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2025年 中日ドラゴンズ 夢の布陣!最強のオーダーでリーグ制覇を狙う

はじめに

 新年の賑わいも落ち着き、いよいよ来月からは春季キャンプが始まるという今日この頃。プロ野球ファンの皆様は今季のチーム方針について思案されていることだろう。私の愛する中日ドラゴンズでは昨年までの3年連続最下位から脱却すべく、新監督・井上一樹氏を中心にチーム改革の真っ最中である。

 あけましておめでとうございます。ざんと申します。普段はX(Twitter)にて中日ドラゴンズを中心に、野球関連の話題について呟いています。

 今回は今季のベストオーダーについて各種データを基に考察していく。正直なところ、今年のドラゴンズはAクラスになれると踏んでいる。もっと言えば優勝の可能性もあり得る。これは決してファン故の戯言ではない。

 統一球の導入以降、慢性的な得点力不足は今も尚続いている。しかし昨年は単に打力が弱いという訳でもなく、寧ろ不利な環境の割に善戦しているのだ。若く有望な選手も多く、起用方法と現有戦力の底上げ次第では一気にリーグ屈指の布陣になる可能性を秘めている。

 いつの時代も打順や守備位置は野球談義の主題になるが、少しでも数字的根拠に富んだオーダーを考えたい。私と同じく、ドラゴンズを愛してやまない読者の皆様にお付き合い頂ければ幸いである。


来季の打順について

出典:Full-Countより

 以前のnoteでも紹介したが、セイバーメトリクスの観点では上記の表に準じた打線の組み方が推奨されている。今回は新監督の井上一樹氏の各種メディアでの発言を踏まえた上で、選手それぞれの打撃成績や指標から考察していく。イメージとしては井上監督が組みそうなオーダーで可能な限り最善と考えられるものを目指して作成していきたい。

打撃力Tier表を作る

 まずは度々話題になるTier表を用いて現状戦力の大まかな序列を考えていく。ここでは今季1軍で150打席以上立った選手を暫定的な来季のレギュラー候補とする。

 評価基準としては選手間の打席数の開きが大きいことも考慮し、質的貢献を測るwOBAは重視したい。それに球場補正を加味してリーグ内での傑出度を測るwRC+等も加味していく。勿論今季の成績や指標のみで選手の実力は測り難いため、1軍での稼働年数や年齢曲線を踏まえた今後の成績予測も評価軸のひとつとしたい。その他選手の特性を考察するうえでISOHard等も踏まえて作成する。

 早い話がどの選手が得点を増やす為に重要かというものである。こちらが今回考える"打撃力の"Tier表だ。

 早速説明していく。

S:細川成也

 やはりトップTierは彼以外いない。昨季の通信簿でも紹介したが、2年連続でリーグトップクラスの長打力を誇り得点貢献度としても群を抜いて素晴らしい数値をマーク。当然チーム内でも殆ど全ての打撃指標でトップ。今季27歳と若く今後数年間は主軸としての活躍が見込めるうえ、さらに高い次元でキャリアハイの成績を記録することも期待できる。

細川成也
143試合 600打席
出塁率.368 23本塁打 67打点
OPS.846 wRC+168 wOBA.382 ISO.185

A:福永裕基

 次点として挙げた福永は昨季プロの水にも慣れたのか成績が向上した。wOBAやwRC+等各種指標でも細川に次ぐチーム2位の数値を残し、今季29歳を迎える年齢を加味しても打撃成績は最盛期に近いと考えられる。

 気がかりなのは打球のゴロ率を示すGB%が50%を超えるゴロヒッターの側面が強いことだ。そして昨年よりゴロ打球のアウト率が10%ほど低下している。これがBABIPの数値を高くしている要因とも考えられるため、今季の成績は上振れの可能性も否定できない。打球角度のアプローチを改良するか、前の打者に可能な限り脚の速い選手を配置するといった策を講じても良いだろう。

福永裕基
111試合 402打席 出塁率.362 6本塁打 32打点
OPS.789 wRC+158 wOBA.370 ISO.121

BABIP
 本塁打を除くインプレー打球のうち安打となった割合を表す指標。BABIPの高低は能力による部分が小さく、多くの打席数を経ればBABIPの値はほとんどの選手がリーグ平均値付近におさまること、したがって年度ごとの変動は運の影響が大きいことが明らかになっている。このため極端に高いまたは低いBABIPは翌年以降平均値に回帰していく傾向がある。ただし打者は投手に比べ運の影響が小さく、回帰の傾向はやや弱まる。リーグの平均値は3割前後。

