円山町②

彼の元生徒の女性が店を出てからも、私たちは色々な話をした。それなりに盛り上がった。

奥さんとの関係、仕事、別居して子供と離れること、彼はもちろん悲しんでいた。子供のことを想って彼は泣いていた。酔っ払っていたから涙脆くなっていたのかもしれない。

「人生は何が起こるか分からない」

そう彼は言っていたが、いまいち共感できなかった。奥さんとの関係に向き合わなかったのも、浮気したのも、自分で取った行動なのだから、こうなることは予想外の出来事ではないのでは?

私はあっという間に終電を逃した。

どうする?どうする?と言い合いながら、私たちはぬるりとタクシーへ乗り込んで円山町のホテルへと向かっていた。

彼氏がいるのに、私は浮気してしまった。

Jeffとのセックスの相性は悪かったが、仕方ないとして付き合っていた。Jeffと付き合っている間に私の体の感度はすっかり悪くなっていた。

マイクさんは私の体の変化にすぐ気がついた。私の感度を取り戻すように丹念に愛撫をしてくれた。

真夜中にホテルを出て、その日はお互いタクシーで帰った。

彼がタクシーに乗り込む時、片方の口角だけを上げて私にこう言った。

「また会おうね?」

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