見出し画像

成仏日記【8】しつけ

こんにちは。Zakkoです。
8回めの成仏日記をお届けします。感想、コメントも気軽にしてください。お待ちしてます(*^^*)

子育てを母に押しつけていた父であるが、食事のマナーだけはなぜかこだわっていた。お箸や食器の持ち方、食べ方や姿勢、なにもかも注意された。母の料理はすごくおいしかったのに、食事の時間は苦痛だった。毎日注意されるので、人前で食事をすることが苦手になった。給食の時間は拷問のように思えた。あの子はあんなにお箸の持ち方がおかしいのにお家で言われないのかしら、と卑屈になってみたりもする。

 中学生の時、栄養系の専門学校が開いたテーブルマナーに連れて行かれたことがある。あまり乗り気ではなかったのだが、講師の先生がなぜこういう動作をするのか、など意味づけをして教えてくれた。それまで、頭ごなしに「違う」「おかしい」と言われたことでマナー自体が嫌いになりかけていたが、動作には理由があるのだと初めて知って、マナーに対する意識が変わった。父のしつけは相変わらずだったが、大人になるにつれて役立つ機会も増えた。

 余談だが、父は右利き信者で、母が昔、左利きだったと知ったときは、まるで借金を明かされたような顔をしてなぜかショックを受けていた。当然、お箸も右で持つことを強要されたのだが、次女が左利きであった。何をどう言われても左利きなのだ。あまりに怒られるので、次女は父の前でだけ右手を使うようになり、マナーではなく両利きという特技を身に付けた。末っ子も同じで、食事の時だけは父と一緒なので、ご飯は右で食べ、あとは左で行うようになった。同じ血を分けた姉妹とは思えないほど、器用な妹たちである。もしかすると、馬鹿正直に父に怯えて真面目に受け止めていた私を見て、反面教師にしていたのかもしれない。それはそれで姉冥利に尽きる。

 食事について書いていて思い出したのだが、父の治世のもとではなぜかコーンフレークやインスタント類が禁止されていた。父曰く「コーンフレークなんて栄養のないもの食べるな」ということなのだが、彼はコーンフレークのパッケージなど見たことないのだろう。完全な偏見である。鉄分やカルシウムなどが含まれ、牛乳を掛けたりなんだりすれば立派な朝ご飯の完成であることがデカデカと書かれて居るではないか。そういえば、父と食料品の買い出しに行った覚えも殆どない。


 インスタント類はわからなくもないが、駄目と言っておきながら自分は常にストックしてたまに食べていたので、なおさら理解に苦しむ。子どもに禁止するなら、せめて見えないところで食べてほしいものだった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?