出典:1.02 Essence of Baseball

B昂弥・岡林・カリステ・宇佐見

 石川昂は一昨年の膝の故障が完治し、各種指標もまずまず良好。しかし特筆すべきは岡本和真や村上宗隆らと類似する類稀な選球眼の良さと打球の速さである。不慮の怪我離脱が続き遠回りこそしてはいるが、それを踏まえても尚素晴らしい逸材だ。

 岡林は昨年の前半戦こそ苦しみ、結果として自己ワーストの成績に終わった。しかしながらこれまでの活躍や後半戦の巻き返しの様子を考慮すれば今季の復調も十分期待できるだろう。

 カリステは左投手に非常に強いものの右投手に弱い傾向があり、印象ほど成績や指標が芳しくない。言い換えれば起用法次第でこの強みを最大限生かすこともできる。井上監督も新獲得のJ.ボスラーとの併用案を匂わせているため、来季は左キラーとしての活躍を期待したい。

 宇佐見もまた少ない打席数ながらwOBAやwRC+で優秀な数値をマーク。極端な鈍足の割にBABIPがかなり高い点は考慮する必要があるが、長打も期待できる左打者として貴重な戦力のひとりと言えるだろう。

石川昂弥
82試合 275打席 出塁率.320 4本塁打 25打点
OPS.702 wRC+117 wOBA.316 ISO.110

岡林勇希
123試合 460打席 出塁率.304 0本塁打 12打点
OPS.598 wRC+82 wOBA.272 ISO.038

O.カリステ
114試合 393打席 出塁率.287 7本塁打 30打点
OPS.639(.757) wRC+94(137)
wOBA.288(.341) ISO.091(.098)
※カッコ内は対左投手での数値

宇佐見真吾
61試合 164打席 出塁率.337 3本塁打 17打点
OPS.752 wRC+133wOBA.338 ISO.112
BABIP.381

C:村松・木下・板山・周平

 一時はOPS.800を超える好成績をマークしたが、怪我離脱や疲労の影響もあってか通年でのOPSは.664に終わった村松。wOBAやwRC+はまずまず良好ではあるが、長打の少なさやゴロ率の高さは課題だろう。

 成績としてはキャリアワーストに近い昨季の木下は極端に運に恵まれなかった影響も大きい。実は今季の木下は打球におけるフライの割合が対象選手中トップである。そして152.9㎞/h以上の打球速度を放った割合であるHard%もまた対象選手中トップである。それでいて内野フライの割合が低く、BABIPの値がシーズン前半は異常なまでに低かった。

 所謂”下振れ”の状態が長かったことが今季の低迷の要因と考えられる。打席数は細川の1/3程度ではあるが、来季のバウンスバックも期待できるためこの位置とした。

 板山は6月にOPS.825,wOBA385,wRC+169を記録する大活躍も通年としてはリーグ平均レベルに落ち着いた。ゴロ率55.0%や内野フライ率16.0%は対象選手の中で最も高く、打線においての優先度はそれほど高くないだろう。

 一方高橋周平は2020年を最後にwOBAが.300未満であり、苦しいシーズンが続いている。また年齢も30歳を迎え、今後劇的な伸びしろはあまり考えにくい。かつての打力の復活に期待こそしたいが、少なくとも来季の主軸としては計算し難いと考える。

村松開人
109試合 418打席 出塁率.327 1本塁打 25打点
OPS.664 wRC+111 wOBA.309 ISO.062

木下拓哉
74試合 203打席 出塁率.265 3本塁打 11打点
OPS.565 wRC+72 wOBA.259 ISO.072

板山祐太郎
65試合 194打席 出塁率.290 3本塁打 13打点
OPS.633 wRC+101 wOBA.297 ISO.107

高橋周平
60試合 190打席 出塁率.316 2本塁打 16打点
OPS.645 wRC+98 wOBA.292 ISO.069

D:山本泰寛・田中幹也・中田翔

 何故かこの3選手はフルネームで呼びたくなる。そんな余談はさておき、山本と田中は守備・走塁が売りの選手ということもありwOBA・wRC+ともにかなりの低値である。長打力の不足は否めないが、田中はまだ2年目と若く打撃成績の成長は十分考えられる。一方の山本はバックアップ要員にシフトすることが望ましいだろう。

 そして問題は中田翔である。2年総額6億円の大型契約で移籍した昨季はキャリアワーストクラスの低調に終わった。一時は満足にフルスイングすることすら難しいコンディション不良も大きく作用しただろう。wOBA・wRC+も対象選手中ワーストと苦しい数字である。

 今季には36歳を迎える年齢の面もネックとなる。ここ数年でO-Swing%が徐々に悪化し、昨季は40%を超え2014年以降ワーストの数値になった。選球眼が鈍った原因が動体視力の低下に因るものであれば、今後の改善はかなり厳しいと考える。コンディション次第では昨季と比べて成績が上向く可能性は十分考えられるが、これらの事柄は念頭に置くべきだろう。

