駒込
英語のクラスが同じだった大学の同級生がクラブに行こうと誘ってくれた。
彼女はクラブの音楽やDJが好きで、音楽を聴きに行く目的でクラブに通っていたようだ。
私はクラブにほとんど行ったことがなかったし、
クラブ音楽も好きでも嫌いでもなかったが
興味はあったので喜んで行った。
渋谷の駅から歩いてすぐ近くにクラブはあった。
友達の友達も合流して3人でしばらく音楽を聴いていた。
何をするわけでもなく、ただ脇の方に座ってじっと音楽を聴いていた。
何時間経ったか分からなくなった頃、友達はドリンクを買いに行き、私は少しの間ひとりでぼーっと立っていた。
こんな感じで朝まで過ごすのかと思うと退屈だった。
突然外国人が話しかけてきた。
同僚と来ているらしいが、私に話しかけた時は彼1人だった。
年齢を聞かれたので答えた。
僕は何歳だと思う?と言われたので、37歳くらい?と適当に答えた。
そのまま彼とダンスをしたりベタベタ過ごしていたら、いつの間にか5時になっていた。
友達は知らないうちに帰っていた。
私は彼の宿泊先に連れて行ってもらうことにした。
彼はドイツ人で、整えられたふわふわの髭が特徴的だった。
日本に長期の出張で来ていて2,3ヶ月滞在するらしい。
彼は会社が借りているアパートに宿泊していた。
駒込に行ったのはその時が始めてだった。
綺麗で広いアパートだった。初めて来たのにすごく快適な気分になった。
シャワーを浴び、そのまま彼とセックスし、好きなだけ寝た。
2人でベッドでゆっくりしている時、彼は少し寂しそうに、実は嘘をついていると言ってきた。
「実は37歳じゃないんだよ。42歳なんだ。
紅とは歳が離れすぎていると思って言えなかったんだ…」
なんだそんなことか(笑)付き合っているわけでもないのでどうでもよかった。
彼はそのまま身の上の話を色々としてくれた。
彼の働いている会社のこと、仕事の内容をPowerPointで自慢してくれた。
家族のこと。弟の仕事先まで教えてくれた(笑)
彼はタバコが大好きだった。タバコを吸う男性は当時苦手だったが、不思議と彼のタバコは不快ではなかった。
部屋の中でゆっくり過ごした後、私たちは散歩に出かけた。
お腹が空いていたので駒込駅前の家系ラーメンに行った。彼は美味しそうに食べてくれた。
その日はここで解散した。
帰りの電車で友達に謝罪のラインを入れた。