予測変換はいつも一つ
数少ない知り合いとライン。
割と短文のラリーが多いのでポンポンとテンポよくやりとりをしていた。
相手が「メロンパンにはメロンが入っているし、鶯ボールにはウグイスが入っているし、かっぱ巻きにはかっぱが巻かれているんやで」と急に長文で送ってきたので、私は「なんやて」と一言送った。
すると予測変換が一つだけ「工藤」とでた。
正直何がおこったかわからなかったけど、帽子を被った色黒の西の名探偵の顔がふっと浮かんできた。
そういえば新作がもうすぐ公開だそう。見に行きたいけど私が一人でその映画を観に行ってしまうこと自体が事件になりそうで、「あれれぇ~?なんでおじさんが一人で観に来てるのかなぁ~?」なんてガキンチョに言われてしまいそうなので迷う。迷探偵。
話を戻すが、私のスマホに潜む西の名探偵。もう一度会いたくなった。
私は「せやかて」と打ってもう一度知り合いに送信してみた。
予測変換は出なかった。
やはりそうはうまくいかないか。会いたくて会えない、そのもどかしさが西の名探偵の魅力なのかもしれない。たまに出てくるからテンション上がりますもんね、平次回。
蘭よりは和葉のほうが好き。
元太の骨格どうなってるんだろう。
同級生なら歩美より哀ちゃんのこと好きになりそう。
キック力増強シューズ、あれ何足目だろう。
そんなことを考えていると、相手から返信がきた。
「工藤」
人間はまだまだAIに負けそうにない。