禁止されるとやりたくなる心理
ダメ!!と言われるとやってみたくなる。そんな気持ちに駆られたことはないですか?
「つるの恩返し」と「うらしま太郎」
有名な日本昔話ですよね。
さっと物語の内容をおさらししてみると、こんな感じです。
「つるの恩返し」
ある雪の日、お爺さんとお婆さんのもとを一人の娘がたずねます。3人は数日、仲良く楽しく生活をしますが、ある日その娘が、「恩返しに織物をしたい。機をおりあげるまで、決してのぞかないでください」と言い残し、毎日朝から晩まで織物をするようになります。次第にやつれていく娘を心配したお爺さんとお婆さんは、「覗いてはいけない」という約束を破り、扉を開けて覗いてしまい、娘がつるだった事実を知ってしまうわけです。姿がバレたつるは、山へと帰ってしまいます。
「うらしま太郎」
うらしま太郎は、ある日少年から助けたカメに連れられて竜宮城に行きます。そこには美しい織姫や魚たちがいて、きらびやかな空間で豪華な料理や踊りなどでもてなされ、気が付けば3年の月日が経っていました。「そろそろ帰るか」となった時に、うらしま太郎は“決して開けてはいけない玉手箱”を手渡されます。その玉手箱は「時が戻る箱」といって渡されたものでした。
地上に帰ったうらしま太郎は、町がすっかり変わって、知っている人も誰一人いないことに気付きます。「そういえばこの箱、時を戻すと言っていたな。開けたら知っている町にもどれるのだろうか」と、思わず玉手箱を開けてしまい、今までの思い出がふぁっと蘇ったと思ったら現実に戻り、真っ白なおじいさんになってしまう、という物語ですね。
「~してはいけない」と言われたことを思わずやってしまった、という点で共通の昔話でした。
「〜してはいけない」という約束は、守ろうとはしますが、常に気になってしまい、ひょんな出来事からついやぶってしまう。
めずらしい事ではないですね。
カリギュラ効果
このように、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことを「カリギュラ効果」というようです。
調べてみると、このように出てきました。
ローマ帝国の皇帝カリグラをモデルにした1980年のアメリカ・イタリア合作映画『カリギュラ』が語源で、過激な内容のため、ボストンなどの一部地域で公開禁止になったことで、かえって世間の話題を惹いたことにちなむという。概ね日本固有の用語である。ちなみにアメリカにはかつて「ボストンでは禁止」(Banned in Boston)という慣用句があった。 (Wikipedia)
カリギュラ効果を学術的には「心理的リアクタンス」というそうです。
この出来事依頼、カリギュラ効果は広く知られ、多くの広告にも利用されているようですね。
・番宣で、ピーッと発言が隠されているとつい気になって続きを観ちゃう。
・「この商品はすべての人に使ってもらいたいとは思っていません。この商品の良さがわかる人だけに使っていただきたいのです」などと宣伝されている商品は使ってみたくなる。
あ〜、知らずのうちにカリギュラ効果に引っかかってたな、私。笑
カリギュラ効果による人の変化
カリギュラ効果は「禁止されたことをついやりたくなっちゃう心理」であり、つまり、侵害された(あるいは失われた)自由の再確立・回復に方向づけられた動機状態のことをいいます。
少し気になって論文を探してみたのですが、深田博己さんは、これによって下記のような効果が生じる傾向があると分析されています。
①削除された行動あるいは脅かされた行動に対する欲求の増加、および削除されたり、脅かされたりした行動がとることができるという感情の増加
②脅かされた行動をとる傾向
③脅かされたり、削除されたりした行動を自分はとることができるということを暗々に意味するあらゆる行動をとる傾向
④②や③のようなふるまいを、自分と同等な人物に推奨する傾向
(引用論文)↓↓
つまり、侵害された自由(行動)に対する欲求や魅力が増加し、「自分のことは自分で決めるんだ!」という自己支配感情が高められ、自由回復を求める試み(行動)が起こるというわけです。
なるほど。
緊急事態宣言。もし「一歩も外に出ないでください!」と発言していたら・・・
今年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大事態を受けて、安倍首相は法律に基づく「緊急事態宣言」を行いました。
ここで強調していたのは、
「(海外のように)完全に『都市封鎖』を行うものではない。」
「公共交通機関や物販など、必要な経済社会サービスは可能な限り維持していく。」
この放送を聞いた直後の私の感想は率直に、
「外出禁止」を強調するのではなくて、「緊急事態宣言は出すけど今までの生活ができなくなるわけではない」を強く言うのは何か違う気がする。いつもの、“自分を守ってる感”がすごいな。
でしたが・・・
カリギュラ効果を知った今、
もしあの時あの宣言で、「外には絶対に出ないでください。」を強調していれば、あのトイレットペーパー争奪戦のような事態は免れないし、
禁止されたから、外出したくなっちゃって・・・(´∀`;)
なんていう、「私の自由は奪わせない!」みたいな行動が増えていたかもしれないですね。
感想
年明けからずっとニュースのネタはコロナコロナ・・・
感染拡大に伴いリモートワークができるようになった会社もあれば出勤日数が減って給料が入らず困っている方もいます。
「コロナは感染力は高いけど致死率はそこまで高くない。緊急事態宣言なんてしないで経済をもっと回すべき!!」
「リモートワークになったけど、家にずっといるのは窮屈だ。」
という声もあれば、一方で
「リモートワークできないうちの会社は、ありえない」
との発言も珍しくないように思います。
他人の畑は青く見える。
禁止されたらやりたくなっちゃう・・・
そんな心理状態が顕著に現れている現象なのかな・・・?
なんて考える、のんびりした休日でした😉
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