山本泰寛
79試合 179打席 出塁率.312 1本塁打 9打点
OPS.601 wRC+87 wOBA.278 ISO.038

田中幹也
112試合 343打席 出塁率.270 2本塁打 26打点
OPS.551 wRC+67 wOBA.251 ISO.058

中田翔
62試合 225打席 出塁率.249 4本塁打 21打点
OPS.570 wRC+65 wOBA.250 ISO.104

 以上のTier表と寸評から考察を進めていく。


来季の守備位置を考える

 本項では井上監督が各種メディアで発した来季の構想を振り返り、守備位置を考察する。包み隠さず喋っているようでいて明言は避けている印象も見受けられるため、一概に言葉通りではないだろうが一旦は素直に受け取った上で扱うものとする。

 ざっとこの辺りが現時点での主な構想のようである。決して確約している訳ではないとは思うが打順と守備位置の方針を具体的に述べたのは石川昂弥についてのみだったため、"4番サード石川昂弥"を想定した上で打撃力を重視したオーダーを考えて行く。

 今季三塁手としてレギュラーを掴んだ福永はセカンドへの再転向が伝えられている。遊撃手は田中や土田龍空らを筆頭に若く守備に長けた選手が多く控えているが、打力も考慮すると今季成績を上げた村松が基本線になるだろうか。

 一塁手は今季中田や石川らが務めることが多かったが、先日獲得が決まったJ.ボスラーの他、細川のサブポジション構想など候補が増えている。またカリステや宇佐見らも起用されることがあり、現状固定の選手はいないだろう。

 外野手に関しては岡林の中堅守備は代替えが効かないため、来季も固定となることが予想される。その両翼を細川やカリステ、板山祐太郎らで守ることが多かった。鵜飼航丞やブライト健太をはじめとした若い選手も多く、頭数としてはそれなりに多いポジションと言える。

 捕手は木下が主に起用されていたが、今季は加藤匠馬や宇佐見がマスクを被る試合も多かった。打ち勝つことを重視するのであれば木下と宇佐見の二択になることは間違い無いだろう。

 少しずつ形が見えてきただろうか。ここで一度仮組みを考えてみる。

ベストオーダー(仮)

1(中)岡林 勇希
2(二)福永 裕基
3(右)細川 成也
4(三)石川 昂弥
5(一)宇佐見真吾
6(左)O.カリステ
7(捕)木下 拓哉
8(遊)村松 開人
9(投)

 まずまずの打線は組めただろうか。先制点に拘るために上位打線から先のTier表で評価の高い選手を固めてみた。「最強打者は2番に置くべきなのでは?」とお思いの方も勿論いらっしゃるだろう。

 ただ、細かな打順の違いであれば年間の得点数への影響は微々たるものとされる。初回から細川成也に確実に打順が回ることを重視し、進塁打なども指示しやすい福永を2番に置くことにした。(福永にこそ打たせろという話ではあるが)

 しかしながらこのオーダーで他球団より打撃力でプラスを稼ぐことができるか?と問われるとなかなか難しいようにも思える。本拠地を考慮すれば"ようやっとる"方ではあるが、守備にある程度目を瞑らなければいけないポジションも少なくない。次項では攻守で更なる上積みを生むための策について考察したい。

プラスαの要素を考える

細川成也一塁手案

 先程も出ていたサブポジションをいっそメインポジションにするという案だ。レギュラー格の選手のポジションを変えることに反対するファンの方もいるとは思うが、私は寧ろコンバートさせるべきと考えている。

 実のところ細川の守備はあまり良くない。キャリアの殆どを外野手として送っているが、UZRをプラスに出来たことはほぼないに等しい。1軍に定着できた2023年からは守備範囲・送球共に2年連続で大きなマイナスを作ってしまっているというのが現状だ。

 決して鈍足や弱肩という訳ではなく比較的身体能力の高い選手ではあるが、少なくとも守備においてはその力を発揮しきれていないようである。UZRは相対評価による指標であるため右翼手UZRが抜群に良い万波中正の影響も受けることは考えられるが。(昨季の万波は規定守備イニングに到達した右翼手で唯一のUZRプラス。その数値は驚異の15.5。)

 では一塁手としての細川はどうか。2023年に228イニング守った程度ではあるのだが、UZR1.3をマークしている。これをほぼ全試合に出たと想定して換算するUZR/1200にすると6.7になる。これはゴールデングラブ賞を獲得した年のD.ビシエドに匹敵する値である。

 勿論そう都合良くコンバートが成功する訳ではないが、やらない理由はないだろう。両ポジションの対抗馬を考えても外野の方が若く投資対象になる選手が多い。ブライトや鵜飼もそろそろ篩にかけなければならない年齢に差し掛かることを加味しても、そのメリットは大いにある。

