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20030529 うなぎ大勉強

 幼少の頃、土用の丑の日$${^{*1}}$$が近づいてくると近所の塀には鰻の貼り紙が貼られた。

 白い紙に墨で魚籠(びく)$${^{*2}}$$から飛び出たうなぎの姿が描かれていた。そして真ん中には大きく「うなぎ大勉強」と書かれ、その文字各々の傍らには朱で三重丸が付けられ「うなぎ大勉強」の文字を際だたせていた。

 幼少の頃からうなぎの蒲焼きは大好物$${^{*3}}$$である。しかし「勉強$${^{*4}}$$」は嫌いである。当然「大勉強」はもっと嫌いである。大好きな「うなぎ」と大嫌いな「大勉強」が組み合わせられた「うなぎ大勉強」とは一体何なのか。その貼り紙がはり出される季節になると悶々とした気持ちになっていた。

 ある日、母に「うなぎ大勉強」の貼り紙について聞いてみた。どうしてうなぎで勉強なのか。母は、あれは「大安売り」という意味だと教えてくれた。「うなぎ大勉強」とは「うなぎ大安売り」という意味であることをその時初めて知った。なぜ「勉強」が「安売り」という意味になるのかよく解らなかった。

 「うなぎだいべんきょう」という言葉自体は「うなぎおおやすうり」よりも力強く語感もいい。意味が解ってからは、土用の丑の季節になるとふざけて「うなぎだいべんきょう」とよく叫んでいた。

 幼少の頃に、ある言葉が気に入るのは大抵は下の言葉$${^{*5}}$$である。御多分に洩れず「うなぎ大勉強」には「だいべん」という言葉が含まれている。

*1 healthmaking 土用の丑
*2 《水の道具》竹魚篭
*3 19991013 いば昇のうなぎ
*4 20020216 命題(2)
*5 20020518 penisの語源

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