20091102 感性の法則
テレビジョン番組で面白い実験をやっていた。「ブランコ$${^{*1}}$$で一回転ができるか」と言う実験だった。これは誰しも幼少の頃に憧れたことではないか。本当に一回転できたら仲間内では英雄として崇められるが、実際には小学校の校庭や公園にあるブランコではその構造からしてもほぼ不可能であった。私の幼少の頃に、ある者がこれに挑戦したことがあった。結局は勢いが続かず、途中で鎖がたわみ腰掛けからずり落ちながらそのまま地面に叩き付けられた。そして勢い余ったブランコの腰掛けが頭に当たって大けがをした。
番組ではブランコを漕ぐのに「慣性の法則」を使うと言う。通常ブランコを漕ぐには腰掛けに座るなり立つなりして体を揺らしながら漕ぐ。これで勢いを増すには限界がある。どんなに一所懸命に漕いでも幼少の頃の友人と同じ結果になるだけだ。そこで次のような方法が採られていた。ブランコ全体を台車に載せて、ブランコの腰掛けに人か人形を乗せる。台車をレールの上で走らせ、急停止させる。ブランコは勢い余って台車の進行方向と同じ方向に大きく揺れる。ブランコの勢いは台車の速度の大きさに依存するので、いくらでも勢いを付けられる。
番組では、台車の上のブランコが揺れるのは「慣性」があるからだと説明していた。まぁ、ここまでは良かった。物理の説明はいいのだが、国語が駄目である。「慣性$${^{*2}}$$」の音調が全く間違っている。「感性$${^{*3}}$$」と同じになっている。「慣性」は「低高高高」と発音する。「歓声」「完成」と同じである。一方「感性」「閑静」は「高低低低」である。
番組出演者全員が「慣性」を「感性」と発音している。一体、番組制作者は何を考えているのだろう。まぁ、何も考えていないのだろう。この番組には大学の先生が沢山出演していた。一人の先生が「慣性の法則」について説明していたが、この先生も「感性」と発音していた。正しくないと思いながら、他の出演者の発音に引きずられてしまったのだろう。大学の先生が間違える筈がない。
日本語の発音の仕方が無茶苦茶$${^{*4}}$$になり出しているのだろうか。名古屋弁が瀕死の状態だと、よく私は嘆いている$${^{*5}}$$が、日本語自体も死にかけているかもしれない。
*1 情報処理推進機構:教育用画像素材集 - 基本語彙・シンボル - 遊具・玩具(ゆうぐ・がんぐ) - 大型遊具(おおがたゆうぐ)
*2 かんせい【慣性】の意味 国語辞典 - goo辞書
*3 かんせい【感性】の意味 国語辞典 - goo辞書
*4 20090614 メソポタミア
*5 20060119 なごや弁(3)