見出し画像

20040527 頂いて下さい

 最近、テレビジョン番組や日常での会話で「頂いて下さい」という言葉をよく耳にする。料理番組や食事を振る舞われた時に聞く。「食べる」の敬語として使っている。

 食べるという意味での「頂く$${^{*1}}$$」の動作の主体は、食べようとしている本人なので「~下さい」というような依頼や命令の形はあり得ない。

 つまり「頂く」は「食べる」の謙譲語なので、自分もしくは敬意を払う相手に対して自分と同じ立場にある自分以外の人の動作からへりくだる場合に使う。自分の立場を下げて相対的に相手を敬うのが謙譲語$${^{*2}}$$の用法であることを理解していれば、こういった間違いをしなくても済みそうだ。しかし「頂く」が「食べる」「もらう」の単なる丁寧語ではなく謙譲語であることを知らなければ、どうしようもない。

 「頂いて下さい」ではなく「召し上がって下さい」である。「お食べ下さい」でも「頂いて下さい」よりは格段にいいだろう。だいたいこういった敬語$${^{*3}}$$には命令形はないはずである。敬う相手に命令するというのは論理的におかしい。

 ところが「召し上がれ」とか「お食べ$${^{*4}}$$」」という言い方がある。これらは尊敬語から派生した言葉であろうが、敬語$${^{*5}}$$とは言えないのだろう。

*1 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: いただく
*2 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: けんじょうご
*3 敬語大百科
*4 年収100万円で楽しく幸せに生活する方法
*5 日本語Q&A:スペースアルク ことばの使い方(社会言語学・敬語)

いいなと思ったら応援しよう!