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20090310 地産地消

 私の嫌いな言葉に「地産地消(ちさんちしょう)$${^{*1}}$$」がある。初めて見たときは何を意味しているのか全く分からなかった。意味を知って何と間抜けな熟語だ、と思った。どこかの環境保護団体があまり考えずに浮かれて作った言葉ではないか。まず概念が出来上がる。「地元でとれた生産物を地元で消費」すれば、食料輸送における二酸化炭素の排出$${^{*2}}$$などが抑えられ、環境負荷の低減に繋がる。「地元でとれた生産物を地元で消費」を略して「地産地消」だぁ、と言った具合にできたのだろう。とにかく新しい熟語は教養や知識として無条件に習得されるべきものではなく、常識の範囲で意味が類推できるような構成になっていないと言葉としての存在価値がない$${^{*3}}$$。

 念のため由来を調べてみると違っていた。農林水産省が言い出した$${^{*4}}$$らしい。「地元でとれた生産物を地元で消費」することを通じて農業者と消費者とを強く結びつけ、食料の安全性を確保しつつ関連産業の活性化を図る取り組みを表現したようだ。

 本来、言葉の略と言うのは、元の言葉が人口に膾炙してから自然に行なわれるのであって、最初から略して呼ばせるのは如何にも傲慢な態度である。そしてそれを喜んで使う方も使う方だ。

 嫌いな理由は、その成り立ちが変だからである。四字熟語を作るとき、ある文の単語の頭だけを順番に並べるというやり方が成立するのだろうか。例えば「豚も煽(おだ)てりゃ木に登る$${^{*5}}$$」という諺があるとする。これを使われている漢字の順番通り「豚煽木登(とんせんぼくとう)」とするのだろうか。少なくとも漢文風に「煽豚登木」の順番になるのではないか。「地元でとれた生産物を地元で消費」を「地産地消」とするのはあまりにも間抜けで、それを知らずに意味を考えようにも「地産$${^{*6}}$$」も「地消」も見た事もない熟語だからさっぱり分からない。

 ではどうすればよいか。「産消同地」にすれば断然解りやすくなる。私が思いつきで呉越同舟$${^{*7}}$$から作った。

*1 地産地消
*2 20050605 地球温暖化
*3 20020906 文章力
*4 地産地消とは?
*5 20060912 豚もおだてりゃ木に登る
*6 不動産業、ゴルフ場・ホテル経営・地産グループの中核企業・(株)地産 会社更生法の適用を申請-椿ゴルフ
*7 呉越同舟 - 語源由来辞典

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