最終話:モヒート片手に盆地を見下ろす(小春日和の京都街歩き)
前回記事はこちらから。
街歩きコースはこちら(今回で最終回、⑬からゴールまで進みます)
前回はRC HOTEL(⑫)と宝輪橋と立て続けにRC造の建築物をみた。宝輪橋を越えて、左折すると最後の目的地の「ザ・ホテル青龍 京都清水」(⑬)のエントランスが見えてくる。
ザ・ホテル青龍 京都清水は、80年以上にわたり、学び舎として地域に愛されてきた清水小学校がコンバージョンされたホテルであり、事業主はエースホテル京都を手掛けたNTT都市開発。プリンスホテルとタッグを組み全く新しいブランドのホテルとして昨年オープンした(詳しいコンセプトや施設概要は下の動画を観てみてください)
ちなみに、小学校をホテルにコンバージョンするというのは、前回街歩きの最終回で紹介した「ゲートホテル京都高瀬川」と同じパターンであり、京都の古い小学校が閉校してホテルに生まれ変わる経緯については、こちらでも書いた通りだ。
アプローチを進むと、立派なゲートが見えてくる。
エースホテルやゲートホテルが1泊20,000~40,000円程度の価格帯のところ、このホテル青龍は70,000円台と、かなりラグジュアリーな部類に入る。少し足を踏み入れるのに躊躇しそうだが、絶対に中の様子を見たい。という強い意志を持って、ゲートをくぐり中に入り、庇のついたアプローチを進む。
しばらく進むと、印象的な中庭の階段とご対面。小学校のシンボルとなっていた階段が、ホテルの顔に生まれ変わっている。
小学校の面影を残した廊下を抜けて、エレベーターでルーフトップバーへ。
「ルーフトップバー K36」は京都の街を一望できることもあって、コロナ禍の落ち着いていた秋には予約は取れず、連日長蛇の列ができるほどの話題のスポットとなった。
運よくカウンターの席が空いたのでおひとりさまはすぐに案内してもらえた。サービス料も含めると1杯2000円を超えるようなモヒートを注文した。
「ミントの葉を潰すと一層香りをお楽しみいただけます」
そんなことをバーテンダーに言われて、素直にミントの葉をガシガシと潰しす30過ぎの冴えない独り身の兄ちゃんは、このセレブな完全に空間から浮いていて全然落ち着かないのだが、小春日和の陽気と少し強めの風と爽やかなモヒートは不思議とそのバツの悪さを帳消しにしてくれる。
落ち着かないながら、改めて街を一望してみる。すると、つくづく京都は盆地だということを思い知らされる。三方を山に囲まれてその狭い範囲に集まって人が暮らしている。
八坂の塔を臨む
京都の中心市街地を臨む
そびえる東山を臨む
モヒートを飲み終わって、少しほろ酔いになりながらバーを後にする。気付けば、時間は16時前。まだ早い時間だが、長蛇の列ができていた。
ホテルのフロントでスタッフさんにお願いしたら、閉店後のレストランも案内してもらえた。この空間は講堂だった場所を改装したそうで、高い天井が気持ちよさそうだ。
目的のホテルを見終わったので、今回の街歩きを総括しながら、東山エリアを後にし、河原町の繁華街の方へ戻ることにする。(実際には写真を撮りすぎてiPadの充電がずいぶん減ってしまったのと、歩き回り疲れたので、ここからは速足になったというだけなのだが、、、)
今回の街歩きでは、空きテナントだらけのビルや取り壊されていく町家など将来が不安になるような状況も目の当たりにしつつ、リノベーションで生まれ変わる建物や変わらない人の営み、京都の街の重層性を見ていた。
まあ、いつも1人で街歩きの時には、この事実の確認作業を繰り返しているに過ぎない。そんなことを考えながら足早に歩くと、いつものように流れる鴨川と、等間隔に並んでいる人々が見えてきた。
いつものように見える景色でも、川の流れもそこにいる人も同じシーンは1つもない。鴨川は「根底にあるものは変わらないけど、それを構成しているものは常に変わり続ける」という京都の街の象徴だと思う。
そんなかっこつけたことを考えながら、今回の街歩きを終わりにしたい。ゴールは、前回街歩きでも紹介したGOOD NATURE STATION。
次の日にこのホテルに泊まったので、近いうちにホテル宿泊記録についても記事を書きたいと思うけど、今回はこの辺で。
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