成仏日記【9】アンガーマネジメント
私は日本語でも表現できることをむやみに横文字にするのは好きではないのだが、いくつか例外はある。アンガーマネジメントという言葉がその一つだ。父には「怒りの抑制」ではなく「アンガーマネジメント」が必要だった。
父はキレると手が付けられなかった。何を壊し、何を投げ、どんな暴力を振るってくるかわからない。何かの手続きとかでコールセンターに電話すれば数分でお姉さんに八つ当たりし始めるし、なにがきっかけで怒り出すのか常人にはわからないから対策のしようもない。突然、パキッとくるのだ。マネジメントもくそもない。感情をすぐさま爆発させるなど、おもちゃを取られた幼稚園児と変わらない。
そんな訳で私はあまり怒らない人間になった。というか、怒ることが馬鹿馬鹿しくエネルギーの無駄だと思うようになったのだ。