福永裕基左翼手案

 「二塁手転向じゃないのか」という声は一旦横に置かせて頂く。しかしこの案についても近い将来考えなければならない。勿論今オフの二塁手再転向を否定するつもりは毛頭ないのだが、攻守に優れた布陣を構築する上では福永を左翼手として起用できると都合が良い。

 現在のドラゴンズの二遊間はレギュラー争いの激戦区である。誰を二遊間に据えるべきかはファンの間でも議論が尽きないが、私を含めデータを齧っている層では二塁:村松開人、遊撃:土田龍空を推す声が多い。

 ここ数年は打撃面で伸び悩んでいる土田も高卒1年目から類稀なる打撃スタッツをファームで残し、2年目からは1軍で優秀な守備指標を記録したトップクラスの有望株だ。

 また、今季途中から正遊撃手の座を掴んだ村松は2023年に二塁手としてUZR8.8をマーク。ご存知の通り大学4年時の膝の手術明けの年でこれだけの数値である。一方で遊撃手としてのUZRは概ね平均程度だ。決して彼の遊撃守備が劣っているという程ではないが、守備範囲においてより適性が高いポジションが二塁手だと考える。

 この2名であれば攻守にプラスを生み出せる二遊間を組むことが可能であり、その上でさらに打線の攻撃力を上げたいとなれば福永を左翼手に回すべきとなる。勿論今季の左翼手起用は急造だったこともあり、不慣れな動きも目立った。数値としてもあまり良いものではないのだが、たった5試合の出場で失格とするのは早計だろう。

 このプランの実現は数年後になるかもしれないが、土田の台頭次第で移行を早められるように備える必要はある。そもそも昨年までのように「オープン戦や春季キャンプですら試していないポジションを公式戦でいきなり起用する」といった計画性の欠片もないコンバートが問題なのであって、シーズンオフの間にポジションを増やすことは大賛成である。ひとまず今年の福永は二塁手がメインになりそうだが、今後の彼の二塁手としての寿命を考慮しても選択肢を増やしておくべきだろう。

ベストオーダー

 長くなってしまったが最後に私の考えるベストオーダーを発表したい。

1(中)岡林 勇希:安定した出塁率&中堅守備
2(二)福永 裕基:高出塁率&長打や走塁も〇
3(一)細川 成也:チーム内最強打者
4(三)石川 昂弥:打球の質&アプローチ◎
5(左)O.カリステ:J.ボスラーとの併用も視野に
6(捕)木下 拓哉:打球速度&フライ率◎
7(遊)村松 開人:出塁率○ 相性次第で上位にも
8(右)ブライト健太:投資枠・鵜飼らと競争促す
9(投)

 仮案でも述べたが、先制点に拘るのであれば岡林・福永・細川の3名を上位打線に並べて、初回から得点を狙うことが合理的だろう。岡林でチャンスメイクをして”ほそふく”コンビの打席数を可能な限り増やすことを基本戦略としたい。

 左投手に強いカリステと右投手に強いボスラーのツープラトン起用が上手くハマれば、相手先発の左右に関わらず一定の打力を維持できる。ここに石川や土田ら若手有望株の開花を合わせることができれば優勝争いも現実的なものになるだろう。

 今年から加工バットが解禁され、NPBとしてもこの超打低の環境を変えようという意図は少なからずあるようだ。また、前監督の立浪和義氏は自身のトークショー内で「数年後には狭くなるっていう話も聞いています」と明かしている。この話はどこまでが事実か定かではないが、何れにせよドラゴンズの野手陣にとって追い風が吹き始めていることは確かだ。

おわりに

 今回の考察ではどうしても希望的観測になってしまう部分も多くなってしまったが、今季のスローガンである「どらポジ」に免じてどうかご容赦頂きたい。とは言え現在のドラゴンズに野手の有望株が多いことは紛れもなく事実である。コーチ陣も刷新され、これまでドラゴンズと縁のなかった人材が多く招聘されている。和田一浩氏との出会いから一躍スター選手に上り詰めた細川成也のように、この組閣を良縁として名を揚げる選手を期待したい。

 「野手の話ばかりして投手はどうなのか?」と訊ねられると耳が痛いのだが、野手以上に希望的観測だらけになってしまう為今回は見送ることとした。運用方法よりも先ずは先発投手の頭数を揃えてからだろう。(K.ミュラー以降大きな補強がないことは気掛かりだが…)

 未知数な部分も多いチームだが、今年は明るい話題が増えていくことを願って応援する所存だ。それこそが「どらポジ」に繋がると信じて。それでは、


今年もあなたがドラゴンズで満たされますように


データ:1.02 Essence of Baseballより引用
写真:https://www.chunichi.co.jp/article/1000026
より引用

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