ClCADA
クラブで出会ったドイツ人、Sebastianとはその後もう一回くらい会ったと思う。
彼は数ヶ月後、また日本に出張に来るからその時に会おうと言ってくれた。
2018年8月。私はマイクさんと久しぶり会った。
原宿の竹下通りを一緒に歩きながら、Sebastianのことを話した。
アクセンチュアで働いていたら、年収は1000万を超えているだろうね。と彼は教えてくれた。
私は当時アクセンチュアという企業を知らなかった。外資の大企業だからあんなに出張の手当が充実しているのかと納得した。
彼が1000万以上稼いでいようと、いなかろうと私にはどうでも良かった。付き合っていないのだから。
私たちはそのまま歩いて表参道の方へ向かった。
いつも通り適当なレストランかチェーン店に入るんだろうと思っていたが、たまたまその日は違った。
彼は会社の人たちとたまに行くレストランを思い出し、連れて行ってくれた。
初めてのCICADAだった。
こんなオシャレなレストランがあるなんて知らなかった。
広々としていて、夜のCICADAは完全にデートにぴったりの雰囲気だった。
美味しい地中海料理と素敵なムードに私はすっかり惚れてしまった。
食事にあまり興味のなさそうなマイクさんもいつもより美味しそうに食べている気がした。
彼がトイレに行っている間、私は店名を忘れないようCICADAと刻印されたコースターを写真に撮った。
この日は私の誕生日が近かった。
マイクさんには言わなかったけれど、
自分の中で誕生日祝いのディナーに連れていってもらったことにしよう。そう思った。