歌詞が目に染みる③
最近の曲もよく聴くんです。
吉澤嘉代子の美少女の歌詞にはとてもいい意味でゾッとさせられた。
恋がしたい 恋がしたい
これまでの過去を許せるような
恋がしたい 恋がしたい
美少女になれたなら
美少女になれたなら
女性の執念というか、女性に限らず人間の執念でもあるのだけど、美少女になれたなら過去を許せるような恋がしたいって、どんな過去なのだろう。どんな惨めな思いをしてきたのだろうか。
何にせよ、明るくポップな曲調、身体ごととろけてしまうような恋がしたい、と歌っていた所に最後、これまでの過去を許せるような、とは驚いた。
歌詞に果てしない奥行きを感じる。
カネコアヤノの季節の果物。
特に好きでもない人が夢に出てきた
Ah ah 愛犬と恋人を紹介された 冬
今に気づいたことじゃないけれど
ぼくは ah ah 断るやりとり 苦手でした
君とは友達じゃない
優しくいたい
海にはなりたくない
全てへ捧ぐ愛はない
あなたと季節の果物を分けあう愛から
このはっきりとした意思表示。気持ちがいい。
そしてこの些細でとても大切な感覚を、何とも洒落た形で歌にできちゃうところがカネコアヤノの非凡なところだ。
フレシノとのCats & Dogsで、何もしたくない日にただただ洗濯物が揺れる様を見ていたいよ、という気持ちをサビの歌詞にしちゃうところもそうだけど、さらっとすごい事をする。
優しくいたい、けれども、海にはなりたくない。
いいなー、分かる、とても分かる。女性を海(母親の代わり)みたいに思う男性は多い気がするが、海にはなれない。なりたくない。
それは女性であっても、男性であっても。
折坂悠太のトーチは、コロナ禍によく聴いていた。
お前だけだ あの夜に
あんなに笑っていた奴は
私だけだ この街で
こんな思いをしてる奴は
吉田拓郎のどうしてこんなに悲しいんだろうの、
悲しいだろう みんな同じさ
同じ夜を むかえてる
という歌詞との対比を感じる。
どちらが正しい間違っているではなく、その時々で悲しいのは俺だけだ、という感覚が心地のいい時もあれば、悲しいのは俺だけじゃない、と思える事が救いになる時もある。
私の好きな歌詞③のトリを飾るのは、山本精一のフレアだ。
ここの歌詞がいい、というのはもちろんあるのだが、文字に起こされた歌詞がどこにも見当たらない。
Apple Musicだと、フルで聴けます。
最後の最後に力尽きて、あとは聴いておいて下さい、と授業の前半に話しすぎて途中で終わりのチャイムが鳴った教師みたいになってしまった。
知り合いと人生のエンドロールがあって流すとしたらどの曲?という話題になって、キリンジのクレイジーサマーと対を成した曲であーる。
是非是非。
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