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やられる前にやりかえす

朝、職場に向かうまでにコンビニに寄るのがマイ・ルーティン。
家から徒歩1分のセブンイレブン、コーヒーとパンとヨーグルトを買うのがいつもの流れだ。

先日ふと思い立った。今日は少し離れたローソンに寄ることにしようと。
とは言いつつも購入するメニューは変わらない。コーヒーとパンとヨーグルト。レジの店員さんは母親くらいの女性。

「こちら品物お預かりしまっ…とお!?」

元気だ。だがその元気さゆえか、パンが床に落ちた。
パン目線で言えば、床に着陸した。

「大丈夫ですよね。」

これは着陸直後の店員さんのセリフである。
虚を突かれた。「大丈夫ですよ。」とこちらから言わせない見事な先制攻撃である。かのテクニカル力士、舞の海も体格差のある相手に対しての「猫だまし」なる先制攻撃が持ち味だった。店員さん=舞の海説。水曜日じゃなくとも立証は無理だろう。

いつもと違うコンビニを選んだだけで、代わり映えのない日常へのスパイスとなる。まさか、舞の海に会えるとは。刺激的な日々をつくるのは自分次第なのだ。ありがとう、舞の海。

だがしかし、負けるわけにはいかない。先制攻撃されて怯んでばかりの私だと思うな。

商品をレジ袋に詰め始めた舞の海だったが、最後のパンを入れる前に袋がいっぱいになってしまった。あと一つ、パンが入らない。

「これは…」

チラッとこっちを見る舞の海。

(大丈夫ですよね。)

そう聞こえた気がした。

「大丈夫ですよ。」

私の言葉に安堵した表情の舞の海が袋に詰めた最後のパン。もはやレジ袋に入り切らないそのパンは、小錦よりも大きく見えた。

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