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重い槍で刺したろか(前編)
「去年のところから仕事が来ていますが、いかがでしょうか?」
見慣れたアドレスから届いた一通のメールを開いたその刹那、封印していた嫌な思い出が蘇ってきた。
私は細々と業務委託の仕事も引き受けているのだが、仕事を斡旋?というか紹介?をしてくれる人がいる(ここでは仮にナジャさんとしよう)。ちなみに決して闇バイトではないので、高級時計店を襲撃する計画は、これまでもこれからもない。
ナジャさんは「こんな案件あるけどどう?」という連絡を良い感じのペースでくれるので、基本それを全部引き受けている。
最近引き受けすぎて若干キャパオーバーになっているが、頑張るのは嫌いではないので、やっぱり全部引き受けるつもりでいる。
去年、ある会社(ここでは仮にA社としよう)と仕事をさせてもらうことになったのだが、仕事にならなかった。
簡単に言うと、A社は「ひとでなし」企業だったのだ。厳密にはA社というよりはその担当者(ここでは仮にマツコさんとしよう)がひとでなしだった。
ナジャさんから私にA社との仕事が紹介され、マツコさんにつないでもらった。早速マツコさんからご挨拶と業務依頼のメールがきた。内容をうけて私は4,5個質問をさせてもらった。もちろん挨拶やお礼は織り込み済み。ファーストコンタクトこそ丁寧に。そこは抜かりない、はず。
これから末永く関係が続いていけばとの願いも込め、疑問や不安は最初に解消しておきたい旨も添え、丁寧に丁寧に(新宝島)メールを送った。
そしたら返信がなかった。
そのまま1年が経ち、今に至る。で、冒頭に戻る。
率直に「どんな根性してんねん」となぜか関西弁で思った。
私の心に潜む関西人(ここでは仮にカミヌマさんとする)が大声をあげて烈火の如く巻き舌で怒鳴っていた。
マツコにとっては、去年のことはもう過ぎ去った過去なのだろう。というか、そんなことがあったとすら、何にも覚えていないのだろう。
失礼なことをしてしまったとか、返答をしないままで申し訳ないとか、三苫のように、たった1ミリでも残っていれば大きく試合は動いたはずなのに。
私はナジャさんに、去年のマツコとの件をやんわり伝えた。
私「マツコさんにはちょっと思うところがありまして…」
ナジャ「マツコさんもといA社となにかございましたか?」
私「実はかくかくしかじか…」
とそれなりの長文で自分の思いを込めて送ってみた。
そしたら返信がなかった。
そのまま1週間が経ち、今日に至る。
ナジャ、おまえもか。
続く。