルソフト
最近、頭に「生」がつくお菓子が乱立しているが、少し前の二大巨頭は生チョコと生キャラメルだったのではないかと思う。
おそらく私が最初に知ったのは生チョコのほう。オーソドックスなチョコよりも柔らかく、濃厚なくちどけが魅力的だ。
そんな生チョコで最も古い記憶は、ロイズのピラミッド型チョコレートである。小さい頃見送りか何かで空港へ行ったときに試食があったのだが、そのピラミッドがカットもされずにずらりと並んでいた。確かにあれを切るのは難しいけれど、”ただ”で1粒食べられることがすごく贅沢に思えた。
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その後、花畑牧場の生キャラメルが一世を風靡した。
私の地元にも公式ショップが誕生。商業施設の小スペースだったのもあり、オープン当初は通路を歩くのもままならないような状態。
両親も私も流行に疎く(というかあまり乗ろうとしない)、混雑も避けて通るタイプ。なので普段ならそんな大盛況なところには行かなかっただろう。
しかし既にお土産か何かで生キャラメルを食し、その美味しさを知ってしまっていたのだ。
甘さがしつこくなく、すっと溶けていく感覚。1個なんてあっという間で、もっともっとと食べたくなる危険なキャラメル。
公式ショップには味のバリエーションも豊富ということで、どれどれと偵察へ。そうして大混雑に見舞われたのだった。
その繁盛ぶりを珍しく肌で感じたので、閉店したときは諸行無常を感じた。しかし厳密には閉店ではなく、別の場所の一角にソフトクリームをメインとしたショップとして生き残った。
今、書きながらその事実を思い出して震えている。というのも、そこの生キャラメルソフトが大好きだったのだ(なら忘れるなよ)。
昔からキャラメル味のソフトクリームが好きで、某コンビニで提供していたキャラメルソフトが大好物だった。しかしそのコンビニは閉店してしまい、キャラメルソフトも幻となってしまう。
そんななか現れたのが、花畑牧場の生キャラメルソフトだった。正直、見た目は全然違う。コンビニのはザ・キャラメル色で、花畑牧場は落ち着いた色をしていた。しかしなかなかどうして、花畑牧場もすごくすごく美味しいのである。
それなのに移転後のお店はいつも閑散としていた。平日に通り過ぎることが多かったからかもしれないが、店員さんは毎度暇そうにしていて、黄金期の賑わいが嘘のようだった。生キャラメルソフトだけは無くなってほしくないので『頑張れ……』と念を送っていたが、その思いも虚しく完全に閉店してしまったのである。
こうして2度もキャラメルソフトを失ってしまった。その喪失感を今思い出し、ちょっとしんみり。
だが、たった今仕入れた情報によると、生キャラメルソフトは新千歳空港に行けば食べられるらしい(!)。空港に行く用事は全く無いので食べる目途もつかないが、場所が場所なのでさすがに安泰かなと勝手に安心してしまっている私がいる。