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竹馬の友のためではない 漫画のために走るのさ

朝からそわそわと落ち着かない、今日は大好きな漫画であるダーウィン事変の新刊が出る日なのである、家に帰ったらきっと届いている、早いこと家に帰りたい、こんな気持ちになる漫画なんて、小学生以来なのでめちゃくちゃ驚く。
しかしながら仕事に追われてはいるので漫画のことばかり考えてはいられない、もう帰りたい。
ご注文商品の配達が完了しました、のメールを見て、もういてもたってもいられないけどじっとこらえてコントロールシー、コントロールブイ、エンター、エンターエンターエンター。

定時、残っている仕事を放り出して小走りで帰る、早く帰りたいのだがどうしても韓国料理だ、と昨日の夜から思っていたのでキンパのための材料をスーパーで買う、素早い、だってすぐにでも読みたい漫画が家で待っているのだ、それにも関わらずすこぶるめんどい工程のキンパを作る気でいる自分をかなり恨んでる、やっぱキンパなんてこんな時に作るもんじゃない、どうかしてる、こういう時に食べるのは多分うどんとかちゃうか、それでもキンパ食べたい、漫画読みたいけど食べたい、冷凍のやつはなんか割高な気がして買う気にならない、美味しいの知ってるけど、とかなんとか言うて、レジ待ちのアイドリングも激しめで。
駅についてからめっちゃ走る、もうここまできたら走っても走らんでもそんなに変わらんのやけどなんか走る、小雨の中、セリヌンティウスを迎えにいくメロスのように走る、でもこちとら漫画読みたいだけ、家について郵便受けに漫画が届いてるのを大確認、心ははやる、しかし腹が減ってもいる、米を炊く、具のナムル生産に精を出す、スープ作る、漫画が気になる、キンパは明日の弁当にもなる、がんばれナムル、ナムルはがんばらへん、がんばるのはわたし、なんでがんばらなあかんねん、途中で気づいためっちゃめんどくさい、漫画読みたいのに、でも途中まで手をつけたからやるしか、の思い、巻きに巻く。
結果美味しいキンパができました、ありがとう自分、一本締め。キンパだけに。お、お。

食後、正座して漫画読む、この漫画はそれはそれは絵が上手くストーリーもものすごくわくわくするので、わたしはうめざわしゅん先生を浦沢直樹先生と並ぶ努力家の天才だと思っている、本当に今ある漫画の中でも指折りである、他の全部を読んでないけどほんまにほんまに。
面白いものを生み出してくれる方にほんまに感謝、自分のような愚かな人間にもそれを味わえる機会を与えてくれてほんまにありがとう、ありがとう。
愚かしいながら、自分もおもろいもんを生み出せるようにやっていきたいなあなんつって読破、感動。
感謝の舞を風呂の中で踊る、ほうら、はたから見たら溺れているように見えるでしょう、どうですか、他人の人生はそんなもんだよ、あんまり興味ないやろ、無関心がいちばんの害悪やぞ、とかなんとか思いながら、マジの半溺れ、愚の愚の愚!
もげ子はひどく赤面した。

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